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居場所が特定されないよう注意してSNSに写真を投稿したつもりなのに、なぜかバレてしまった。SNSユーザーなら誰でも1度や2度は、そんな経験があることだろう。家族や知人に知られては困る“やましいこと”をしている時や、そこに居たことを業務上秘密にしておきたい場合などには、そんなミスは許されない。では、どうすれば投稿した写真から居場所を特定されることを避けられるだろうか。
文:伊藤僑
SNSへの投稿で潜伏先が判明し逮捕される
2018年7月、保安員を殴って重傷を負わせ逃走していた万引き犯がInstagramへの投稿をきっかけに逮捕されたというニュースが、SNSユーザーの間で話題になった。
事件の概要は、都内のホームセンターでサボテンの鉢植え1,700円相当を万引きした小林出(こばやしいずる)容疑者(45)が、万引きに気づいて追跡してきた保安員の男性を殴るなどして重傷を負わせ逃走。全国に指名手配された同容疑者は、都内の知人女性宅に潜伏していたが、SNSへの投稿から居場所が判明し、事件からおよそ1カ月後に逮捕されたというもの。彼がInstagramに投稿していたのは、部屋の窓際などに置かれた植物の写真だったという。
Instagramへの投稿で潜伏先が特定されたということから、投稿時の位置情報から居場所が判明したのではないかと思われたが、警察の発表によると、そうではないらしい。
写真に写り込んだものから居場所を特定
スマートフォンやGPS付きデジカメで撮影した写真には、「Exif」によるメタデータとして「シャッター速度」や「絞り」などに加えて「位置情報」も記録される。だが、Instagramに投稿されると位置情報は自動的に削除されてしまうので、Exifの位置情報から場所が特定されることは無い。
ただ、Instagramへ投稿する際に位置情報を付加することができるので、そこから潜伏場所が判明する可能性はあるが、逃走中の容疑者が自分から居場所の情報を写真に付加するとは考えにくい。
では、どうやって捜査陣は容疑者の居場所を見つけ出したのかというと、写真に添えられた文章や画像に写っている情報を丹念に調べ上げ、場所の特定につながるものを探し出したようだ。
具体的には、文章部分にあった「スーパーマーケットの名称」と写真に映り込んでいた「縦型の信号機」、「マンションの形状」が潜伏先特定の決め手になったという。縦型の信号機は、都内では設置されている場所が限られているそうだ。
この事例でも分かるように、SNSやブログなどへ写真や動画を投稿する際には、撮影場所や投稿場所が分かってしまうことがあるので注意が必要だ。特に女性や年少者が、自宅や学校、勤め先、その周辺などで撮影する場合には防犯上からも気をつけたい。
念のためExifの位置情報を削除しておこう
InstagramなどSNSの一部では、Exifの位置情報は投稿時に自動的に削除されてしまうが、そうでないものもある。投稿しようと思っている写真の位置情報は事前に削除しておいた方が安心だ。
位置情報が自動削除されるSNS・ブログには、Instagram、Facebook、Twitter、LINE、note、mixi、アメーバブログなどがある。このほかにも設定で位置情報を削除できるものもあるが、Exif情報を削除・編集できるアプリを使って事前に削除しておいた方が間違いがない。iOS(iPhone/iPad)用、Android用のアプリをいくつか紹介しておこう。
iOS用としては、「Loooks」や「Photo Info!」、「PhotoCheck」などがある。
Android用には、「Exif消しゴム」や「Photo exif editor」、「Photo Info Erasor」などがある。
iOS用アプリ「PhotoCheck」で写真の位置情報を確認する。地図画面から位置情報を削除することができる。
iOS用アプリ「Loooks」で記録されているExif情報を表示。メタデータの削除とGPS情報の削除を選ぶことができる。
写真に添える文章や写り込むものにも注意を
万引き犯の潜伏先が判明したように、写真に添える文章や写り込んでいるものからも、撮影場所を特定できる場合がある。
特に注意したいのが、住所が記載されている「街区表示板」や「町名板」「住居番号版」などだ。
これらが小さくでも写り込んでいると、最近のスマホやデジカメは解像度が高いので拡大して判別できてしまう可能性が高い。画像が暗くてほとんど読めないように見えても、アプリで明るくすれば読めてしまう場合もある。
意外なところでは、マンホールの蓋にも注意したい。自治体ごとにデザインが違っており、特に、地域の名物や名所を絵柄に盛り込んでいるものなどは場所を特定しやすい。路線バスやタクシーのデザインから、場所が推定できることもある。
特徴的な建造物や寺社仏閣、店舗、看板、ポスター、モニュメント、山や河川などの風景も、場所を特定する材料になる。最近では、画像検索によって類似のもの、場所を探すことができることもお忘れなく。
また、動画の場合には音にも注意したい。駅のホーム毎に異なる発車メロディーや、店舗が流す宣伝用の楽曲など、音から場所が分かってしまうこともある。
だが絶対に居場所を知られたくないなら、SNSやブログに写真や動画を投稿しないことが一番だ。