文:赤井大祐
オンライン会議ツールの「Zoom」は新型コロナウイルスの感染拡大によるテレワーク需要急増に伴い、最も普及したウェブサービスの一つといえるだろう。一方で、これまで世界を物理的につないできた航空会社は各国の渡航制限などを受け苦境に立たされている。
そんな中、『VISUAL CAPITALIST』がZoomを提供するZoom Video Communications社(以下Zoom社)と航空最大手7社の時価総額を比較した衝撃的なインフォグラフィックスを公開した。
Zoom社の時価総額487億ドル以上
このインフォグラフィックスは、2020年5月15日時点でのZoom社と航空最大手7社の時価総額を表したものだ。詳細は以下のようになった。
Zoom Video Communications:487億8000万ドル
サウスウエスト航空:140億4000万ドル
デルタ航空:120億3000万ドル
ユナイテッド航空:58億7000万ドル
インターナショナル・エアラインズ・グループ:41億1000万ドル
ルフトハンザドイツ航空:38億7000万ドル
アメリカン・エアラインズ:38億9000万ドル
航空最大手7社に対して圧倒的な差を見せつけるZoom社だがそれだけではない。Zoom社の時価総額487億8000万ドルに対して、航空7社の合計時価総額は438億1000万ドル。Zoom社単体で航空最大手7社を上回る結果となったのだ。
手厚いサポートが支持を呼ぶ
Zoom利用者は過去数カ月で激増しており、2019年12月には1000万人程度だったところが2020年4月時点で3億人にも達しているという。
SkypeやWebex、Google meetといった同種のサービスが存在する中で、なぜZoomがこれほどまで支持を集めたのか。業界アナリストによると、インターフェイスの使いやすさ、ユーザーエクスペリエンス、そして100名規模での同時接続を可能にしたシステムが多くのビジネスパーソンから支持されたとのことだ。3月半ばには、アメリカの幼稚園から高校までの学校がオンライン授業を行えるよう無償でサービス提供を行ったことも、多くの支持者を集めるきっかけとなった。
また、一時期は招待されていないはずの人物がZoom会議に乱入し、ポルノ画像を共有するなどして場を乱す「Zoom爆撃」と呼ばれるいたずらも横行。iOSアプリがFacebookに端末データを同意なく送ったり、Windowsの認証情報が盗まれるなどのトラブルも発生。
セキュリティの脆弱性について問題視されていたが、Zoom社はこれにも迅速に対応を行い信頼回復に努めた。