CULTURE | 2018/06/27

「ガラパゴス」と「グローバル」の間で戦う、水曜日のカンパネラの海外戦略

コムアイ(主演・歌唱)、ケンモチヒデフミ(作曲・編曲)、そして、今回取材に応じてくれたディレクター兼マネージャーのDir...

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コムアイ(主演・歌唱)、ケンモチヒデフミ(作曲・編曲)、そして、今回取材に応じてくれたディレクター兼マネージャーのDir.F=福永泰朋の3人から成る水曜日のカンパネラ。このユニットが6月27日にリリースした最新EPのタイトルは『ガラパゴス』であり、これはカルチャーの世界地図の中で孤立している日本の立ち位置を指している。

その一方で、水曜日のカンパネラにとって『ガラパゴス』という概念は、2016年6月に交わしたワーナーミュージック・ジャパンとの契約=メジャーデビュー以降、急速に海外での活動展開を推し進めている中で、その独創的な表現性を際立たせるキーワードとして捉えることもできる。フランスのエレクトロ・ポップバンド、Moodoïd(ムードイド)とのコラボレーション楽曲も収録されているこの『ガラパゴス』を制作するにあたり、コムアイは英詞を書くことにもトライしたというが、結果的にはそれを音源化するのは時期尚早と判断したという。

今の水曜日のカンパネラが海外に打って出る意義とリアルに実感している壁の高さ、そして今後のビジョンについて福永が語ってくれた。

聞き手・文:三宅正一 写真:神保勇揮

福永泰朋

株式会社つばさプラス 取締役 / チーフマネージャー

1982年10月13日生まれ。京都工芸繊維大学 デザイン経営工学科を卒業後、フリーターを経て株式会社つばさプラスに就職。以降、マネジメント、A&R業務を行い。2012年にサウンドプロデューサーのケンモチヒデフミと「水曜日のカンパネラ」をプロデュース。

仕掛け人が改めて語る、水曜日のカンパネラ結成秘話

―― 福永さんのメンバーでありディレクターでありマネージャーという役割は非常に稀有だと思うんですけど、どういう経緯でこの立ち位置になったんですか?

福永:この立ち位置で参加してほしいと言ったのはコムアイですね。水曜日のカンパネラを結成した流れは、まず僕がつばさプラスというレコード会社(これまでに川嶋あいBiSなどを輩出)の社員として新人発掘として、新しいグループを立ち上げることになったんですが、ずっとケンモチさんが作るトラックのファンだったことや偶然の出会いもあって、サウンドプロデューサーとして声をかけたんです。それからボーカリストのオーディションを仕切って、曲はケンモチさんが作るという流れで進めていって。

そう考えるとプロジェクトの立ち上がりやチーム編成はアイドルと変わらないですよね。当初、水曜日のカンパネラのボーカルは3人組の女の子だったんですけど、最終的に2人が辞めてコムアイだけが残ったんですよ。

―― 今となっては意外なスタートですよね。

福永:そうですね。そもそも最初期はどういうグループか実像を明かしていなくて。楽曲先行で活動したいという考え方だったんです。

2012年、水曜日のカンパネラとして最初に発表した楽曲「オズ」。この時点ではコムアイとは別の女性メンバーがもう一人存在した。

でも、ライブやリリースなど活動するにあたってプロフィールが必要になるじゃないですか。コムアイとケンモチさんと僕の3人になった時に、コムアイの提案から共同プロジェクトチームみたいな感じにしようとなったんです。3人のあり方を説明しても最初は理解されないだろうなとは思ったんですけど(笑)、クレジット的にそれぞれの役割を入れようと。

―― そもそも福永さんはどういったプロジェクトのイメージを持って、ケンモチさんに声をかけたんですか?

