CULTURE | 2021/03/18

「私はコロナだ」とツイートし業務妨害で逮捕のメルカリ社員35歳、裁判で明かされた被告人の半生【連載】阿曽山大噴火のクレイジー裁判傍聴(23)

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阿曽山大噴火
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月曜日から金曜日の9時~5時で、裁判所に定期券で通う、裁判傍聴のプロ。裁判ウォッチャーとして、テレビ、ラジオのレギュラーや、雑誌、ウェブサイトでの連載を持つ。パチスロもすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。

匿名の人物が飲食店に連絡し発覚

ちょっと古い裁判の話だけど、先月やっと判決が言い渡されたので。2020年らしい事件の傍聴記。

罪名 偽計業務妨害
T被告人 無職の男性(35)

起訴されたのは、2020年3月17日20時15分にT被告人が自分のツイッターアカウントに「私はコロナだ」と投稿し、同日21時14分に東京都千代田区の飲食店内の写真を添付して「濃厚接触の会」と投稿し、消毒や通報などをさせ、飲食店に通常業務の妨害をしたという内容。

似たような事件の報道はいくつかあったけど、東京地裁で公判請求されたのは本件が初で、今のところこの1件のみだと思われます。

そして、罪状認否。

裁判官「検察官が朗読した事実に何か間違いはありますか?」
T被告人「投稿したのは事実です。でも業務妨害になるとか思っていませんでしたし、業務妨害になるような危険な内容ではありません」

と、無罪主張です。客観的な事実は間違いないけど、業務妨害をする狙いはなかったという言い分。これに続けて、

弁護人「本件は無罪が言い渡されるべきです。故意がなく、店舗の業務を妨害する内容ではありません。あと、TさんはADHDで思いついたことを発言・ツイートしてしまう人物でもあります」

と、弁護人も無罪を主張です。さらに弁護人が加えて主張したのは、2つのツイートは独立した投稿で、1時間離れていると。当時騒ぎ立てる者もおらず、一人が通報したことで消毒などを店員がすることになり、予見しがたい第三者の介入があったとのこと。

丁度、1年前の事件なので、今なら展開は違ってただろうなあとは思いますけどね。当時の空気感を思い出すために、2020年3月17日のニュースを振り返ると、五輪大臣が東京オリンピックについて「予定通りの日程で無観客ではない」と会見で答えている一方、聖火リレーの式典は無観客と報じられています。香川県と茨城県で初の感染者が確認され、中止になって音楽や演劇の損害が450億円と算出され、海外に目を向けるとカナダが入国禁止、ロシアが国境封鎖、イタリアではコロナの死者が2000人超…。2日前にはマスクの転売が禁止され、2日後に行われた専門家の怪異では「クラスター」「ロックダウン」「オーバーシュート」など耳なじみのない単語が飛び交っていたのです。とにかく、ニュースはコロナ一色の3月中旬でしたよね。なんとなく当時を思い出していただければ。

検察官の冒頭陳述によると、T被告人は大学卒業後、会社員として働き、前歴前科は無し。

そして、犯行当日の3月17日。T被告人は、前日に群馬県で電車内で「俺はコロナだ」と発言して業務妨害で逮捕されたニュースを知り、ツイッターで「私はコロナだ」とツイート。

その約1時間後、友人から誘われていた飲み会に参加し、犯行現場である飲食店のロゴマークが入ったビールグラスの写真を撮影。その写真と共にツイッターに「濃厚接触の会」とツイート。そのツイートを見た氏名不詳の人物が飲食店に連絡し、そのツイートがあった30分後に警察に通報。というのが事件の流れになります。

否認していることもあって、11月25日に行われた初公判はここで閉廷です。

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