文:滝水瞳
愛らしい仕草やしなやかな動きで私たちを虜にする猫。しかし一方、病気や怪我で苦しんでいる猫が大勢いることもまた事実だ。
どん底の生活を送っていた野良猫が優しい飼い主と出会い、その表情のビフォアアフターが、SNSで注目を集めている。
野良猫に心奪われ、保護施設を通い詰める日々
アメリカに住む猫好きのサンドラさんは昨年8月8日の「国際猫の日」、ミネソタ州の動物愛護協会が投稿した1匹の野良猫に目を奪われた。目つきがまるで何か話したげで、とても悲しそうに見えたという。この野良猫は当時、保護施設におり「ブルース・ウィリス」と名付けられていた。
6年間、路上で過ごしてきたウィルスは、他の猫と戦った傷によって目が垂れ下がり、歯がかけていて、片方の耳は折れ曲がっていた。さらに保護施設で他の動物から感染して上気道感染症を患い、猫の免疫不全ウイルス(FIV)検査では陽性反応もあった。サンドラさんはすぐにウィリスを引き取りたかったが、賃貸に住んでいたため家主との契約上、猫を飼うことができなかった。
サンドラさんは、「彼は悲しそうに見え、とても悲惨な状況だったので、胸が張り裂けそうでした。私は何度も彼に会いに行きました」と『Bored Panda』に語っている。2回目の訪問では、ウィリスは風邪を引き、FIVの感染症を患っていたため容体はさらに悪化していたという。
サンドラさんは誰かに引き取ってもらえないかと願いながらも、ウィリスのことが気がかりで定期的に保護施設に訪問し続けた。しかし、このままでは埒が明かないと意を決し、家主に直談判。アパートのペット禁止を免除してもらうよう懇願した。
そして保護施設に通いつめて約1カ月後、ついに家主から許諾を得ることに成功。願ってはいたものの「例外を認められたときは本当に驚きました」と語るサンドラさん。承諾を受けた翌日、すぐにウィリスを自宅に連れてきた。