大手町仲通りで、街の人がロボットから飲み物を受け取る2日間
自分が受け取るはずのドリンクを、画面の中ではなく実際に手で受け取る――そんな体験が、10月の大手町で実現する。フィジカルAI開発企業のリアルワールド株式会社(RLWRLD)は、三菱地所株式会社および一般社団法人TMIPと連携し、2026年10月15日(木)・16日(金)の2日間、大手町仲通りでロボットによる飲料の手渡しと空容器の回収を体験できる実証実験を実施する。
会場となるのは、「運動・リフレッシュ・交流・発見」をテーマにしたエリア一帯イベント「まちまるごと WELLNESS WEEKS 2026 Autumn」(会期:2026年10月14日(水)〜21日(水))の最中だ。実証実験そのものが行われるのは、その会期の中の15日・16日の2日間だけという期間限定の取り組みである。
体験できる内容は二つある。一つは、ロボットが飲料をつかみ、エリアで働く人や街を訪れた人に手渡す「手渡し体験」。もう一つは、テーブルの指定位置に置かれた空のペットボトルを、ロボットがつかんで回収する「回収体験」である。いずれも、物をつかみ、人に渡し、周囲の状況に応じて動くという、産業現場でそのまま応用できる基本動作を、街の中で誰もが見て・体験できる形に落とし込んだものだ。
5本指ハンドと触覚データが支える「RLDX-1」というロボティクス基盤モデル
実証実験で稼働するのは、リアルワールドが自社開発したロボティクス基盤モデル「RLDX-1」である。人間の手指に近い5本指ハンドに対応しており、独自に構築したマルチセンサーキャプチャーシステムを用いて、視覚・触覚・動作制御のデータを一体で学習させている点が特徴だ。対象物の形状や周囲の人・物の動きといった変化に応じて、力加減や手の角度を調整しながら、人に近い柔軟な動作を実現しているという。
同社によれば、2026年5月時点で公開されている主要なロボティクス基盤モデルを対象に、公開ベンチマーク8種を用いた比較評価を実施したところ、全ての対象ベンチマークで最高水準の性能を記録したとしている。具体的には「RoboCasa Kitchen」で70.6点、「GR-1 Tabletop」で58.7点を記録したという(いずれも同社調べ)。実際の産業現場でどこまで安定して機能するかは、今回のような実環境での検証を積み重ねる中で見えてくる部分も大きいだろう。
リアルワールドは新丸ビル内のスタートアップ拠点「EGG」を拠点に、日本・韓国の主要製造企業や著名なベンチャーキャピタルからシード投資を受けながら、複数の産業パートナーとのパイロットプロジェクトを進めている。製造や物流の現場で深刻化する人手不足を背景に、現実の環境で安全かつ安定して動く「フィジカルAI」への期待は大きいが、その普及の鍵を握るのは、実際の現場に近い条件での実証の積み重ねだ。
今回の実証実験は、TMIPがコーディネートする「まちまるごと実証実験by TMIP」という取り組みの一環でもある。大手町・丸の内・有楽町エリアが持つ街のアセットを生かし、複数の企業が共創しながら実証実験を進めることで、一社だけでは実現しにくい規模や条件での検証を可能にする仕組みだ。TMIPには会員・パートナーを含め400社を超える組織が参画し、大企業とスタートアップ、官、学が連携して社会課題に取り組むオープンイノベーションプラットフォームとして機能している。
フィジカルAIの技術は、研究室やシミュレーションの中で性能を示すだけでは、現場で本当に使えるかどうかは分からない。人が行き交う街の中で、見知らぬ相手に飲み物を手渡し、置かれた容器を的確に回収できるかという今回の実証は、技術的な検証であると同時に、ロボットに対する人々の抵抗感や親近感を測る機会にもなる。
オフィス街を歩く途中でロボットから飲み物を受け取るという体験は、AIが仕事や暮らしの現場にどのように入り込んでいくのかを考えるきっかけになる。フィジカルAIの実装がどこまで現実の仕事を変えていくのか、大手町での2日間の実証実験の先にある展開にも注目したい。
フィジカルAIロボットによる飲料の手渡し・空容器の回収の体験実証
(取り組み名:まちまるごと実証実験by TMIP)
実施場所:大手町仲通り(「まちまるごと WELLNESS WEEKS 2026 Autumn」会場内)
実証期間:2026年10月15日(木)・16日(金)
実証内容:飲料の手渡し体験、空容器(ペットボトル)の回収体験
使用モデル:ロボティクス基盤モデル「RLDX-1」(リアルワールド株式会社開発)
連携:リアルワールド株式会社(RLWRLD)、三菱地所株式会社、一般社団法人TMIP
関連イベント会期:まちまるごと WELLNESS WEEKS 2026 Autumn 2026年10月14日(水)〜21日(水)
公式サイト
https://www.tmip.jp/ja/report/12089