LIFE STYLE | 2021/03/17

人気のペット用ノミ取り首輪で、約1700匹のペットが命を落としているという調査結果

文:ヤジマミユキ
アメリカ環境保護庁に7万5000件以上の事故報告
大切なペットの健康を守るのは飼い主の役目。犬や猫...

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文:ヤジマミユキ

アメリカ環境保護庁に7万5000件以上の事故報告

大切なペットの健康を守るのは飼い主の役目。犬や猫などに寄生してさまざまな健康被害を及ぼす可能性があるノミ・ダニ対策はしっかり取り組んでいるという人は多いだろう。

そんな中、『USA Today』は、人気ノミ取り首輪「セレストカラー」が2012年の発売以降、少なくとも1698匹のペットの死亡事故に関わったと、今月2日報じた。同誌がアメリカ環境保護庁の公文書を入手し、明らかとなった。

このセレストカラーは、殺虫剤を含有したプラスチックでできており、数カ月にわたって毛をコーディングし、ノミやダニを駆除する効果がある。開発元のバイエルによると、使っている2種類の殺虫剤は相乗効果があり、組み合わせるとノミに対してより毒性が高くなるのだという。

ただし、これについて生物多様性センターの研究主幹ネイサン・ドンリー氏は「この相乗効果は、ノミ・ダニだけではなく、動物にも当てはまる可能性が高い」と述べている。実際、ニュージャージー州に住むロンダ・ボンウェルさんの愛犬ピエール(9カ月)は、昨年6月、セレストカラーを着用してわずか1日後に発作を起こして亡くなったという。

さらに全体として2012年~2020年6月の間にセレストカラー関連の事故は7万5000件以上報告されており、その多くは首輪が触れた部分でアレルギー反応を起こしたという事故だったという。また、この内900件以上で人間が被害にあっており、首輪を付けた犬と一緒に寝た12歳の少年は発作と嘔吐で入院したとの報告も。

発売元は関連性を否定、行政も問題を先送りに

セレストカラーの発売元であるエランコ社の担当者であるケリー・マクグラス氏は『INSIEDR』に、「ペットの死と、ノミ取り首輪に含まれる有効成分の影響との明確な関連性はありません」と語った。さらに、今回の『USA Today』の報道については「この記事は誤解を招きやすく、いくつかの重要な情報を欠いており、読者に偏った印象を与えています。数字は報告件数であって、因果関係を反映していません」と反論した。

アメリカ環境保護庁も多数の事故報告があるにも関わらず、セレストカラーの危険性を警告していない。同庁の元職員は、「アメリカ環境保護庁はこの問題について見て見ぬふりをしています。7年にわたって事故が増え続けていますが、国民には状況を観察し続けていると伝えています」と指摘。「しかし、これは重大な問題で早急に対処することが必要です」と訴えている。さらに「私が今まで見た殺虫剤ペット用品の中で、最も多くの事故を引き起こしています」とも。

未だに因果関係が定かではないとは言え、多数の事故報告や苦情があることは事実のようだ。しっかりとリスクを調査し、製品の安全性が明らかになることを願うばかりだ。ペットの命を決してないがしろにして欲しくはない。