福永:音楽的にはケンモチさんのトラックをメインにするのは決まってましたが、彼の音楽性を鑑みて“Perfumeの民族音楽バージョン”みたいなユニットを作れたら面白いなと思ったんですよね。

当時、ケンモチさんはももクロ(ももいろクローバーZ)にお熱だったんです。それもあって、ケンモチさん的には比較的アイドル要素が強めのユニットをイメージしていたんですけど、僕はあまりそこにはこだわってなくて。もっとアーティスト性の強いユニットにできたら面白いなとは思ってたんですけど、具体的なイメージはありませんでした。

―― わりと始まりはふんわりしていますよね(笑)。

福永:そうですね(笑)。3人になってからも半年くらいは試行錯誤していました。

Dir.Fから見たコムアイ像

―― トライ&エラーを繰り返していくうちに、コムアイさんのアーティストとしての自我も芽生え始めていったんですか?

福永:そうですね。最初はコムアイも「このプロジェクトからいつでも逃げられるようにしておこう」って思っていたらしくて。プロジェクト自体が彼女に怪しいと思われていました(笑)。

―― 彼女にここまで高い発想力や表現力のポテンシャルがあると、最初から思っていましたか?

福永:それは最初に話した時から思ってました。

―― ファンにはよく知られている話ですが、出会いは映像作家の方のホームパーティーだったんですよね。

福永:そうですね。その時に彼女と初めて会ったんですが、話を聞いていてすごく面白かったんです。高校生の時に友だちと2人で資金を集めてキューバに行って、現地の同世代の子たちの写真を撮って話を訊くという企画を実現させたり。そういう企画力やアイデア、行動力があるんだなと思って。

―― 農場に住み込みで働いたり、その後、その時の経験を踏まえて鹿の解体をライブの演出に取り入れたりするのもそうですね。

福永:はい。あと、もともと職業に興味があって色々な大人の友だちも多いし、世渡りが上手い子なんだなとも思いました。だから、こういったエンターテインメントの世界にも順応できるだろうなと。どういうふうに咲くかはわからないけど、可能性の種自体はあるなと思ってました。

―― 福永さんから見て、彼女のバイタリティの源泉になっているものはなんだと思いますか?

福永:なんでしょうね? 本人に訊くと学生時代はあまり友だちもいなくて、同級生と打ち解けられなかったり、「なんで学校に行くんだろう?」という疑問をずっと持っていたと話していて。そのあとにピースボートに乗った時、人の悩み相談を聞くのがすごく楽しかったと言っているのが印象的でした。

その時にいろんな職種の人と出会ったみたいで、そのあたりから彼女自身が変わったんじゃないかと思います。

―― ちなみにコムアイさんにラップ的な歌唱法をしてもらうというのはどういう流れからですか?

福永:1st(2013年5月リリースの『クロールと逆上がり』)の制作のときにいろんなタイプのデモを作ったんですけど、そのときにラップっぽい曲がライブでやってみても面白いってなったんです。

当時、日本の音楽シーンにはハウスやテクノのトラックにラップっぽいものを乗っけてる曲ってあまりないなと思っていたんですよ。ヒップホップってそのラッパーにどういう背景があって、何を言ってるかがフィーチャーされるジャンルじゃないですか。もっと言えば日本におけるヒップホップってあまり音楽面にスポットが当たらないカルチャーだと思ってました。

だからこそ、クラブミュージック的なテクノやハウスのトラックにラップを乗せるのは面白いなと思ったんです。

観客が30人しかいなかった海外初ライブ

―― ここからが今日の取材の本題でもあるのですが、福永さんのビジョンとして「水曜日のカンパネラの海外進出」は最初から描いていたことだったんですか?

福永:ぼんやりと思ってましたね。僕はもともと京都でバンドのマネージャーをフリーランスでやっていたんですけど、それと並行してイベントのオーガナイズやDJもよくやっていて。

当時、師匠みたいな人がいて、その人がけっこうハワイアンやジプシージャズを取り入れた音楽をやっている日本のバンドたちを広めようとがんばっていたんです。その人のそういうところを尊敬していたし、僕もそういう姿勢でアーティストのサポートをしたいと思って。

その方は、当時ザッハトルテというフレンチ、ジャズ、アイリッシュやジプシージャズをルーツに持っている3人組のインストバンドをサポートして、彼らの音楽性にポピュラリティを持たせるためにはどうしたらいいかいろいろ考えたりしていたんです。

