LIFE STYLE | 2021/08/26

偽の「ワクチン接種証明書」の闇取引が盛況。市場はダークウェブからメッセージアプリへ

Photo by Shutterstock

文:窪田みちる

新型コロナウイルスの収束が見通せない中、ワクチン...

SHARE

  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • line

Photo by Shutterstock

文:窪田みちる

新型コロナウイルスの収束が見通せない中、ワクチン接種証明書の導入する国が増えている。例えば飲食店の利用やイベントの参加の際に、提示を求める地域もあるようだ。

そんな中、サイバーセキュリティ企業Check Pointは今月10日、偽の「ワクチン接種証明書」に関するレポートを発表。匿名性が高いメッセージアプリTelegramのアカウントと少額の暗号通貨で、誰でも簡単に偽の「ワクチン接種証明書」を手に入れることが可能だという。

偽の「ワクチン接種証明書」を販売するグループが257%増加

レポートによると現在、メッセージアプリのTelegramで、偽の「ワクチン接種証明書」を販売しているグループやチャンネルは2500以上あり、この数字は前回調査した3月と比べて257%増加しているという。Telegramで違法な商品を販売するグループやチャンネルの平均的なフォロワー数は約10万人。あるチャンネルでは45万人もの購読者を抱えている。

価格は1枚100ドル前後(約1万1000円)。ビットコインなどの暗号通貨で支払い、どの国の「ワクチン接種証明書」が欲しいかを伝えるだけで購入できる。ワクチン接種証明書やパスポートは数十カ国分用意されており、出品者のほとんどはヨーロッパに集中している。

闇取引にTelegramが選ばれる理由

顧客のほとんどは反ワクチン派であり、政府や企業の求める新型コロナワクチン接種に応じたくない人だという。彼らは自らの命を救う可能性のあるワクチンより、お金を払ってでも偽の「ワクチン接種証明書」を手に入れようと考えているのだ。

以前はこれらの販売業者は、主にダークウェブを拠点としていた。しかしここ数カ月で状況は一変し、Telegramといったメッセージアプリを選ぶようになった。

『Mashable』によると、この背景についてCheck Pointの広報担当者であるエクラム・アフマド氏は「販売業者はある程度のプライバシーを確保しつつ、販売規模を拡大するために、戦略的にTelegramなどを選択したと考えられます」と述べている。

Telegramはダークウェブに比べて比較的簡単に使用でき、機能も充実。さらに、非公開チャンネルでは、闇取引のような違法行為への取り締まりが、かなり手ぬるい様子。アフマド氏は「各国政府がさまざまなレベルでワクチン接種を義務付けようとしていることを考えると、Telegramによる闇取引はさらに急増するでしょう」と危惧している。

もちろん、偽の「ワクチン接種証明書」の作成・販売は違法行為だ。さらなる感染拡大を防ぐためにも、早急に取り締まるべきだろう。