文:岩見旦
子どもの頃、誰もが読んでいた小学館の学習誌。そこに載っていた、男の子と女の子が机に向かい合っているロゴマークは印象的で覚えている人も多いはず。
このマークは「勉強マーク」と言い、1928年に学年誌・児童誌用の商標として制定されたもの。この「勉強マーク」を大胆にアレンジした新聞広告が大きな注目を集めている。
行儀よく座っていた男の子と女の子が知的好奇心の世界に!
その新聞広告は、2018年元日に、小学館の学習雑誌『小学一年生』から全国の新1年生にメッセージとして贈られたもの。
「読むぞ、一年生」というコピーとともに掲載されたのは、男の子と女の子が「勉強マーク」から立ち上がり、ファンタジックで幻想的な外の世界に飛び出そうとしているイラスト。宇宙や空、原野、海底に広がる、未知の生物や未来の技術との出会いに知的好奇心が刺激される。
同社は、本に夢中になる楽しみを、本の世界に入り込んだ子どもたちで表現。今の子どもたちにも、「読書することのワクワク」を伝えたいとしている。
読売新聞出版広告賞を受賞!イラストが動き出す
この広告が先日、読売新聞が2018年に掲載された出版広告の中から優れた作品を選ぶ「読売出版広告賞」の銀賞を受賞。選考委員長の北村薫氏は、「何より『本はすごいぞ』という言葉が力強い」と高く評価した。
掲載されたQRコードから動画にアクセスすることができ、「切り絵というノスタルジックなところのある手法が、アクセスで動き、現代の魔法に結び付く。それが、家庭に会話を生むかもしれない」と北村氏。動画はこちら。
SNSで話題騒然!途中段階の原画も公開!
この広告を目にしたあるTwitterユーザーは1月30日、その感動をツイート。この投稿は1万1,000件を超えるリツイートを獲得し、「素敵すぎて泣きそうになった」「ワクワクして心が踊りだす」「本当に素晴らしい!」など、感銘を受けた人からのコメントが多数寄せられた。
この反響を受けて、イラストを手がけたユニット「山根Yuriko茂樹」はTwitterを更新。途中段階の原画を公開し、切り絵でも影絵でもなく、すべてペンで描き上げたと明かした。
このイラストは子どもたちに向けて製作された、読書で得られる知的好奇心を表現した作品だ。一方、大人たちは知的好奇心を失ってはいないだろうか。この広告に子ども以上に大人が反応しているのは、その証左なのかもしれない。
「読むぞ、一年生。」 お正月『小学一年生』新聞広告の絵が動きます