―― 水曜日のカンパネラも土着的な要素を大事にしているし、その精神は受け継がれていると言えますよね。

福永:そうですね。当時からルーツミュージックを基盤にした音楽を日本でも流行らせられないかということを考えていて。その発想を原点に海外も視野に入れた活動をしたいなと思っていました。でも、日本だとそもそもルーツミュージック自体がなかなかポピュラーになることが難しいし、邦楽のロックだと当時はドメスティックなカルチャーになっていて海外でやっていくのは難しいと思っていました。

ただ大学でクラブで遊んでいたりしていた時に外国の人が遊びに来ていたりするのを見て、クラブカルチャー(ダンスミュージック)であれば言葉の壁が比較的簡単に超えられるんじゃないかなって思ったんです。

―― 水曜日のカンパネラが最初に海外でライブをしたのはいつですか?

福永:2015年の台湾・高雄でのライブが初めてですね。 

―― 反応はどうでしたか?

福永:客層は本当にまだまだニッチというか。お客さんの反応自体はよかったんですけど、集客数が少なかったので「これが現実か…」と思いました。フロアにいるお客さんは30人くらいだったと思います。日本では恵比寿リキッドルーム(キャパシティは約1,000人)でワンマンをするくらいの規模でやっていたころですね。

高雄でのライブの模様(福永氏提供)

―― コムアイさんも最初から海外での活動に興味を持っていたんですか?

福永:いや、なかったですね。コムアイは水曜日のカンパネラで行けるとは思ってなかったのかもしれないです。日本語詞というのもあるし、当初は彼女自体が音楽に対してそんなに興味がなかったというのもあると思います。それこそ、最初に台湾に行った時に海外に興味を持ち始めたのかもしれない。そこからいろんな洋楽を聴くようになったりもして。

―― コムアイさんがクラブに踊りに行くようになったのもここ数年のようですね。

福永:そうなんですよ。ゼロから一気に吸収してここまできているから、コムアイの吸収力は本当にすごいと思います。

海外で改めて気づいた事前プロモーションの重要性

―― 2016年2月に出演したSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト=毎年アメリカ・テキサス州で開催される世界最大の音楽・映像・インタラクティブのフェスティバル)にて初めてアメリカでのライブを経験したのも大きかったと思います。

福永:ただ、SXSW自体が音楽ファンに向けたフェスというよりは、業界にプレゼンする場という感じはすごくしましたね。実際、そうした機会を通じて知り合う現地のプロモーターさんとの縁なんかもあって、海外ライブが決まることも少なくありません。

アメリカの印象だと去年、LAで開催されたタイラー・ザ・クリエイター主催のフェス『CAMP FLOG GNAW CARNIVAL』に出演した時の方が印象深いですね。

CAMP FLOG GNAW CARNIVALでのライブの模様
Photo by 横山マサト

―― タイラー主催のフェスということで、日本でも現行のヒップホップに感度の高いリスナーはかなり反応していましたよね。ただ、ライブ自体はトラップ(2000年代以降に流行したヒップホップのサブジャンルのひとつ。重低音が効いたベースや、連続する打ち込みスネアドラムなどのサウンドが特徴)のビートを主体にしたヒップホップアーティストが多い中で、「4つ打ちのビートを鳴らしているという時点で、じゃあ興味ないやと去って行ってしまう人も結構見かけた」とケンモチさんも言っていましたね。

福永:ヒップホップ主体のフェスであるということを差し引いても、確かに苦戦しましたね。僕はフェスって出演する前が一番の勝負だと思っていて。開催前に噂が広まればお客さんが集まるし、そうじゃなければ集まらない。だから、ふらっと通りかかる人じゃなくて「カンパネラのライブを観たい」と思う人をもうちょっと増やせればよかったなと思いました。

今後、そのためにどうすればいいのかけっこう考えましたね。会場で2番目に大きなステージでライブをやったというのもあるんですけど。MigosJusticeと同じステージだったんですよ。

