EVENT | 2026/04/01

日本発カルチャーを世界へ
「Red Bull Tokyo Drift 2026」 がつくる
ブランド発信の場

2026年3月21日(土)ESR横浜幸浦ディストリビューションセンター3にて開催

文:赤井大祐 編集:カトウワタル(FINDERS編集部)
Photo:Joerg Mitter Red Bull Content Pool

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日本発祥のカルチャー“ドリフト”を世界へと発信

いま、日本のドリフトやカスタムカーの文化は、世界的に再び注目を集めている。

近年、レッドブルはスキージャンプ台を逆走する「Red Bull 400」や、公道をF1マシンが疾走する「Red Bull Showrun」など、既存の枠にとらわれないイベントを世界各地で展開してきた。そんなレッドブルが次にフォーカスしたのが、日本発のカーカルチャー、いわゆる「JDM(Japanese Domestic Market)」だ。映画『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』や漫画『頭文字D』によって世界に広まったドリフト文化は、競技としてだけでなく、ファッションや音楽、ライフスタイルとも結びつきながら広がりを見せている。

2025年10月に東扇島で開催されたプレイベントでは100台を超えるカスタムカーが集結し、大型物流倉庫のランプウェイを使ったドリフトエキシビションが国内外のSNSを中心に話題となった。そして2026年3月21日、規模とクオリティを大幅にスケールアップさせた「Red Bull Tokyo Drift 2026」が開催された。

またこうしたレッドブルの取り組みで着目すべきは、かつてアンダーグラウンドなイメージも伴っていたドリフトを、さまざまなハードルを乗り越え、法令に準拠した形でイベント化し、スポーツとして昇華させている点にもある。さらに音楽やファッションといった要素と結びつけることで、独自のカルチャーとして再構築している。

物流倉庫が“非日常空間”へと転換

会場は、神奈川県横浜市にあるESR横浜幸浦ディストリビューションセンター3。普段は物流の拠点として機能する巨大倉庫だが、この日はネオンライトや重低音に包まれた非日常的な空間へと様変わりしていた。

広大なフロアには約500台のカスタムカーが並び、音楽が爆音で鳴り響く。オイルや排気ガスの匂いが漂い、これまでのモータースポーツイベントとは異なる雰囲気をつくり出していた。フロア間を繋ぐ巨大なスロープは来場者の動線として機能し、上階へと進むごとに異なる景色が広がる。夕暮れとともに建物の外壁がライトアップされると、会場の熱気は一段と高まっていった。

Joerg Mitter Red Bull Content Pool

2フロアにわたるカーミーティングエリアには、映画『ワイルド・スピード』シリーズの車両デザインで知られる<ヴェイルサイド>の代表作「フォーチュン」や、高級車のワイドボディカスタムで知られる<リバティーウォーク>、ポルシェの世界にワイドボディ文化を持ち込んだ<RWB>など、現在のカーカルチャーを担うプレイヤーが集まった。さらに、カスタムカーブランド<Rocket Bunny>を展開するTRA京都の三浦慶氏も来場し、本会場で新作モデルを初披露した。 一方、個人オーナーのカスタムカーも多数展示され、国産車からヴィンテージアメリカン、欧州車まで幅広い車両が並んだ。会場では来場者が車両を撮影したり、オーナー同士でSNSアカウントを交換したりする様子も見られた。

一方、会場となった物流倉庫を運営するアジア最大級の不動産アセットマネジメント会社であるESRにとっても、物流施設の新たな活用の可能性を示す機会となった。保管・輸送のためのインフラである物流倉庫が、カルチャーの発信拠点となる。こうした今までにない取り組みは、不動産の価値の再定義にもつながるだけでなく、企業としての先進性を印象づけ、一般層への認知拡大にも寄与したとみられる。

ドリフト、WRC、F1──カテゴリーを超えた共演

この日のメインイベントは、会場内に設けられた特設コースで行われたドリフトパフォーマンスだ。

ドリフト界のレジェンドとして知られるマッド・マイクことマイケル・ウィデット、日本のドリフトシーンを牽引してきた織戸学、そして16歳でFormula Drift Japanに参戦する箕輪大也など、世代を超えたドライバーたちが走行を披露した。エンジンが始動すると重低音がフロアに響き、会場の空気は一気に引き締まる。唸りを上げるエンジン音とマフラーから火花が散るたび、観客の視線がコースに集まった。

Jason Halayko Red Bull Content Pool
Jason Halayko Red Bull Content Pool

なかでも注目を集めたのが、レッドブル・アスリートである2人の世界的ドライバーの登場だ。WRC(世界ラリー選手権)で優勝経験を持つ勝田貴元が、実戦で使用される「GR ヤリス Rally1」でドリフト走行を披露。ラリードライバーならではのスピード感のある走りが見られた。

