CULTURE | 2019/10/29

「あの時は酔っ払っていたから」は通用しない。飲酒をしても人格は変わらないことが実験で明らかに

文:佐郷顕
お酒を飲んでハメを外し、良くない振る舞いをしてしまっても、「あの時は酔っ払っていたから」という理由で自分を...

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文:佐郷顕

お酒を飲んでハメを外し、良くない振る舞いをしてしまっても、「あの時は酔っ払っていたから」という理由で自分を正当化したことはないだろうか。

しかし、その考えは改めなければならないかもしれない。飲酒をしてもその人の持つ道徳的な判断力や人格が変わらないと海外メディア『THE CONVERSATION』が報じ、反響を集めている。

お酒を飲むと他人の感情に対する理解力は低下

英国ブラッドフォード大学の講師であるキャサリン・フランシス氏は、参加者にウォッカのショットを飲んでもらい、他人への共感能力や道徳的な判断力が、飲酒前とどのように変化するかを実験した。

さまざまな人が感情を表現している画像を見せる調査を行ったところ、酔った参加者たちは、悲しそうな表情については肯定的な感情、幸せそうな顔については否定的な感情を抱くという、不適切な反応を見せるようになったという。

この結果から、酔いが回ることで共感能力の低下が認められると結論づけた。アルコールを摂取すると他人の感情を理解したり共有したりすることが難しくなるということだ。

飲酒後でも人の道徳的な判断力は変わらないことが判明

では、道徳的な判断力についてはどうだろうか。参加者にあらかじめ、次のような道徳的な葛藤が発生する状況(トロッコ問題)において自分がとる行動を伝えてもらい、その後VRを用いたシミュレーションによる振る舞い方を観察した。

「暴走したトロッコが線路上にいる5人の作業員に向かって近づいて来ている。彼らはそれに気付いていない。あなたは接近するトロッコと作業員の間に位置する歩道橋の上にいて、目の前には大柄な面識のない人が立っている。この人を線路上に突き落とせば、障害物となりトロッコは止まる。突き落とされた1人は確実に死ぬが、作業員5人が助かる。あなたなら突き落とすか?」

飲酒の前後を比較して、参加者の口頭での回答とVRによる行動パターンが変化することはなかった。5人を助けるために突き落とした人も、故意に殺人を行うことを拒否して何もしなかった人も飲酒後、同じ選択をしたとことだ。

この結果から、お酒を飲んでも人の道徳観は変わらず、すなわち人格に変化がないことが分かった。不道徳な行動をとっても、それをアルコールのせいにすることはできないということだ。

数カ月後にやってくる忘年会や新年会などの飲み会イベント。飲酒をしても自分の行動には責任を持たなければならないことを、今一度忘れないでほしい。