CULTURE | 2020/04/09

YouTubeで100万再生突破!アイヌ女性を追った短編ドキュメンタリー動画「Future is MINE -アイヌ、私の声-」

文:神保勇揮
「今の自分はこのままでいいのか」と感じるすべての人に

株式会社3ミニッツが運営するファッション動画...

SHARE

  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • line

文:神保勇揮

「今の自分はこのままでいいのか」と感じるすべての人に

株式会社3ミニッツが運営するファッション動画マガジン「MINE(マイン)」で展開する、女性のエンパワーメントを目的とした約20分の短編ドキュメンタリー作品『Future is MINE -アイヌ、私の声-』が1月27日にYouTubeで公開され、わずか2カ月ほどで再生回数が100万回を突破した。

Future is MINEシリーズは旅を通して未来を切り開く女性の成長を描く内容となっており、現在YouTubeでは本作を含め4本の動画が公開されている。

本作の主人公は、北海道・二風谷に住む32歳のアイヌの女性、萱野りえ氏。同氏は札幌大学が2010年から始めた、アイヌの若者の大学進学を促進する制度「ウレㇱパ・プロジェクト」(アイヌ文化を対外発信する活動に従事する代わりに、入学金・授業料と同額の奨学金を給付する制度などがある)の第1期として同大学に入学。大学在学中には坂本龍一氏を招いたイベントの開催に携わったほか、アイヌ語で歌うボーカルグループ「MAREWREW(マレウレウ)」のメンバーとしても活動している。

だが、現在は夫と経営するゲストハウスで働きつつ子育てにも追われる中で、アイヌ文化を発信する活動の時間が取れなくなってきたという。音楽活動だけで食べていくのは難しいし、活動したとしても劇的に何かが変わるようにも思えない。でも、今の職場と自宅を往復するだけの生活でいいのか。そんな葛藤を抱えていた中で、独自の文化を築く米国の先住民セミノール族を訪ね、現地の人たちと交流する。

ここから先はぜひ映像を観てほしいが、「少数民族問題」というフレームに留まらない、「自分のやっていることは、ちっぽけで、無力で、何の役にも立っていないんじゃないか」と日々感じる多くの人の心に残るであろう内容になっている。

YouTubeのコメント欄には海外からの称賛コメントも相次ぎ、Twitterでも同様に好評で、劇作家・演出家の鴻上尚史氏も「いや、もう、これ、感動的です。泣けました」というコメントを寄せて紹介している。

北海道を舞台とし、アイヌのキャラクターも活躍するマンガ『ゴールデンカムイ』のヒットもあって、近年アイヌへの注目も高まりつつある。新型コロナウイルス対応で自宅での時間を持て余している人にもオススメしたい、素晴らしい作品だ。