CULTURE | 2020/06/09

「ガジェット分解」は正しい、そして楽しい。技術をブラックボックスにしないために【連載】高須正和の「テクノロジーから見える社会の変化」(4)

5月21日に開かれた「分解のススメ」オンラインイベントより
過去の連載はこちら
「ソフトウェアがあらゆるビジネスを食...

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5月21日に開かれた「分解のススメ」オンラインイベントより

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「ソフトウェアがあらゆるビジネスを食い尽くす」(マーク・アンドリーセン)時代には、技術を自分たちのものにすることが重要です。20世紀のビジネスではソフトウェアは発注して他人に書かせるのが一般的でしたが、21世紀には技術を自分のものにし、ビジネスを作り上げるソフトウェアを自分たちで書くのが当たり前になっています。

そのために、技術をブラックボックスにせず、自分のものにしていくことが大切です。

高須正和

Nico-Tech Shenzhen Co-Founder / スイッチサイエンス Global Business Development

テクノロジー愛好家を中心に中国広東省の深圳でNico-Tech Shenzhenコミュニティを立ち上げ(2014年)。以後、経済研究者・投資家・起業家、そして中国側のインキュベータなどが参加する、複数の専門性が共同して問題を解くコミュニティとして活動している。
早稲田ビジネススクール「深圳の産業集積とマスイノベーション」担当非常勤講師。
著書に「メイカーズのエコシステム」(2016年)訳書に「ハードウェアハッカー」(2018年)
共著に「東アジアのイノベーション」(2019年)など
Twitter:@tks

オープンソース・ソフトウェアが生んだ技術の民主化

深圳で開発中の教育用ロボ。構築と分解は、モノ作りの両輪

Amazonは流通業、Airbnbは宿泊業、スマホ決済のアント・フィナンシャルは金融業を営んでいますが、ビジネスの価値は彼らが自社で開発しているソフトウェアから生まれています。タクシーの配車をビジネスにしているUberやDidiは、ハードウェアを含めた自動運転の実験を繰り返しています。新しいハードウェア・ソフトウェアを作ることは、ビジネスを作る上で不可欠になっています。というよりも、ソフトウェアを含めたモノ作りをすることが、そのままビジネスを作ることにつながると言えるでしょう。

どのようなビジネス、たとえば販売業でも宿泊業でもソフトウェアを自分たちで書いています。こうした、「必要なソフトウェアは自分たちで作る」という文化はオープンソースのソフトウェアが広まり、多くの場所で使われてきたことにより形成されてきたものです。自分たちが使うソフトウェアは中身を把握できるべきであり、必要なものは自分たちで改善できるべきという文化は、テクノロジーが社会を動かしていく中で、「自分事」を増やしていきます。かつては大企業や研究所など、最先端のテクノロジーに触れられる人が限られていたのが、世の中全体に拡散しているのは、技術の民主化と言えるでしょう。

ハードウェアでも、技術の民主化は進んでいます。メイカー・ムーブメントにより、ハードウェアを自分たちで創り出すスタートアップも増えてきました。自動運転や決済などで、目的に向けてハードウェアを自作する会社や個人は増えています。

2012年に『メイカーズ』(NHK出版)を出版し、メイカー・ムーブメントの立役者となったクリス・アンダーセンは今、DIY Robocarsというオープンソース・ソフトウェアとオープンソース・ハードウェアによるAI自動運転カーのコミュニティを立ち上げています。

「メイカーフェア ベイエリア2018」でDIYで作るAIカーについて語るクリス・アンダーセン

このコミュニティも、AIと自動運転という技術の民主化を、より促進していくことが社会全体の発展につながる、その中でクリス・アンダーセン自身のビジネスも広げるという取り組みです。

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