文:山田山太
生涯で2人に1人が罹患し、3人に1人が死亡すると言われている「ガン」。現在の医療では、まだすべてのガンを治すことは出来ない状況だ。しかし、このガンさえも、人類は克服することができるようになるかもしれない。
mRNAをベースにガンのワクチンを開発
オズレム・トゥレシ氏と夫のウグル・サヒン氏によって設立されたドイツのビオンテックは、ファイザーとともに新型コロナウイルスワクチンの開発に成功し、世界的な評価を集めた。『KABC News』によれば、2人は体の免疫システムを利用して腫瘍を治療する研究を長年行っており、今回のワクチン開発にその技術を活かした。メッセンジャーRNA(mRNA)を使い、特定のウイルスを攻撃するためのタンパク質を作るように人体に指示を出すものだ。
トゥレシ氏によると、この原理を用いて、免疫系の腫瘍に対して攻撃を行う指示を出すことも可能であるという。「私たちはmRNAをベースにした、ガンのワクチンを数種類開発しています」と、AP通信の取材に答えた。
さらに、トゥレシ氏はガンのワクチンが実用化されるまでの期間について、「革新的な技術開発においてこういった時間を予測するのはとても難しいことですが、数年以内には私たちが開発したワクチンを人々に提供できるのではと期待しています」と驚きの証言をした。
次ページ:ワクチン開発は多くの人の努力の上に