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「コロナ後の新商機」を早くも見出す企業たち。混乱期の今こそが大変革のチャンス!【連載】オランダ発スロージャーナリズム(25)
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  • 2020.06.22
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「コロナ後の新商機」を早くも見出す企業たち。混乱期の今こそが大変革のチャンス!【連載】オランダ発スロージャーナリズム(25)

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大手ファッションECが「2023年からサステイナブルなブランドしか販売しない」と宣言

Zalando自身も「2025年までに自社事業における炭素排出量の80%を削減する」と発表 

たとえば5月29日のEURONEWS記事によると、ヨーロッパで一番大きいとされるドイツ発のファションECサイト、Zalandoは、2023年からサステイナブルファッションブランドのみを自社のサイトで取り扱うと発表しました。

Zalandoには、およそ2000社のファッションブランドが出店していますが、2023年からは、すべての出展企業はSustainable Apparel Coalitionというアパレル業界のサステイナブル化を推進する団体の定めた基準に準拠することが求められています。製造過程にまで翻って、そこで働いている労働者のフェアな権利や賃金、そして二酸化炭素排出量の低減などが基準値に達していることが条件となります。

日本で言うと、ZOZOに出展しているすべてのファションブランドが、サステイナブルな基準を満たさないと出店できなくなる、といった感じでしょうか。なかなかに大きなインパクトのある方針だと思います。とはいえ、実はこうした取り組みを進めているファッションブランドは、オランダにおいてもすでに結構な数が存在しています。ファストファッションとは対極にある流れです。

ファストファッションというと、世界でもその筆頭の一つに挙げられるZARAが、「全世界でおよそ2割にあたる1200店舗を2021年内に閉店する」というニュースが流れたのは記憶に新しいと思います。不採算店舗の整理や、もともと推し進めてきたECショップとリアル店舗の統合が主目的とのことなので、厳密に言うとグレート・リセットの流れではないのかもしれませんが、コロナ後のファッション業界の変化の一つであることは間違いなさそうです。

また先日、弊社ニューロマジックグループで主催したサステイナブルに関するセミナーで、キーノートを行ってもらったオランダのコンサルティング会社、Except Integrated Sustainabilityのディレクターであるトム・ボスハールトたちが手がけたプロジェクトの話を聞きました。その中で世界最大の発行部数を誇るIKEAのカタログをいかにサステイナブルにするのか?という課題に対して、カタログ制作会社のサステイナブル度を基準化し、データベース化することで、IKEAのカタログ制作に関わるステークホルダーのサステイナブル度を大幅に上げ、結果的に制作費用を抑えながらも、サステイナブル度を上げたというプロジェクトの話をしてくれました。

Except Integrated Sustainabilityのサイトで当該プロジェクトを解説した記事「How IKEA Is Creating a Self-Learning Supply Chain」を公開中

さらにオランダではavantiumという会社が、植物性の素材を使用して土に還るペットボトルの開発をしています。こちらは2023年にはコカ・コーラ社が使用を開始する予定とのことですが、すでにカールスバーグとは、100%再生可能なビールのボトル開発もしています。

もっとも驚くべきことに、そして嬉しいことにavantiumとは東洋紡などの日本企業もパートナーとなり一緒に開発を行っているようです。

avantiumのサイト内のプロジェクト紹介ページより

こうした事例は、必ずしもコロナ後に起こったことではありません。しかし、コロナをきっかけに、この流れが加速しているような感じはします。そして、いずれもそれぞれの業界を一変するほどの影響力を持つ事例です。世界がこういう方向にスピード感を持ってシフトしていることは知っておくと良いかもしれません。

なぜなら、今後、確実にこうしたことは世界の大きなビジネストレンドになっていくと思われます。オランダでは、すでにこうしたことがビジネス上のメジャーな流れになっています。いかにサステイナブルであるか? いかにサステイナブルな社会を作っていけるのか?が、そのビジネスの根幹になっているのです。

スタートアップはもちろんのこと、既存の大企業も大きくそちらにシフトしています。先に例に挙げた、IKEAやコカ・コーラ、カールスバーグ、Zalandなどは、その例です。

すべての業界がグレート・リセットに向けて動いている

建築界においても、オランダは今年から世界に先駆けて、「すべての建築物におけるすべての建築資材を登録しなければならない」という法律が施行されています。2050年以降は地球資源から新たな素材が作られることをゼロにする、100%サーキュラーな世界を目指す上で、今ある建築資材は、将来、別のものに作り変えられたり、再利用されなければなりません。そのために、「Madaster」という、いわばネット上の資材図書館のようなものを構築し、すべての素材が可視化され、3Dデータで管理されるものを目指しているのです。

現在、サステイナブルな状態が実現できている割合は、世界で8.6%と算出されています。サステイナブル先進国家であるオランダでさえ24.5%です(Circularity Gap Reporting Initiativeより)。これを2050年までに100%にする、というのが世界の目指している状態です。

こうしたことを聞くと、商魂逞しいオランダ人は「ここには、まだまだビジネスチャンスがある」と考えるでしょう。我々日本人も、こうしたマインドは見習ってもいいかもしれません。

そう、この100%サーキュラーにはほど遠い世界には、まだまだ無限のビジネスチャンスがあるのです。コロナ後の今こそ、チャンスなのかもしれません。


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