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  • 2018.04.10
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あの紅白歌合戦のステージも! 国内最先端のビジュアル・モーション・コントロールシステム「Kinesys」が日本のエンターテイメントをどう変える?

2018年2月21〜23日に、千葉・幕張メッセで開催された「第5回ライブ・エンターテイメントEXPO」。コンサート、フェス、ミュージカル、演劇、スポーツなどのライブイベント関連の企業が出展し、さまざまな最新技術やサービスを紹介する展示会だ。3日間で28000人以上の参加者が集った。

そのなかでも一際目を引いたのが、株式会社映像センター(AVC)のブース。大がかりな舞台をブース内に設営し、映像と音楽、レーザー光線を駆使したパフォーマンスを展開していた。

同社は、映像や音響をメインとしたイベント全般の企画・提案から設営、演出までをトータルサポート。2018年6月には設立50周年を迎える、長い歴史を持つ企業だ。

展示会や式典、大規模セミナーはもちろんのこと、コンサートや舞台、野外イベントなどのライブステージも多く手がけており、2017年のNHK紅白歌合戦の舞台演出も担当。現在、業界内でも注目されている存在なのだ。

この記事では、普段我々が目にすることはない映像演出の裏側に迫ってみたいと思う。


文:三浦一紀 写真:石原敦志

日本初! 紅白歌合戦でも使われた最新システム「Kinesys」を体感

AVCブース内のステージには、巨大LEDパネルと可動式のLEDパネル、そしてレーザーシステムなどが設置されている。このステージでは、さまざまなデモンストレーションが行われていた。そのうちのひとつを見ていただきたい。

特徴的なのは、可動式のLEDパネルの多さだ。天井から降りてくる円形のパネルに加え、ステージと観客を分断するように大型LEDパネルが上下に移動。これだけの大型LEDパネルに映像を表示させながら移動させる機構を自社で持っているのは、国内でも数少ない。

これだけの機材の移動を含めた演出を実現しているのが、ビジュアルモーションコントロールシステム「Kinesys(キネシス)」だ。現在、日本でKinesysを採用しているのはAVCのみ。先述した紅白歌合戦の舞台演出でも使用されたシステムだ。

導入したのは2016年の夏頃。実戦で使用したのが2017年1月からということだ。欧米では広く利用されているKinesysの導入に踏み切った経緯や、導入前と導入後の違いについて、エンターテインメント部営業課課長の佐藤知之氏にお話を伺った。

Kinesysを初めとした最新システムの導入で、企画から演出、現場までワンストップで行えるのが強み

今回の総合演出を務めた佐藤課長

−− Kinesysの導入に至った経緯は?

私たちは映像のハードウェアがメインの業務、いわゆる映像屋です。通常ディスプレイを滑車などで移動させるといった機構は、別なセクションがやるものでした。しかし、その機構の部分を映像屋である我々が手がけるというのは、とても大きな進化と言えます。

弊社はありとあらゆる映像機材を持っています。そして、映像コンテンツを制作することもできます。そこに、「映像を動かす」という機構を導入することで、他社にはない強みになると判断して、導入しました。同業他社でもこんな装置を持っている会社はありません。

−− Kinesysの特徴はどんなところにあるのでしょうか。

映像ハードウェアを動かす機構というのはほかにもあるのですが、Kinesysは移動速度が倍くらい速いんです。移動速度が速くなると、演出の幅が広がるんですね。舞台転換の際にも、単なる場つなぎではなく、ひとつの演出として考えることができるようになります。

これまで我々は、オーダーされたものに合わせてハードウェアを用意するという感じの待ち受けタイプの企業でした。しかし、Kinesysを導入したことにより、演出の提案の場に行けるようになるんです。機材は持っていて、その上Kinesysで動かすことができますと我々が提案すれば、現実的ですよね。

簡単に言えば、映像制作ら演出まで、ワンストップで行える体制を持っているということです。

ステージ上のレイアウトというのも難しいものですが、社内で「CINEMA4D(シネマ4D)」というソフトを使って仮想空間を作り、そこのなかで3DCGを使ってシミュレーションをしています。照明に関してもLIGHT CONVERSEという照明用シミュレーターを使っています。これらを使った事前シミュレーションによって、コンテンツ制作チームと現場チームのストレスが大幅に軽減されます。

