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異例の話題作『ザ・エレクトリカルパレーズ』はいかにして作られたのか?監督の奥田泰に訊く
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  • 2021.01.22
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異例の話題作『ザ・エレクトリカルパレーズ』はいかにして作られたのか?監督の奥田泰に訊く

M-1グランプリ2年連続ファイナリストで、テレビ出演が急増しているお笑いコンビ・ニューヨーク。彼らのYouTubeチャンネルで昨年11月6日に公開された、ドキュメンタリー作品『ザ・エレクトリカルパレーズ』がちょっとした社会現象になっている。

吉本興業のお笑い養成所NSC東京校で、2011年に17期生として入学した生徒の一部により突如結成された「ザ・エレクトリカルパレーズ」。通称、エレパレ。同期の間で目立つ存在であった彼らはおそろいの自作Tシャツを着て、オリジナルソングを歌い、複数の女性生徒と関係があったと噂される。

本作は、この話を聞きつけたニューヨーク嶋佐和也・屋敷裕政が、当時を知る17期の芸人・元芸人を探り、この謎の集団の正体を詳らかにするというもの。

まずエレパレ以外の取材から始まり、ある芸人はこの集団を「セックスサークル」と軽蔑、またある芸人は「大嫌い」と嘲笑する。ところが、当時エレパレだったメンバーに話を聞くと、一言では語れない多様な側面が浮き彫りに。しかし、ある男の名前を挙げると全員が口ごもる。そこで、エレパレを影で操る一人の黒幕の存在が浮かび上がってくる。

本作は2時間超のインタビュー構成の動画であるにも関わらず、口コミで広がり、公開から2カ月半で90万再生を突破。スクールカーストを思い起こす人が続出し、SNS上では『桐島、部活やめるってよ』の再来との呼び声も高い。レイザーラモンRGや東京03・飯塚悟志、テレビ東京・佐久間宣行もラジオやTwitterで言及するなど、大きな反響を集めている。

そこで、『ザ・エレクトリカルパレーズ』はいかにして作られたのか? 公開に至るまでの道のりと制作秘話を、ニューヨークのYouTubeチャンネルの放送作家で、本作の監督を務める奥田泰に話を伺った。

聞き手・文・構成:岩見旦 写真:赤井大祐

奥田泰

放送作家

1976年生まれ。『ナインティナインのオールナイトニッポン』でハガキ職人をした後、放送作家の道に。『ニューヨークのオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)を担当していた縁でYouTube『ニューヨーク Official Channel』に、立ち上げからスタッフとして参加。

すべての発端は鈴木もぐらのノリ

―― まず奥田さんはどのような経緯で放送作家になったのでしょうか?

奥田:元々ナインティナインさんのオールナイトニッポンのハガキ職人で、そこから放送作家になり、今はラジオやテレビの構成をしています。フジテレビのディレクターの北山拓さんの紹介でニューヨークと知り合って、2015年に『オールナイトニッポンR』という単発番組をやって、2016年から1年間『オールナイトニッポン0』を担当しました。

―― その後、ニューヨークさんのYouTubeに関わることになったわけですね。

奥田:そうですね。ニューヨークから「YouTubeでラジオやろうと思うんですよ」と相談があって、わざわざ僕とか『オールナイトニッポン0』のディレクターとかみんな居酒屋に集めたんです。これは手伝ってほしいってことだろうなと思って。当時から僕は彼らを面白いと感じていたし、力になりたいと思っていたので、参加することにしました。そして、色々な企画の動画を上げるようになって、今に至ります。

―― そんな中、『ザ・エレクトリカルパレーズ』が制作されたわけですが、そのきっかけは何だったのでしょうか?

奥田:昨年2月、『ニューヨークのニューラジオ』(同YouTubeチャンネルで生配信しているラジオ風トーク番組)で、嶋佐がたまたまエレパレって言ったんです。それって何かと聞いたら、NSCの生徒がユニットを組んで、自分たちのTシャツやテーマソングも作ってたって。これは面白いと思って、取材しようということになりました。

鈴木もぐら(空気階段)(写真提供 ニューヨーク Official Channel/OmO)

その時すでに、もう彼らの中で芸人ならではのノリがありました。鈴木もぐら君(空気階段)とかは、「エレパレや黒幕の話をしたら消される!」みたいな。それを聞いて、『20世紀少年』のようなドキュメンタリー(映画風の動画)をうまく撮れるんじゃないかと思ったんです。

次ページ:黒幕の芸人が突然のコント!ラストの演出の意図とは?

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