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EVENT | 2023/02/28

毎年1000人を超える規模の「北陸発の産学官金マッチングイベント」を開催し産学連携のハブに 北陸先端科学技術大学院大学 未来創造イノベーション推進本部

取材・文:神保勇揮(FINDERS編集部)
企業のニーズ発掘、研究者とのマッチング、事業化支援までのサイクルを確立
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取材・文:神保勇揮(FINDERS編集部)

企業のニーズ発掘、研究者とのマッチング、事業化支援までのサイクルを確立

北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)は、石川県にある国立の大学院大学で、研究者だけでなくIT企業のエンジニアやメーカー研究職などの人材も多く輩出していることで有名だ。

JAISTは企業ネットワークのハブとして活躍している産学連携拠点を選抜し、信用力を高めるとともに支援を集中させる経済産業省の事業「地域オープンイノベーション拠点選抜制度(Jイノベ)」に選ばれた研究機関のひとつで、本記事ではその取り組み内容を紹介する。

同大学は2022年4月、既存の産学官連携本部を改組し、新たに「未来創造イノベーション推進本部」を創設。本部長は学長の寺野稔氏が兼任し、大学全体で注力する部門として位置づけている。

同本部が手掛ける産学連携の特徴は、積極的な訪問活動に基づくニーズ・シーズ収集から課題解決のためのマッチング、そしてビジネスが立ち上がった際の資金調達までの一連のサイクルにおける全てのフェーズで支援体制が確立され、前身組織から数えると10年近く取り組んできたノウハウが蓄積されている点だ。

大学の教員などで構成されるリサーチアドミニストレーター(URA)たちは、北陸地域を中心に年500以上の企業・機関・大学への訪問を行っており、2014年からはマッチングイベント「Matching HUB」を毎年開催している。

同イベントは北陸3県を中心に全国から企業・自治体・研究機関・金融機関などが集い、2022年は203ブースが出展、1634名が参加した。単なる展示会で終わらせず、イベント前後、そして当日も含めURAたちが1件でも多くのマッチングを成立させるべく積極的に働きかける手厚いサポートを提供していることもあり、たった1日のブース展示で毎回300〜500件程度のマッチングを実現。90%近い出展者がリピートを希望するという。マッチングハブは全国への拡大展開も図っており、各地域の大学などが主催となって北海道、四国、九州でも開催されており、今後もより多くの地域で開催していきたいとしている。

さらに2021年には、同大学が中心的な役割を担って獲得した経産省の産学連携事業「J-NEXUS」により、北陸地域の研究機関・自治体・企業などが結集したコンソーシアムである「北陸RDX」を設立。参画機関・協力機関には金融機関やVCも名を連ね、DX・ESG関連の投融資を呼び込み資金調達ニーズにも応えるかたちで、「高効率なコマ型可動式風力発電システム事業」「「ロボットの群れの協調」を活用した建設現場での省人化」など「Matching HUB」から創出した現在26の「ビジネスの種」を採択し事業化を目指している。

未来創造イノベーション推進本部 本部長補佐で「Matching HUB」を担当する中田泰子准教授は「当本部の産学連携は、「Matching HUB」が中心的な役割を果たしており、毎年の活動の中でも特に注力しています。本学のみならず他大学の研究者とのマッチングや、異分野・異業種間の交流も重視しています。近年は北陸RDXもスタートしたことから、「Matching HUB」の交流で生まれたビジネスの「種」を、北陸RDXを通じて事業化するという好サイクルも回り始めました。2022年度も新たに10プロジェクトほどが追加できそうです」と語る。

2023年4月にヘルスケア・医療・バイオメディカル分野の新拠点が完成

JAISTおよび未来創造イノベーション推進本部による新たな取り組みとして、2023年4月に「超越バイオメディカルDX研究拠点」がスタートする予定だ。JAISTイノベーションプラザの2階を改装し、会員制のシェアードオープンイノベーションルームやオープンラボ、大学のスパコンと直結するサーバー室などを備え、ヘルスケア・医療分野のDXとバイオメディカル分野でのイノベーションを目指していく。

同拠点の拠点長である松村和明教授、また開設に携わった永井明彦特任教授は、意気込みを以下のように語る。

「ここは北陸初のヘルスケア分野のオープンイノベーション拠点となります。本拠点では、スパコンやデータ科学、AIを用いてバイオ・メディカル研究を推進していきます。既に新たな材料を開発する『マテリアルズ・インフォマティクス』の研究が先行して進んでいますが、いずれはディープテックを掲げる北陸の大学発ベンチャーを生み出したいですね」(松村氏)

「拠点名の『超越』には“これまで超えられなかった壁を超える”という意味合いを込めています。研究で生まれたシーズや地域企業のニーズ/シーズ、 そして社会全体のニーズなどをシェアし共創することで、日本や世界の医療に貢献する北陸の新しいグローカル拠点を形成していきたいと考えています」(永井氏)


北陸先端科学技術大学院大学 未来創造イノベーション推進本部

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