今回はオペレーションコンソールを見せるようなレイアウトになっており、実際にステージ上をオペレーションしている様子を見ることができた。

−− 今回のブースのステージでは、もうひとつ革新的なシステムが導入されていると聞きました。

「disguise(d3)」ですね。これはメディアサーバーと呼ばれるもので、リアルタイムで映像コンテンツを作成できます。

このdisguiseは、Kinesysのモーションをトラッキングできる機能があります。Kinesysの動きに合わせて映像を追随させるということが簡単にできるので、オペレーションが格段にやりやすくなっています。

−− 最新のシステムを導入することで、今までにない映像演出をトータルで提供できるようになるわけですね。

そうですね。それは今後我々が意識していかなくてはいけないところだと思っています。単なる映像屋というだけではない部分を出していくことが必要な時代になってきているので、企画段階から実際の現場まで、ワンストップで提供できることを強みとしてやっていければと思います。

ライブ・エンターテイメント業界で必要なスキルは「コミュニケーション力」

ライブ・エンターテイメントEXPOでは、各企業の出展ブースのほか、各種セミナーも開催されていた。我々が取材した2月22日には、ライブ・エンターテイメント業界を目指す学生や若手向けに「学生・若手向け業界座談会」が開催された。その模様をお届けする。

「学生・若手向け業界座談会」では、コンサートや舞台、イベント制作などの現場で活躍する各企業の若手社員が登壇し、業界の仕事についてのトークセッションが行われた。

パネリストは、以下の4人。

●映像
(株)映像センター イベント映像事業部 大型映像部 主任
加藤 大祐氏

●音響
(株)STAR*TECH 
ミクシング・エンジニア
高橋 恭平氏

●照明
(株)パシフィックアートセンター
国立劇場 照明
荒井 珠美氏

●プロデューサー
(株)Zeppライブ
制作本部 SBD事業部 プロデューサー
永里 道人志氏

また、モデレーターは(株)oricon ME事業本部長の椎葉克宏氏が務めた。

ライブ・エンターテイメント業界をめざす学生向けということで、それぞれの業界の内容をざっくばらんに紹介していくという形式。

「この業界に就職してよかったと感じることは?」という質問に加藤さんは「ショーを見てくださっているお客さんが、笑って泣いて、感動をしてくれているところ。そして、仕事を通してチームがひとつになっていく感じがいいですね」と答えていた。

実際に就職して感じたこととしては、仕事につきもののトラブルについて言及。「実は機材のトラブルというのはそれほど多くないんですよ。どちらかというと人為的なミス、ヒューマンエラーが原因のことが多いですね。機材は嘘をつかないというのが、僕らの認識です」とのこと。大型機材を扱う仕事だが、それを動かしているのは人間だということは、忘れてはならないことなのだろう。

最近では、女性の進出も多い業界だが、パネラーの皆さんの会社でも女性の採用が増えているという。女性特有の感性が活かされることも多く、また男性に比べると負けず嫌いで真面目な人が多いとのこと。

加藤さんの所属する大型映像部には女性は少ないということだが、映像センター全体では女性の割合は多く、営業やオペレーターとして男女関係なく活躍しているそうだ。

「どんな人が向いている?」という質問にAVC加藤さんは、イベント業界において重要なことは「コミュニケーション力」と語った。

これに対して、他のパネラーも全員コミュニケーション力が必要という答えに。どんな業界でも、最終的には人と人との付き合いになるということのようだ。

最後に、ライブ・エンターテイメント業界を目指す学生に向けての応援メッセージということで、加藤さんは

「最初は仕事が辛いと感じるかもしれませんが、やっていくとおもしろくなっていきます。辞めたくなってもちょっと思いとどまって、一所懸命やってみてください。一緒に業界を盛り上げていきましょう!」

と熱いメッセージを送っていた。

会場には、多数のリクルートスーツを着た学生がいたが、加藤さんのメッセージがしっかりと届いていたことだろう。

これからは幅広い分野での人材育成が大事

ここからは、先ほどの座談会でパネリストとして登壇した加藤さんに、映像ハードウェア制作という仕事、そして映像センターという会社についてのインタビューをお届けする。

加藤さんは入社10年目。小学校から大学まで、アイスホッケー一筋というスポーツ青年だったという。

−− なぜ、映像センターに就職したのですか?

