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「内科がヒマな夏」に体調不良が急増?意外と徹底できていない「コロナ対策の基本」を『感染症自衛マニュアル』著者の佐藤昭裕さんに訊く
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  • 2020.08.14
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「内科がヒマな夏」に体調不良が急増?意外と徹底できていない「コロナ対策の基本」を『感染症自衛マニュアル』著者の佐藤昭裕さんに訊く

新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、地方都市にも波及する昨今。「三密に気をつけよう」ということは誰しもがわかっているが、ネットでは「この対策が重要」「いやそれは意味がない」という論争も多数発生しており、誰しもが適切な判断を下せるわけではないし、、厚労省や自治体のウェブサイトも「この部分をざっと知りたい」という情報を探し当てるのは意外と難しい。

そうした中で東京・五反田でKARADA内科クリニックの院長を務める佐藤昭裕氏が7月に出版した『感染症専門医が普段やっている 感染症自衛マニュアル』(SBクリエイティブ)は非常に参考になる内容だ。感染症にまつわる基礎知識から始まり、自宅・外出先で注意すべき点や、感染が疑われる症状が出た場合にどうすれば良いかなど、基本的な内容が網羅されている。

今回のインタビューでは、改めて知っておいてほしい「自衛の基本」に加え、内科開業医である同氏に目下の現況がどうなっているかという点についてもうかがった。

※今回のインタビューは7月29日に実施し、その時点での情報に基づいています

聞き手・文・写真:神保勇揮

佐藤昭裕

KARADA内科クリニック 院長

東京医科大学卒業後、総合診療科・感染症科に勤務。2008年度東京医科大学病院ベストレジデントを受賞。東京医科大学病院感染症科医局長や東京医科大学茨城医療センター感染制御部部長、感染症科科長などを経て、2019年品川区・五反田に、KARADA内科クリニックをオープン。総合診療医として全身の幅広い診療と、感染症専門医としてHIV感染症や結核、マラリアなどの診療に加え、集中治療、院内感染対策、ワクチン診療などに従事。
「東京都感染症マニュアル2018」や「感染症クイック・リファレンス」などの作成に携わる。『感染症専門医が普段やっている 感染症自衛マニュアル』(SBクリエイティブ)を出版予定。現在は、新型コロナウイルス感染症に関して、各種メディアでコメンテーター(専門家解説員)としても活躍中。【日本テレビ】スッキリでは2020年3月より週2~3回の頻度で、新型コロナウイルスの対策や課題を感染症専門医のゲストとして解説しています。

「手洗い・マスク着用」のほかに徹底が必要な対策は?

『感染症自衛マニュアル』の表紙

―― まず、端的に「あまり皆が重視してないものの、これは本当に大切だ」という対策は何でしょうか?

佐藤:最近特に感じるのは「換気の重要性」です。手を洗おう、マスクをつけようというのはみんな結構神経質にやっていると思うんですが、換気が疎かになってしまっている場面があると思うんです。

先日も新宿の劇場でクラスターが発生しましたが、あれも換気の問題があったんじゃないかと感じています。あとは「クーラーを使えば窓や扉を開けなくても換気ができる」と思っている方も結構いるので、そういう誤解を解いていく必要があると思います。

―― 当該公演を主催したライズコミュニケーションから、7月27日に事実経緯報告書が発表されています。報告書PDFの8ページ目に換気に関する記述がありますが、佐藤先生の見解をうかがいたいです。

佐藤:公演前と休憩時間には換気をしていたようですが、休憩後に1時間30分連続の公演があったようです。これは明らかに換気不足となっていたように思います。大声を出すこのような舞台などでは、休憩時間の入れ方(換気時間の確保)も今後考え直す必要があるように思います。

もちろん、すべてのケースで「換気が不十分だったことこそが原因だった」と言えるわけではありません。最低限、国・自治体などのガイドラインに沿うべきだと思いますが、詰まるところあとはトライアンドエラーを繰り返すしかないと思います。

―― 本を読んでいて印象的だったのが、P166の「感染予防は束でなくては意味がない」という箇所でした。確かに自分も「手洗い・人混みを避ける・目や口や鼻を触らない・せきエチケット・体調が悪いときは休む」の5項目を全部徹底できているかと言えば正直やれていないなと感じました。

『感染症自衛マニュアル』本文より

佐藤:この5項目をすべて実施することは非常に大切だと思います。それが個々人でできる内容ですが、お店やイベント主催者がやるべきことはちょっと違うということですね。

―― 住宅街立地のスーパーやカフェ、オフィス街にある居酒屋は4~5月の緊急事態宣言中からずっと混んでいる印象があり、これらのシーンでの注意点を改めてお聞きしたいです。

佐藤:スーパーは、店内の密集を防ぐためになるべく1人で行く方がいいですね。あとは滞在時間を短くするために事前に買うものをリストアップし、それ以外に買わないようにする。あとは外のウイルスを持ち込まないために入店時の手指消毒、あとは会計後、帰る前の手指消毒も重要です。出る時は結構忘れがちですよね。それは飲食店でも共通して言えると思います。そして本でも触れましたが、トングで取る惣菜は選ばず、個包装のものを選びましょう。

『感染症自衛マニュアル』本文より

居酒屋も入口でのアルコール消毒は徹底されてきていると思うんですが、手が乾く前におしぼりを触ると意味がありません。むしろおしぼりの方が汚い可能性もあるので。手を拭くことには使用せず、口周りを拭いたりするのに留めておいた方が良いでしょう。

席を座る場所も気をつけてほしいですね。一緒に生活する家族との場合はそこまで気にする必要はないかもしれませんが、そうでない相手との場合は4人がけの席なら斜向いに座ってなるべく距離を取った方が良いですね。正面を向いて話すと飛沫が飛んでしまいますので。

加えて、全国の自治体が店舗・飲食店向けに「ガイドラインに沿った感染対策をしています」というステッカーを発行していますが、残念ながら「ステッカーが張ってあるから安心だ」とは言えない状況です。これは事業者側の「ガイドラインを遵守している」という自己申告のみで作れますので、全店舗で実態が伴っているかを第三者が確認しているわけではありません。個人的にはその辺りを評価する口コミサービスがあるといいんじゃないかと思っています。それが普及すれば、対策が不十分なお店も徹底せざるを得なくなるのではないでしょうか。

次ページ:「夏はヒマなはずの内科」が混み合う事態に

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