―― 海外向けのプロモーションも、一から考えるのは簡単ではないですよね。

福永:そうですね。ただ、面白い女の子に対して海外のメディアは結構アンテナを立てているなという実感があって。

なので僕が気をつけてるのは、コムアイの存在を「ジャパンカルチャーを代表する一人です」みたいな見え方にはならないようにすることなんですよ。そうなってしまうと、どうしても広義のオタクカルチャーの一つとしてしか扱われない、他の層に広がっていけない危うさがあるなと思うんですね。あたりまえのように海外の他のアーティストと肩を並べていないとダメなんです。

米・英ではなく、アジアに注目するワケ

―― 確かにコムアイさんのように、ボヘミアン然とした精神性とコンテンポラリーなアート意識を持って音楽表現している人は、ジャパンカルチャー的な記号性や帰属性がネガティブな要因になりかねない側面があると思います。それと同時に、今回の『ガラパゴス』という新作が象徴的ですが、日本でしか生まれ得ないポップミュージック像を追求することも水曜日のカンパネラにとっては一つの大きな命題であると思います。そのバランスはすごくデリケートですよね。

福永:それはすごく感じますね。「日本らしさって何だろう?」って思うんです。コラボレーションする海外のアーティストと話している中で、久石譲さんの名前がよく挙がるんですね。「メロディが日本っぽい音階で面白い」と。そこで、なるほどって思うんです。

そういう目線で曲作りをしていったほうが、海外の人も反応しやすいのかなと思ったりもします。海外アーティストとコラボすると相手が求める日本らしさが見えてくることは多いですね。

フランスのバンド、Moodoïd(ムードイド)とのコラボ楽曲。今年リリースのそれぞれのアルバムに収録されており、両者はフランスのフェス『La Magnifique Society』で共演も果たした。 

―― そうした経験を踏まえたうえで、「この国・地域から攻めていこう」というような構想はあるんでしょうか?

福永:今はまずアジアを意識しています。やっぱり「向こうからこちらの活動をちゃんと見てくれてるから行きやすい」というのは大きいです。日本から見た韓国のアーティストに近い感覚があると思うんですよ。

もちろん、その感覚をアメリカのリスナーにも持ってもらえたら最高ですけど、現状はまだまだ難しいので。今はSpotifyなんかで都市別の楽曲再生数がわかったりだとか、現地でプロモーションをどうかけるとどれだけ響くのか、といったことがある程度データとしてわかるようになった時代でもあるので、むしろよりリアリティを持って戦略・戦術を考えられるようになってきたところもあります。

あと、これも最近強く思ったことなんですけど、ヨーロッパはヨーロッパでけっこう国ごとにガラパゴス化している気がしていて。あたりまえですがフランスにはフランスのシーンがあるし、ドイツはドイツだし、スペインはスペインという感じで。ただアメリカ発のヒップホップやR&Bのアーティストは、ヨーロッパ諸国のSpotifyランキングのトップ10に何組かは絶対に入っているんですよね。そこに食い込めるようになるのが目標ですけど、まずはアジアでしっかり足場を固めていきたいです。

メディアで“盛り上がるっぽく”見せるだけじゃ意味がない

―― コムアイさん的には昨年11月に出演した香港のフェス『Clockenflap Festival』でのライブにすごく手応えがあったと言っていましたね。

福永:それはライブを通して「自分たちのやりたいこと」ができたというのが大きいと思います。たとえば客席に降りてパフォーマンスができたりだとか。国・会場によっては規制でできない事も結構あるんですよね。

あと、客層としても無国籍感というか「音楽が良かったらどの国出身でもオッケー!」みたいな人たちが集まっていて、その反応が気持ちよかったんです。集客も好調で、デンマークの女性シンガーソングライター、MØ(ムー)と同じくらい集まったんですよ。それは一つの自信になりました。

―― コムアイさんも「今は日本のシーンを意識するより、海外に積極的に進出していった方がいいのではないか」と考えてるようですね。

福永:それも理想としてはアリだと思います。でも、やっぱりハードルは高いですよ。海外でライブをして、メディアやSNSを通じて“盛り上がってるっぽく”見せることはできると思いますけど、それだけだと意味がないというか、次のアクションにもつながらないですし。リスナーの「本当に支持されているんだ」という現場感覚、リアリティを持たせるのは簡単にはできません。

ただもちろん、海外でライブができるのは経験としても大きいし、これからも継続的にやっていきたいと思ってます。でも、そこでちゃんと利益を生み出して、ファンを獲得しなければ長続きしないので。日本には日本のファンがいて、海外には海外のファンがいるということが自然になればいいと思いますけど、今はまだまだその過程だと思います。

乱立するフェスには、よりフックアップ機能を期待したい

―― 日本のフェスに対してはどういう視点で捉えていますか?

