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PR 飲食店特化のクラファン支援で2000万円超え連発。リディッシュ松隈剛が語る、コロナ後に生き残る飲食店の条件
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  • 2020.10.16
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飲食店特化のクラファン支援で2000万円超え連発。リディッシュ松隈剛が語る、コロナ後に生き残る飲食店の条件

飲食店における「売上の最大化」と「コストの最小化」をテーマに、クラウドファンディング支援サービス「Make Story」と、会計・税務サービス「Cross Point」および税理士事務所を運営するスタートアップ、リディッシュ株式会社

2015年に同社を立ち上げた代表取締役の松隈剛氏は、公認会計士資格を有する元投資ファンドのマネジャーという異色の経歴の持ち主。投資家としてあらゆる業界のビジネスモデルを研究してきた。そうした中でお気に入りの飲食店が立て続けに閉店してしまい、何か支援できることがあるはずだと思い立ち創業に至ったという。

今回のインタビューでは、同氏が提唱する「PR・マーケティングのためのクラウドファンディング活用」の実践方法や、コロナ禍を経た飲食業界の変化、そして現在CAMPFIREにて支援を募集しているプロジェクト「2020年の締めくくりに、未だかつてない飲食体験を味わえるプロジェクトが始動!」にかける想いをうかがった。

聞き手・文・写真:神保勇揮

松隈剛

リディッシュ株式会社 代表取締役

監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ) 福岡事務所入所、上場企業の公開監査に従事。1999年、クーパースアンドライブランド(現 プライスウォーターハウスクーパース)入社し、M&Aを手掛ける。その後、スパークス投資顧問(現 スパークスグループ)にジョイン、株式公開準備業務に従事したあと、アナリストを経て、ファンドマネージャーに。在籍中は数千億のファンドを運用。2010 年、スクウェアキャピタル株式会社 創業。2015年に飲食店の課題を解決すべくリディッシュ株式会社 創業。

飲食店の大きな問題は「リピーターを生み、増やしていく仕組みがない」

―― まず、松隈社長がどんな経緯で創業されたのかをお聞きしたいです。

松隈:慶應大学の理工学部を卒業し、同級生は大手企業に就職していく中、親が自営業だったこともありそのままサラリーマンになることに疑問を感じていました。とはいえバブル崩壊後だったこともあり仕事の選択肢を広げようと、MBAの代わりに公認会計士の資格を取り、地元福岡の監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)でキャリアをスタートしました。

当時の詳しい話は「会計士の履歴書」というサイトに執筆したので、ぜひそちらをお読み下さい。その後ITバブルが起こり、投資業界の勢いがあったこともあり、東京のクーパースアンドライブランド(現・プライスウォーターハウスクーパース)のM&Aチームに入り、次はスパークス投資顧問(現・スパークスグループ)に入りと、投資にかかわる仕事をしていました。スパークス時代にはファンドマネジャーとして小型株から大型株まで上場しているあらゆる会社を調査し、同時に大きな運用資産を任され、ヘッジファンドの運用も経験するなど数多くの経験を積ませてもらいました。

さらに、当時はスパークスの社外取締役にユニクロの柳井正さん、株主にトヨタの豊田章男さんがいらっしゃり、日本電産の永守重信さんが頻繁にオフィスにいらしたりと、日本の名だたる経営者と直接お話ができたことも大きな糧になっています。

その後、10年以上の運用経験を経て好況・不況の両方が経験できたということでリーマンショック後の2010年に退職し、5年ほど個人の資産管理会社でベンチャー含め投資を行い、その後、2015年にリディッシュを立ち上げました。

―― ベンチャー投資家がその知見でスタートアップを立ち上げる、というのは比較的理解しやすいですが、なぜ飲食というフィールドだったのでしょうか?

