文:ジョー丸山
新型コロナウイルスの感染拡大により、スキンシップを伴うコミュニケーションが難しい時代になってきている。特に元来スキンシップの激しい欧米諸国や中華圏などでは実際に握手禁止令が出される事態にまで発展している。
そんな中、握手に変わる「あの馴染みのポーズ」が代替として世界中で推奨され始めている。
中華圏では三国志などで目にしたあのポーズが推奨
中華圏では握手の代わりとして、胸の前で両手を組み合わせる「拱手(きょうしゅ)」が広まっている。三国志やカンフー映画で見たことのある人も多いだろう。直接的な接触を避けることができ、そしてより相手側に敬意を伝えることができる。
台湾総統の蔡英文もアメリカからの来賓を迎える際、拱手で挨拶している動画を3月5日に公開。来賓も中国の伝統的な挨拶を楽しんでいるようだ。
この拱手にTwitter界隈も反応。「キングダムで見た」「カンフーの達人になった様で気持が昂る」「かっこいいので真似したい」といった声も上がっている。
欧米ではスタートレックのバルカン式挨拶が流行の兆しか
スキンシップが日常的な欧米諸国では、握手にとって変わる新しい挨拶は必要不可欠だ。『CNN POLITICS』によると、10日に行われたアメリカの下院民主党員集会の非公開会議では、会議に同席した医師のから握手の代わりに「バルカン式挨拶」の使用が提言されたという。
バルカン式挨拶とは、SFテレビドラマ『スター・トレック』に登場するバルカン人の挨拶だ。主要人物であるスポックが行う挨拶として知られており、「バルカン・サリュート」とも呼ばれている。手のひらを前に向け親指を伸ばし中指と薬指を分けるポーズで、実際に行うとなかなか難しく、会議に同席した医師も上手くポーズをすることが出来ないと笑いながら話したという。
『スター・トレック』でヒカル・スールー役を務めたジョージ・タケイも3月6日、自身のTwitterでこのバルカン式挨拶を推奨した。
この他、手の代わりに足を突き合わせる挨拶「フットシェイク」が広まりつつあり、タンザニアのジョン・マグフリ大統領やOPEC事務局長も実施。新型コロナウイルス拡大防止のため世界各地でユニークな挨拶が広まりつつある。
世界全体でパニック状態に陥っている中、これまで以上に平和的なコミュニケーションが必要とされている。握手に変わる、これらの挨拶が拡散していけば、自然と他者に敬意をもてる平和な社会に近づけるのかもしれない。