CULTURE | 2020/10/30

隆盛を極めるインフルエンサーの始祖「ブロガー」は本当に感度が高い人?イベントに参加し感じた界隈の空気感【連載】中川淳一郎の令和ネット漂流記(17)

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中川淳一郎
ウェブ編集者、PRプランナー
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中川淳一郎

ウェブ編集者、PRプランナー

1997年に博報堂に入社し、CC局(コーポレートコミュニケーション局=現PR戦略局)に配属され企業のPR業務を担当。2001年に退社した後、無職、フリーライターや『TV Bros.』のフリー編集者、企業のPR業務下請け業などを経てウェブ編集者に。『NEWSポストセブン』などをはじめ、さまざまなネットニュースサイトの編集に携わる。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『ネットのバカ』(新潮新書)など。

マスメディアに代わる宣伝ツールだったブロガー

2000年代中盤、マーケティング界隈でしきりと取沙汰されていたのが「ブロガーイベント」だ。要はブロガーに金銭を払って自社商品の体験イベントに参加してもらい、ブログを書いてもらうことである。書くべき文言を指定されることもあった。たとえばこんな感じだ。

「今回の新しい○○ビールはスッキリとした味わいと爽快なのどごしが特徴です。××製法を使い、これまでよりも麦芽比率を10%高めた結果、コクも増したまさに『ビールの王者』」

当時、企業からブロガーの扱いは「感度とアンテナが高く、好奇心旺盛で良いものを見抜く力がある最先端の人々」といった感じだった。企業の側もマスメディアに代わる宣伝ツールとしてのネットのあり様を模索していた時期にあたる。

昨今、ツイッターやインスタグラムの「インフルエンサーリスト」も流通しており、そうした人々をブッキングする会社も存在する。「1フォロワーあたり5円」といった価格の相場も聞いたことがある。たとえば5000フォロワーいる人が決められた文言をツイートし、写真を掲載すれば仲介業者は25000円もらえる、ということだ。そこから本人に仲介手数料を引いた分が振り込まれるということだろう。

今は「ブロガーイベント」という言葉は聞かれなくなったが、「インフルエンサーマーケティング」は行われている。ツイッターやインスタで商品紹介をしたり、商品を使った感想を報告するほか、「できればブログやnoteでも書いてくださいね♪」というタイプのものだ。というわけなので、広義の「ブロガーイベント」はまだ続いているということになる。

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