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「究極のTKG」や「あずきバーかき氷」。やたらクッキングトイが話題になるタカラトミーアーツはどうやってアイデアを思いついてる?
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  • 2019.08.16
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「究極のTKG」や「あずきバーかき氷」。やたらクッキングトイが話題になるタカラトミーアーツはどうやってアイデアを思いついてる?

平林千明

株式会社タカラトミーアーツ
FV事業部 ライフ企画課

クッキングトイを中心に商品開発歴13年。料理、キッチングッズの収集等、食に関する事が趣味。

文・取材:6PAC

クッキング「トイ」だけど家電売場にも置かれている

「とにかく硬いアイス」として有名なあずきバーを削ってかき氷にできる『おかしなかき氷 井村屋あずきバー』
© T-ARTS

おもちゃというと、子どもが遊ぶものというのが一般的なイメージだ。しかし、少子化の影響もあってか、最近では子どもと一緒に大人も楽しめたり、大人だけでも遊べてしまうものも登場している。そうしたジャンルのひとつが「クッキングトイ」である。これらは従来の販売ルートであるおもちゃ屋だけに置かれるのではなく、作ったものはすべて食べられることもあってか家電量販店の家電売場に置かれていたりもする。

子どもたちの大好きなお菓子とコラボした『おかしなかき氷 井村屋あずきバー』『おかしなうまい棒 スティックパーティー』。家族で楽しめる『そうめんスライダー』『スノーデザート 雪花』。完全に大人向けのクッキングトイとしか思えない『究極のNTO』『ビールアワー』。これらのクッキングトイを企画・開発・販売しているのが、タカラトミーの連結子会社であるタカラトミーアーツだ。

同社では、2011年に『おかしなカキ氷 ガリガリ君』のような、食品メーカーと組んだ「おかしなシリーズ」、2013年には『そうめんスライダー』をはじめとする「テーブルテーマパークシリーズ」、2017年には『究極のTKG』に代表される「究極シリーズ」を発売している。今年3月には「究極シリーズ」の最新作として、ふわふわのマヨネーズを自作できる『究極のMYO』が発売されている。

卵をミキサーしてふわふわのマヨネーズにする『究極のMYO』
© T-ARTS

タカラトミーアーツがクッキングトイの新商品を発売すると、なにかとネット上で話題になる。次から次へと新商品がリリースされているイメージも強く、何かしらのニュースを見たことがある人も多いだろう。同社でクッキングトイ中心の商品開発に10年以上携わっている平林千明氏に、アイデアの源泉について訊ねてみた。

ヒットの法則は「自分でアイデアを考えること」

平林千明氏
© T-ARTS

クッキングトイ誕生の経緯については、生活必需品ではないおもちゃにニュース性を付加させるため、大人をターゲットに新規開拓をする部署で「食」をテーマにしたクッキングトイの企画が始まったという。子ども向けに特化したおもちゃよりも企画の自由度は高いが、「前例の無いことばかりで、毎回商品を作る度に新しい挑戦があります」と話す。少子化を見据え、新規の市場開拓を目指して設立された部署が牽引した結果、美食家の魯山人が愛した究極の納豆を再現する『究極のNTO』、卵の白身をメレンゲにすることでふわふわ食感の卵かけご飯が作れる『究極のTKG』、缶ビールでビールサーバーのようなうまい泡が作れる『ビールアワー』シリーズといった商品が生まれたわけだ。

究極のNTO(なっとう)

「極泡、飲んでみませんか?」ビールアワー極泡スマート

担当者それぞれが自分に合った方法で企画を進めていくそうだが、平林氏が新商品の企画を練る際は、「世間の流行で、心に残ったものをテーマに考えています。アイデアは日常生活の中で思いつくことが多いです。日頃気になったことや、面白いと思ったことは心にとめておくようにしています」という。企画出しの例として、外部ブレーンからの提案、自分でアイデアをひねり出す、企画会議でアイデアを出し合い練り上げるといった3パターンを挙げてくれたが、同氏は「自分で考えたアイデアは、売り方などをトータルで考えられるのでヒットしやすいです」と話す。ヒットする企画は、「開発者自身で考えた企画に、色々な意見を聞いた上で有効な意見だけ参考にし、技術面を専門家に協力してもらい、マーケティング面を付加させた商品」だそうだ。「売れるプロセスをじっくり考え、お客さんに楽しんでもらいたいという想いが強い商品は売れます」とも語る。

ナンセンスな題材もクールに表現するのがポイント

8の字の形状で流しそうめんの無限ループが楽しめる『そうめんスライダー ギャラクシー』
© T-ARTS

前述したように、クッキングトイは話題になることが非常に多い。話題喚起要素を意図的に取り入れているのか、それとも消費者の潜在的なニーズを具現化したから話題になるのか、「鶏が先か、卵が先か」的な質問をしてみた。すると、「話題になるテーマを選び、マーケティングも関心が高まるように考えています。キャッチコピー1つで売れ行きが変化する事があるので、プレスリリースを出す際のキャッチコピーや商品情報は、マーケティング担当や広報メンバーとアイデアを出す様にしています。また、ギャグ商品に見えない様、パッケージや商品デザインはクールなイメージを演出しています。ナンセンスなものをクールに発売し、共感して頂ける感度が高いお客様がセンスで購入して頂くイメージです」とのこと。

また、「潜在ニーズは、各企画担当者が個々で感じたものを企画にし、商品化しています。そのため、インプットしている情報の質と量が大切なのと、何が面白いのかを見抜くセンスが重要となってきます。商品化をしてきた経験量も不可欠です。どんな企画が刺さり、売れるかという過去の経験から判断する部分は大きいです」とも話してくれた。このあたりは、各企業の企画やマーケティング担当者にとって、大いに参考になる話ではないだろうか。

1つのアイデアが商品という形に到達するのに、大体1年かかるそうだ。1年前に役員にプレゼンした企画にゴーサインが出れば、その6カ月後には商品化され生産が開始されるという。アイデアを商品という形に仕上げる上での最大の難所は、安全面だ。「弊社は玩具メーカーですので、大人向けの企画でも子どもが一緒に使用する可能性を考慮して、厳しい自社基準をクリアしないと商品化許諾がおりません。その次に企画の面白さ、採算の費用面のハードルがあります。話題作りの為に採算度外視で商品化する事もまれにあります」と同氏は話す。

今後も、「大人気菓子とのコラボ企画を検討しています」ということなので、大人も子供も思わずニヤニヤしてしまいそうなクッキングトイが期待できそうだ。


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