文:岩見旦
ショーウィンドウに並ぶ、スリム型のマネキン。しかし、街中にはさまざまな体型の女性がいるのが実際のところ。
そんな中、スポーツウェアブランドのNIKEが、新たなチャレンジに挑んでいると話題になっている。
ロンドン旗艦店に現れた新たなマネキン
NIKEは6月上旬、ロンドンのオックスフォード・ストリートにある旗艦店「NikeTown London」の3階女性向けフロアをリニューアル。さまざまなスポーツのマネキンに加えて、ぽっちゃり体型のマネキンを設置した。これは同ブランドにとって初の試みだという。
NIKEの欧州・中東・アフリカ地域の女性担当ジェネラルマネージャー兼副社長のサラ・ハンナ氏は「女性スポーツが驚くべき勢いがある中、リニューアルされたスペースでは、ナイキが女性アスリートを鼓舞し、おもてなしをする意思を示しています」と明かしている。
「自信溢れるポージングが素敵」称賛の声、続々
このぽっちゃり体型のマネキンの画像がSNSに投稿されると、称賛のコメントが殺到。「なんてカッコいいんだ」「なぜか分からないが、私を勇気づけてくれる」「これがうまく行けば、他の店舗やブランドで現実的なサイズのマネキンが採用されるぞ」などとTwitterにて支持するコメントが寄せられた。
日本においても、「このマネキンがリアルでいい」というコメントとともに紹介されると、3万7000件のリツイートを獲得。「自信溢れるポージングが素敵」「急にNIKEのファンになった」「低身長のマネキンも増やしてほしい」といったツイートが挙がった。
「プラスサイズ」コレクションの挑戦
NIKEはさかのぼること2年前、1Xサイズ〜3Xサイズの女性用「プラスサイズ」コレクションを初めて発表した。インフルエンサーのグレイス・ビクトリーさんやクロエ・エリオットさんなどと提携し、新しい商品ラインのプロモーション活動を行ってきた。
「ポジティブな身体イメージと自信は、私個人のためだけでなく、あらゆるサイズの女性や女の子のためのものだと、私は提唱する」と当時、語っていたビクトリーさん。「ついにリアルな体型が祝福される時が来た」とも。
GAP傘下のオールド・ネイビーは昨年10月に、大型百貨店チェーンのノードストロームは先月に同様の発表を行った後、ぽっちゃり体型のマネキンが導入された。NIKEの今回のマネキンはこれらに続くものだ。
欧米では数年前から、自らの体型を肯定的に受け入れる「ボディ・ポジティブ」という考え方が盛り上がりを見せている。日本でも、ぽっちゃり女性向けファッション誌『ラ・ファーファ』(ぶんか社)が刊行されており、世界的に外見や体型の多様性を受け入れる動きは広がりつつあるようだ。