さらに、F1ドライバーの角田裕毅も登場し、箕輪大也の運転する「Red Bull Drift Mini」の助手席に乗り込み、ドリフト走行を体験した。この「Red Bull Drift Mini」は昨年のプレイベントで披露されたレッドブルオリジナルのチューニング仕様MINIで、改造はクスコレーシングが担当。設計から製作まで約2カ月という短期間ながら、本番でも完成度の高い走りを見せた。

また、この夜の見どころのひとつが、角田裕毅が所属するF1チームVisa Cash App Racing Bullsの日本GP限定スペシャルリバリーの世界初公開だった。フォード・マスタングに乗ってリアム・ローソンとアービッド・リンドブラッドが登場すると、会場の期待が高まる。続いてマッド・マイクがRed Bull Drift MiniでF1マシンの周囲を旋回するパフォーマンスを披露し、その後、ベールが外されると、レッドブル・エナジードリンク チェリーエディションをモチーフにした白と赤の新リバリーが公開された。

Kunihisa KobayashiRed Bull Content Pool
Maruo Kono Red Bull Content Pool

レッドブルのイベント設計は、こうしたモータースポーツのトップコンテンツも組み込むなど、単なる観覧にとどまらないイベントとして、来場者にさまざまな体験を提供するものだ。その結果、会場にはおのずと発信力の高いインフルエンサーが集まり、SNSを通じて情報がグルーバルに拡散している。

音楽・ファッションと組み合わせることで広がる接点

繰り返しにはなるが、Red Bull Tokyo Driftが従来のモータースポーツイベントと異なる点は、車だけでなく、音楽やファッションといったストリートカルチャーの要素が組み込まれている点にある。

会場の各所にはDJブースが設置され、レッドブルが手がけるヒップホップのサイファー企画「Red Bull RASEN」のスペシャルエピソードとして、AOTOやBonberoがライブパフォーマンスを披露。プロデューサーのKMもステージに登場した。さらに、「ONE OR EIGHT」がライブを行い、「TOKYO DRIFT」のイントロが流れるとフロアの熱気が高まった。

さらに、会場には音楽やファッションの領域からもプレイヤーが集まっていた。ファッションレーベルとの連動や、KITHによるコラボレーションアイスクリームがVIPエリアで提供されるなど、異なるカルチャーが混じり合う様子が垣間見えた。こうした動きは、カーカルチャーを軸に周辺領域へと広がりつつある現在の潮流を示している。

Suguru Saito Red Bull Content Pool
Suguru Saito Red Bull Content Pool

 会場内で目を引いたのが、1938年創業の総合工具メーカー・TONE(トネ)のブースだ。鮮やかなオレンジのロゴが配されたブースには、同社のツールキャビネットやレンチ類が展示され、オリジナルのカスタムカーとともに並んでいた。

TONEは「利根川」を由来とするブランド名を持つ大阪発の工具メーカーで、創業80年を迎える老舗企業だ。プロ用作業工具からトルク管理機器まで、自動車整備やモータースポーツの現場を長年にわたり支えてきた。

近年はモータースポーツ分野への関与を強めており、その存在感を高めつつある。今回のRed Bull Tokyo Driftではメインスポンサーとしてイベント全体をサポート。展示された国産クラシックカーのカスタム車両とともに、音楽やファッションといった要素が交差する会場の中で、工具メーカーの枠を超えたブランドの広がりを示していた。    

カルチャーを起点に、企業ブランドを世界へと発信

レッドブルのイベントでは、競技とは異なるカルチャーを掛け合わせる試みが見られる。スキージャンプ台を駆け上がる「Red Bull 400」ではフィットネスやアウトドアとの融合を図り、「Red Bull Showrun」ではF1というモータースポーツの最高峰を都市空間に持ち込むことで、人々との新たな接点を生み出してきた。

今回のTokyo Driftでも、日本で生まれたカーカルチャーに音楽やファッションといった要素を重ね合わせ、単なるカーイベントにとどまらない広がりを見せていた。イベント後の取材で角田裕毅は「日本のドリフト文化は素晴らしいカルチャー。レッドブルが先陣を切って、もう一度この国に戻してくれたのはすごく嬉しい」と語り、勝田貴元も初参加となった本イベントを楽しんでいた。

JDMを軸とした今回の取り組みは、日本発のカルチャーを再編集し、世界へ発信する動きでもある。

その中でレッドブルは、カルチャーを単なる表現として扱うのではなく、ビジネスとして成立させる仕組みを作り上げている。ESRやTONEといった異なる領域の企業は、レッドブルのイベントに参画することで、企業価値を高め、日本のみならず世界へと自身のブランドを発信していく場を手に入れることができる。

カルチャーを起点に、企業ブランドを世界へと発信する。
「Red Bull Tokyo Drift 2026」 は、まさしくその構造を可視化したイベントだった。


Red Bull Tokyo Drift 2026
開催日:2026年3月21日(土)15:00〜21:00
会場:ESR横浜幸浦ディストリビューションセンター3(神奈川県横浜市)
主催:レッドブル・ジャパン株式会社

公式サイト
https://www.redbull.com/redbulltokyodrift