松隈:原体験の1つとしてあったのは、大好きで頻繁に通っていたお店が当時立て続けに2、3軒閉店してしまったことです。日本の飲食店利益水準が低く、「3年で5~8割が潰れる」と言われるほど。プロの投資家としてあらゆる業界を見て培ってきた経営手法やテクノロジーの活用などの知見を活かすことができる可能性があり、もっと飲食業界をよくすることができるのではと思いました。

料理は美味しいし値段も手頃、仕事にも一生懸命なのにお店が潰れてしまう大きな理由の1つは「リピーターを生み、増やしていく仕組みがない」ということだと思っています。他の産業だとCRM(顧客関係管理)という用語があり、リピーターがどういう属性で、どういう行動をしているかという情報を取って分析して活用していますが、飲食業界では個人レベルで、サービスの才覚ある人が、自分の記憶や経験ベースでお客さまの情報に基づいたサービス提供を実施しているのが現状です。

現在、リディッシュのサービスは飲食店のクラウドファンディング支援サービス「Make Story」と飲食特化の会計・税務サービス「Cross Point」の2つ、そして税理士事務所も運営しています。

飲食特価の会計・税務サービス「Cross Point」

そして今年3月までは社名と同じ「リディッシュ」というアプリを運営していました。比較的高単価のレストランとお客さんが直接チャットのやり取りで予約ができるようサービスです。システムにデータが溜まるので、しばらく来ていない人に自動的に新メニューなどのメッセージを送れるようにしていました。ユーザーもお店の人と直接やり取りをして予約できるのは特別感もあるし、お店としてもお客さんを掴みやすいというメリットがあります。

現在、事業領域が複数にわたっていたこともあり、経営資源を集中させるためにサービス提供を一時的にストップしていますが、緊急事態宣言明けで一番早く回復した飲食店は、どこもFacebookなどで常連さんとつながっているところでしたので、やはり、お店の外でもお客さまとつながって、関係性を築くことが重要だということを再認識しており、われわれのサービスはそれを実現できるので、いずれサービスの再開を目指したいと思っています。

PR・リピーター獲得のためにこそクラウドファンディングは使うべき

クラウドファンディング支援サービス「Make Story」

松隈:「リディッシュ」と平行して、クラウドファンディング支援サービス「Make Story」も2016年からスタートしています。クラウドファンディングもまた、単に資金調達を行うためだけではなく、PRとリピーター獲得のための手段として位置づけています。CAMPFIREもMakuakeもずっと年率50%ぐらいの勢いでユーザー数が伸びていて、今はどちらも100万人ほどの利用者がいます。

飲食店のクラウドファンディングにどんなメリットがあるか、より具体的にご説明をしていくと、1つはPR効果です。クラウドファンディング募集ページのPVも数万、多い時は数十万に上ります。いま、雑誌に記事広告を出しても、それだけ多くの人にリーチさせるのはなかなか難しいのではないでしょうか。

2つ目は「実際にコースチケットを購入して、来店してくれる商品・サービスを買ってもらうことができる=効果検証ができる」ということです。お店のことを知って終わりではなく、来店までつなげることができるのが特徴です。

3つ目は「支援者へのメッセージ機能を通じてつながれる」という点です。これまでのレストランマーケティングの大きな問題のひとつは「顧客がお店に来た時しかタッチポイントがない」ということでした。基本的には待ちの姿勢しかできなかったということです。

例えて言うと、お客さまというのは、いわばモテモテの美男美女のようなもので、どこでも自由に選ぶことができる。そんな人とせっかくデート=来店してもらうまでにこぎつけたのに、なぜLINE交換をして次の機会につなげないの?という話なんです。

そしてコスト面のお話をすると、我々の経験上、リターンとして食事券などを渡しても、3割ぐらいのユーザーは期限切れまでに使用しないのです。プラットフォームの手数料が支援額20%前後、当社の成功報酬が10%ですので、それで相殺できてしまうとも言えます。そしてもし期限切れになったユーザーから連絡があったとしても、対応すべきだとお伝えしています。向こうは申し訳ないと思っているので普段通りにするだけで“特別扱い”してもらえて評価が上がる、つまりリピーターになってくれる可能性も上がるわけです。

―― 「特にこうしたお店はクラウドファンディングを実施すべきだ」というような条件はあるのでしょうか?