特に映像やライブ・エンターテイメントに興味があったわけではなくて。大学4年ときにスポーツ・アスリート向けの就職セミナーに同期と行ったときに、弊社の人事の人間に「いい体してるなー、うち受けてみなよ」と言われたのが最初ですね。それならということで、書類を送ったらあれよあれよという間に就職が決まりました(笑)。

−−  何がよかったんでしょうかね(笑)。

面接に行ったら、周りは「1年間休学してイベント事業に関わっていました」というような人ばかりだったんですけど、僕はアイスホッケーしかやっていなかったので「僕はスポーツしかしていません。ただ力だけはあります!」って答えたら、それが受けたみたいで(笑)。そのまま就職が決まったので、ほかの会社も全然受けていないんです。

−−  運命ですね(笑)。入社して10年目ということですが、これまでに一番印象深い仕事というのはなんでしょうか。

去年の年末の紅白歌合戦ですね。Kinesysが導入されて1年半。ここ一番の大仕事だったので、志願して現場に入れてもらいました。一度は国民的番組の舞台裏を見てみたいという気持ちもありましたし、そこに弊社の機材がメイン画面として入るわけですから。

幅1.2m/高さ7.2m のLEDビジョンで作られた「短冊」がKinesysによって上下に動くシステム。21本の短冊を個別に昇降させることで背面の別のLEDビジョンとの対比が生まれ、演出効果を高めている。

これらの短冊がKinesysにより1mm単位の精度で制御できることによって演出家の意図に沿ったシーンチェンジが可能になった

すごかったですね。テレビ局は何度も行ったことがありましたが、今までとは違う感じでした。仕込みが3日あって、31日に向けて3日間、朝から深夜までリハーサルです。これまで経験したことのないような現場で、これぞ紅白だなということを体感しました。

−−  Kinesysを始め、ステージ演出はものすごくテクノロジーの進化があります。加藤さんの10年間でもかなり変化があったのではないでしょうか。

ありますね。入社当時からLEDに携わっていましたが、当時は最先端で6mmピッチ。もちろん筐体も重く、画素数もそれほどではありませんでした。それから毎年機材が更新されていって、今では簡単にあれだけの大画面が組めて、それを動かせて、連動させられるようになったことは、濃い10年間だったなと思います。

−− 今後、ステージ演出はもっと進化していくと思います。どのようになると思われますか?

ケーブルはなくなってしまうのではないでしょうか。今でも無線で映像は飛ばせるんですが、完璧とは言えません。しかし、今後はもっと進化して、ケーブルがなくなって、舞台も舞台裏もハードウェアだけできれいな形になるのではと思います。

−− 映像センターさんに勤めていて、感じる醍醐味というのは?

一番は、社員がおもしろいですね。同業他社の方とも付き合いはあるんですけど、弊社は仲がいいなとは思います。僕がいる大型映像というチームは、コンサートだけではなくいろいろな現場に行きます。そこでいろいろな営業さんやチームと関わることが多いんですが、みんなそれぞれキャラクターがあって、おもしろいですよ。

−− 加藤さんはスポーツをやっていてこの業界に入られましたが、同じ部署の方はどんな経歴の方がいるのでしょうか。

映像やイベントの専門学校の卒業生が多いと思います。特に最近は専門学校出身が増えていますね。弊社も映像だけではなくPAの部署ができたので、音響の専門学校出身という人もいます。

近年は制御チームもありますし、オペレーター専門チームもありますので、幅広い人材が必要になっています。

−− 加藤さんのビジョンを教えてください。

僕はあと10年くらいの間に、人事の仕事をしたいと思っているんです。人材の育成をしたという気持ちがあるんですよ。未来の映像センターの社員を育てていきたいんです。

実際に自分が学生のところに出向いて、話を聞いて、スカウトするというのもいいなと思っています。

映像屋から「エンターテイメント総合プロデュース業」へ

最先端のビジュアルモーションコントロールシステムKinesysを導入し、映像ハードウェア会社から一歩先のエンターテイメント総合プロデュース業を手がける映像センター。加藤さんの言葉からわかるとおり、映像だけではなく、音響や制御プログラムといった幅広い分野を一手に手がけることができるのが、同社の強みといえる。

我々が普段目にするコンサートやテレビ番組、野外イベントなどの裏側というのは、あまり知ることができない。しかし、想像以上に最先端の技術が使われ、多くの人が関わっていることが理解できた。

一流ミュージシャンのコンサートや、屋外でのライブイベントなど、ド派手な演出で我々を楽しませてくれる。しかし、それらは映像センターのようなプロのスタッフがいるからこそ実現できるもの。

これからはステージ上だけではなく、ステージの裏側にも思いを馳せてみると、より一層楽しめるだろう。



株式会社映像センター(AVC)

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