福永:日本のフェスも好きですよ。けど、フェス自体が増え過ぎた気がします。

―― どの季節でもほぼ毎週末になんらかのフェスが開催されてますよね。だからこそ、どのフェスに出るのかという選択も重要になっていると思います。

福永:ひと昔前はライブハウスやプロモーターなどが主催する対バンイベントに出て、全国を回るというやり方があったと思うんですけど、今はそれがフェスになってますよね。地域ごとのフェスの特色があるならば、フェスで全国に行けるのはアーティストにとってもお客さんにとっても効率のいい部分は確かにあると思います。

ただそうなると、今度はキュレーションする側の意識が問われてきますよね。売れてる、流行ってるアーティストを集めましたという角度じゃないところでもキュレーションできる、ここに価値があるんだと自ら提言していけるフェスがもっと増えれば、より面白くなると思います。どのフェスも出演者が似てくると面白くないですよね。

―― 集客力を担保しようとすると、どうしても出演者が似通ってしまうというジレンマはいろんなフェスが抱えていると思いますし、フェスが乱立し、お客さんの導線が一極集中化することで、各地域のライブハウスやクラブの文化がどんどん枯渇していく危惧もあると思います。その地域ごとの新しい才能が育つ土壌がなくなってしまうというか。フェスに出演できるアーティストも全体から見れば限られているわけで。

福永:そうなんすよね。だから理想を言えば、例えばSpotifyとかApple Music、あるいは新しいメディアが新しいアーティストを応援する体制ができたらいいんじゃないかと思うんですよね。メディアがキュレーションしてライブハウスをバックアップするとか。できることはあると思います。

もうすでに行なっているメディアもありますが、もう少し各地のドメスティックな部分が見えるようなカタチだと面白いのかもしれません。例えば地元の祭りとかも合わさっているとか、この街ではいつもこの人が出てるとかの名物のアーティストがいても面白いかもしれません。

まだこれからの若いアーティストたちからすると、メディアに取り上げられることってけっこう重要じゃないですか。あと、フェスに行く層とライブハウスに行く客層って昔はちょっと違ってましたよね。そもそもライブハウスに行く人たちはコアな音楽が好きな人や、自分が新しいアーティストを発掘したいという思いが強くて、言わばオピニオンリーダー的な人たちが来るエリアとして機能するべきだと思うんです。

そういう場としての機能をメディアがもっとフックアップできれば、フェスとライブハウスを差別化できるんじゃないかと思うんですけどね。

リスナー層を「人種のるつぼ」へ

―― そうした流れで、たとえば今後、水曜日のカンパネラ主催のフェスを企画する可能性はありますか?

福永:それこそライブハウスでの自主企画イベントは昔よくやってたんですよ。でも今は主催するとしたらパッケージとしての見せ方を深く詰めて考えなきゃいけないと思っていますし、そのためには準備期間が必要だってなるんですよね。そうなると、どうしてもワンマンのほうがラクかってなっちゃうところがあって。

―― 今、水曜日のカンパネラがフェスなりイベントを主催するなら海外アーティストも呼ばないとリアリティがないよな、といったところもありそうですね。

福永:そうですね。そうすると大きなスポンサーをつけてやれたら一番いいと思うんです。

―― 水曜日のカンパネラにとっての理想は、国内にも海外にもリスナーがいて、その様相が人種のるつぼになることだと思うんです。今はそこに向けて攻め始めている感じがするし、勇気づけられている同業者も多いと思います。

福永:そうだとうれしいですね。カンパネラの活動が未来のアーティストにとってちゃんと道標となって、その人たちが扉を開く鍵を置いていけるようにがんばりたいです。


水曜日のカンパネラ