松隈:一番オススメなのは開業前です。ユーザーは常に目新しいものを求めていますし、オープン2カ月ぐらい前から準備し、1カ月前にプロジェクトを公開して上手くいけば資金調達できる以上に、オープン時には支援者=お客さんがいる状態にできるのです。普通の飲食店は、オープン時には知り合いが来てくれても、その後の認知拡大が非常に大変です。クラウドファンディングはそのリスクも下げてくれます。

既に開店しているお店の中では、「オンリーワンな特徴があるのにまだ知られてないお店」は強いですね。一方で、特徴がない店は、ユーザーが支援する理由がないので、難しさがあります。そのため支援をするお店とは、リターン設計だけではなく、お店の強みは何か、誰に何を売るか、なぜ他ではなくこのお店でなければならないのかといった差別化ポイントを徹底的に議論します。また、差別化ができてないお店に対しては、できるだけ差別化のあるお店になるように働きかけます。

差別化ポイントというのは、「友人にお店を勧める時にどう説明するか」の一言二言に集約されます。すぐにはできないことも多いですが、クラウドファンディング限定であっても「ここでしか食べられない料理を開発しましょう」と提案したりします。

―― これまでの支援事業の成果はいかがでしたか?

松隈:最初の案件は銀座にある「庭 Garden of four seasons」という、カウンターの前にテラリウム(室内庭園)があり、和フレンチのフュージョン割烹料理がリーズナブルに楽しめる会員制のお店です。当時のクラウドファンディングの最高支援額が1500万円だったところ、2600万円の調達に成功しました。

「庭 Garden of four seasons」のHPより

また、麻布十番にあるこちらも会員制の「HANAREYA concrete lounge(ハナレヤ コンクリートラウンジ)は、今はもう閉店してしまったのですが、バーラウンジの奥に絨毯のある個室があったので、「都会のセカンドハウス」というコンセプトを打ち出しました。この個室を使える権利を10万円で出していたのですが、あまりにも売れすぎたのでストップしてしまいました。こうした立地ですと、異性にカッコいいところを見せたいと思い、利用する方も多いので、そうした層に刺さったと見ています。

客単価が1万円を超えるようなお店だけではなく、ホルモン店やハンバーガー店でも実績はありますが、現状のユーザー層の年収は700万円以上が多く、リテラシーも高い人が多いです。気に入れば1~3万円をポンと出せる人たちですし、とにかく“良いモノ”が求められていると感じます。

直近ですと、名古屋の「うな富士」といううなぎ料理店が東京進出するにあたって展開したプロジェクトでは、支援期間を2週間ほど残した時点(取材時)で約1270万円の調達に成功しています。支援の最低金額は上うなぎ丼2名分で8900円ですが、ここがまさにユーザー層のボリュームゾーンにマッチしたプロジェクトだと感じています。

「うな富士 有楽町店」のHPより

外食の回数は減るが価値は上がる。顧客の心を掴む「体験」を提供できるか

―― 新型コロナ以降の飲食業界の変化はどう見ていますか?

松隈:上場企業の決算資料を見ると、郊外や住宅街にある、大衆店やファミリー向けのお店は明確に回復してきましたね。一方、繁華街や商業施設のお店はまだまだ厳しい状況が続いています。

飲食業界以外も含め、デジタルシフトが一気に進み、ネット関連企業の株価は大幅上昇する一方、そうでないところは伸び悩んでいます。当社にも、今まではなかったような層からのクラウドファンディング支援の問い合わせがかなり増えました。

政府の産業支援がストップする、来年にかけて大変な淘汰が起こり、資本力のある大手企業と地元密着型の小規模店の2極化がより進むと思います。ただ一方で店舗再生案件が増え、「小規模・複数店舗」のポジションが空くチャンスがあるとも考えています。今からお店を始める人は良い物件・人材獲得のチャンスですし、デジタルシフトとデリバリーが一気に浸透したことを筆頭に業態・ビジネスモデルの大幅な変化(収益源の多様化、固定費のさらなる低廉化など)にも既存店舗より対応しやすいです。

在宅勤務は来年以降もしばらく続き、新型コロナが収束しても働き方が選べる状態は続くと見ています。大企業の接待もほぼ禁止になりましたし、今後も「本当にその相手と対面の必要があるのか。オンライン会議ではダメなのか」は問われ続けるでしょう。そのため外食の回数が減ったとしても1回の外食の機会は貴重になり、価値は相対的に上がる、客単価も上がっていくのではないかと予測しています。

