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コロナが理由の在宅勤務で「減給」「残業代なし」は通用する? 蔓延中の休業補償問題【連載】FINDERSビジネス法律相談所(21)
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  • 2020.04.14
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コロナが理由の在宅勤務で「減給」「残業代なし」は通用する? 蔓延中の休業補償問題【連載】FINDERSビジネス法律相談所(21)

コロナ休業による補償はどうなる?

会社から、「コロナでお客さんが来ないから、明日は休んでください」とか、「店舗を休業にするので休んでください」などと言われたという従業員からの相談は多くなってきています。

店舗を営業するかどうかは、使用者の経営判断です。休業を決定すること自体は使用者に裁量があります。

ですが、それによって労働の機会が奪われ給与の支給までなくなってしまっては、従業員は生活が困ってしまいます。こうしたケースでは、労働の提供をしなかったとしても会社から休業手当を受けられることがあります。

労働基準法26条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」と定められています。

つまり、会社が休業のため従業員を休ませた場合は、その分休業手当として6割以上に相当する金額を支給しなければならないことになっています。

この定めは就業規則等の規定によっても排除できません。そして、ここでいう「使用者の責に帰すべき事由」とは、使用者に故意・過失がある場合はもちろん、経営者として不可抗力を主張できないすべての場合を指します。

つまり、広く解釈される傾向にあります。ここでの「不可抗力」とは、1.原因が事業の外部により発生した場合、2.事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故である場合、という要件を充たす必要があると解されています。

また、その判断は、当該取引先への依存の程度、ほかの代替手段の可能性、事業休止からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力などを総合的に勘案すべきであると解釈されています。

たとえば、自宅勤務などの方法により仕事がカバーできる場合、経営者が十分検討し、休業を回避するために最善を尽くしていない場合、2を充たさず、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当することになり、休業手当の支払いが必要になります。

新型コロナの影響による休業が「不可抗力」といえるかどうかについては、業種や会社によって取引先への依存度、ほかの代替手段の可能性など、あらゆる要素があるため、一律に結論づけることはできません。しかし、取り得る手段があるにもかかわらず、企業努力なしに直ちに休業とすることは「不可抗力」とは言えません。

なお、日本における「緊急事態宣言」は、一部施設などに対するものを除いては法律上直接の強制力を持つものではありません。それだけに、会社や店舗を休業させる場合、緊急事態宣言が出されたからと言って、必ずしもすべてのケースが「不可抗力」と認められるわけではないと思われます。

新型コロナの場合、これまで同じような先例がなく、「不可抗力」といえるかの判断には、会社の置かれている状況ごとの具体的な判断が必要になってくるでしょう。

企業は雇用調整助成金申請の検討を

会社が休業手当を支給した場合の補償として、雇用調整助成金といった制度があります。企業としては、従業員への休業手当を支給しつつ、こうした助成金の受給を検討したいところです。

ただ、上記助成金は企業に支給されるもので直接従業員に支給されるものではありません。また、企業が申請してから受給までに2カ月以上はかかるとされています。加えて、申請手続きもかなり複雑であり、これを読み解いて必要資料を揃えるだけでも相当な労力がかかります。

事前に手続きに精通する社会保険労務士などの専門家の助言を求めておけば、申請はスムーズでしょう。従業員としては、企業が助成金を受給する・しないにかかわらず、一旦は会社に休業手当を支払ってもらう必要はあります。

Photo By Shutterstock

コロナによる業績悪化を理由に内定は取り消せる?

企業が新型コロナによる影響で事業縮小を理由に内定を取り消す事態も起きています。

しかも、新型コロナによる影響は、ここ3月から4月にかけて一気に拡大しているため、4月入社の内定者に対し、内定取り消しを行う時期も、入社時期の直前となってしまっているケースが非常に多いのです。

内定の取り消しは、原則として解雇の場合と同様に考えられています。つまり、整理解雇の場合と同じように、4要件(要素)を慎重に検討しなければなりません。単に事業を縮小するという理由を挙げるだけでは、内定の取り消しは認められない可能性が高いのです。

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