文:宮西瀬名
いつの時代になっても「人の優しさ」は私たちの心を癒やしてくれる。
メキシコ西部のハリスコ州の学校で撮影された、とある動画が注目を集めている。
「困っている人を助けたい」という純粋な感情
教室の中で座っている自閉症の男の子は、身体を硬直させたまま涙を流しており、とても苦しそうだ。それを見た隣に座っているダウン症の男の子が、何とか慰めようとしている。
自閉症の男の子の涙を手で拭ってあげたり、ハグをしたりするダウン症の男の子。さらに、元気付けようと、手をとってコミカルに動かしている。
教師によって撮影されたこの動画はわずか1分間ではあるが、人間が本来持っている「困っている人を助けたい」という純粋な感情を思い出させてくれるのに十分だった。Facebookに投稿されたこの動画は2200万回もの再生数を記録。16万の「いいね」、1万1000件のコメントを記録し、大きな反響を集めた。
2人のやり取りに称賛の声、相次ぐ
Facebookには「彼らは本当に素晴らしい」「私たちが失ったものを教えてくれている」「この素敵な子どもたちの両親を祝福します」と2人のやり取りに称賛のコメントが多く寄せられた。中には、「すべての子どもはみんな同じ。ラベルなんて必要ない」「普通の人間とは何かを疑わなければいけない」といった指摘も挙がった。
また、コメント欄にはさまざまな言語の投稿が寄せられており、国境や人種を超えても「何に感動するのか?」という人間の根幹は共通しているのだと気付かされる。
さらに、この動画はTwitterや英語圏のソーシャルブックマークサービス「reddit」などでも紹介され、世界的に感動の嵐が巻き起こった。
ダウン症は個性の一つ
日本では毎年約2200人が染色体の異常により、ダウン症として生まれてくる。精神発達の遅れや記憶学習障害などの症状があり、現在の医療技術では治すことができないという。
しかし、一般的に健常者とされている人でも、誰しもが長所があり、短所がある。周囲の人たちがダウン症を個性の一つとして認めることができれば、すべての人が健やかな生活を送れるようになるのではないだろうか。