昨今の「外食の価値」は、料理が美味しい、価格がリーズナブルであるといった、食べログの点数的なところで評価される部分が大きかったと感じていますが、1回1回の外食がより貴重になるのだとすれば、居心地がとても良い、このお店でしかできない体験があるといった感覚的な部分の重要性もより高まるでしょう。だからこそ、リピーターを重視する方向に転換する必要があると考えているのです。住宅街立地・低価格帯のお店は今後も鉄板だと思うのですが、皆が狙いに行くような分野は競争激化が起こり儲かりづらくなるのはいつの世も同じです。

―― 今回、CAMPFIREで展開している「2020年の締めくくりに、未だかつてない飲食体験を味わえるプロジェクトが始動!」のクラウドファンディングでリターンを提供するのは、いずれも有名な高級店ばかりです。新規オープン店PRとも、苦しい既存店支援ともまた違う位置づけだと感じたのですが、どのような経緯で始まったのでしょうか?

松隈:おっしゃる通り、「外食の価値が高まる」という考えのもと、名店の味を気軽に楽しめる最初の機会を提供したいと考えました。これまでであれば絶対に参加しないであろう有名店の料理を1万円前後から体験できる、手前味噌ながら奇跡に近い企画だと自負しています。例えば参加いただいた『Wakiya 一笑美茶樓』さん、『麻布 かどわき』さんにしろ、普段行くと1人3~5万円ほどかかるお店です。「こんな時期だから何か新しいことにチャレンジしてみよう」ということで、5つの名店に協力いただきました。

構想が動き始めたのが今年の4月ごろ、感染者数が最初のピークを迎えていた頃でした。当初は7月の東京オリンピックに合わせて展開しようと思っていたものの再びピークが訪れて延期となり、ようやく9月にスタートできた格好です。

今後は「レストラン版のスタートアップスタジオ」立ち上げへ

―― 最後に今後の事業展開についてお聞かせください。

松隈:今後、リディッシュのビジネスは3層構造にしていきたいと考えています。

1層目は現在手掛けている集客PR・資金調達と会計です。飲食店が直近で困る売上と財務を支援するサービスがまずベースとしてあります。そして2層目として作っていきたいのはDX関連の事業です。1層目で会計事務所もやっているので、あまり表に出ない「飲食店のリアルな決算動向」が当社にはどんどん蓄積されています。これをベースにした付加価値の提供をやっていきたいです。

3層目は起業支援と再生事業です。具体的にはレストラン版のスタートアップスタジオを設立させる予定です。なお、スタートアップスタジオのビジネスモデルは、単に投資するだけでなく、各分野の専門家が集い、アイデア時点から起業家をバックアップすることにより成長を実現するものです。飲食業界では「0から1」を創造ができる人は結構いるのですが、2店舗目からは経営スキルが必要なので、つまづいてしまう人も少なくありません。「1から10」を再現性高く実現するためには、マーケティングやファイナンスの知識も必須です。このレストラン版のスタートアップスタジオのビジネスモデルを構築するために、業界の中でも特に優秀な方とご一緒する計画が進んでいます。

また再生事業については、よくある「再生ファンド」ですと大半は財務的なアプローチ、つまりコストカットから始めていくのですが、財務改善とマーケティングを同時に実行できるプレーヤーはほとんどいません。ここも当社の強みを活かしていきたいと思います。

当社のコーポレートビジョンは「出会いを価値あるものに」です。飲食業界は人と人が出会い、人がサービスする典型的なピープルビジネスです。その人が出会う場所を提供している価値の高い産業において、ユニクロのスーパースター店長のように、自分たちの好きな料理とサービスを追求したら豊かになれる世界を作りたいと思っています。AI時代は人間がやらなくていい仕事が増えるからこそ、対面仕事の価値が上がります。そのためのサポートを全力で取り組んでまいります。


2020年の締めくくりに、未だかつてない飲食体験を味わえるプロジェクトが始動!

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