うめきたの文化施設「VS.」を舞台に、音をテーマにした複合イベントが始動する
大阪・グラングリーン大阪のうめきた公園に、2026年11月21日(土)から23日(月・祝)まで、「UMEKITA SOUND BAZAAR」というイベントが初めて開催される。会場は、公園内の文化施設「VS.」の地下空間だ。ライブやDJが連なる一般的な音楽フェスティバルとは一線を画し、「音を聴く・感じる・考える」ことそのものを主役に据えたプログラムが3日間にわたって展開される。
主催するのは、VS.を運営するVS.共同事業体(株式会社トータルメディア開発研究所・株式会社野村卓也事務所)と、2026年6月に設立されたばかりの一般社団法人Big Bang Osakaである。開催日は、同じうめきた公園ノースパークに新たな緑地「うめきたの森」が開園する11月20日(金)の翌日から設定されており、公園全体の完成を機に生まれた大阪の新しい文化的な催しとして位置づけられている。
企画のテーマとして掲げられているのは、「音」と「音楽」、そしてそれらをつなぐ「周波数」である。世代や国籍、価値観の異なる人々が一つの場に集まるうめきたという街の性質を踏まえ、音を介して人と人がつながる体験を生み出すことが狙いだ。
目玉となる「SPECIAL LIVE」には、電化製品を「電磁楽器」として蘇らせるプロジェクト「ELECTRONICOS FANTASTICOS!」、ニューヨーク出身でBattlesの創設メンバーでもあるタイヨンダイ・ブラクストン、京都を拠点に即興性と歌を軸にした音楽を探求する中村佳穂らが出演する。VS.が備える「曇りなき正確な音」をコンセプトにした高精細な音響システムを生かし、通常のライブハウスとは異なる音の解像度で作品に触れられる点が特徴だ。
アーティスト/ミュージシャンの和田永とともに、さまざまな人々が共創しながら、役割を終えた電化製品を新たな「電磁楽器」へと蘇生させ、〈電〉の祭りを形づくっていくプロジェクト。現在、東京・日立・京都・名古屋・秋田・福岡の国内6都市にラボを立ち上げ、参加型プロジェクトとして100名近いメンバーとともに創作活動を続ける。これまでに、ブラウン管テレビ、扇風機、バーコードリーダー、ラジオ、ビデオカメラ、エアコン、電話機など数々の電化製品を楽器化してきた。人々の創意工夫によって、使い古されたテクノロジーに宿る未発の可能性を呼び起し、新たに始まる「電磁民族音楽」やその奇祭を夢見て日々ファンタジーを紡いでいる。
ニューヨークで結成されたロック・バンド、Battlesの創設メンバーのひとり。2010年にバンドを脱退し、その後は電子音楽とアコースティック音楽を横断して活動するソロ・アーティスト/作曲家として精力的に活動。大規模なマルチメディア作品やソロによるエレクトロニック・ピース、小編成アンサンブルのための記譜作品から、大編成のオーケストラ、合唱、エレクトロニクスのための作品まで、その活動領域は多岐にわたる。生涯にわたりサウンド・デザインとシンセシスに魅了されてきた彼の作品は、物語性を帯びた、生命力あふれる多次元的なサウンド・ワールドを創り出すことを軸としている。2026年、Erased Tapesから最新作『Splayed Werks』をリリースした。『Splayed Werks』は、『Telekinesis』以来となるフル・アルバムであり、70分を超えるエレクトロニクスとサウンド・デザインによって、新たな音楽世界を展開している。
1992年生まれ、ミュージシャン。20歳から京都を拠点に音楽活動を始める。ソロ、デュオ、バンドなど編成を自在に行き来しながら、即興性と歌を軸に、その場から立ち上がる音楽を探求している。2021年、細田守監督の映画『竜とそばかすの姫』で主人公・すず/Belleの声とうたを担当。同年末、millennium parade × BelleとしてNHK紅白歌合戦に出演。2022年、アルバム『NIA』をリリース。2024年、スペースシャワーネットワークより独立。ライブや制作、さまざまな表現者との共作を重ねながら、音楽のあり方を更新し続けている。
天井高15mを誇る展示スタジオ「STUDIO A」では、ハンドパン奏者のCoji CoseやサウンドアーティストのHIKO KONAMIらが手がける「SOUND MEDITATION」も行われる。音を聴くだけでなく、体全体で音を感じる時間が用意されている。あわせて、音楽のテンポ(BPM)を切り口に都市の未来を語り合う「SOUND BAZAAR TALKS」も開催され、音を「考える」機会も設けられている。
2025年に東京・大阪で期間限定開催され好評を得た「BEATINK Listening Space」も登場する。Warp、Ninja Tune、On-U Sound、Rough Trade、4AD、XL Recordingsなど、BEATINKが扱う多彩なレーベルの最新作から名盤までのレコードを、最高品質の音響でじっくり聴き比べられる空間だ。
本や食も「音」でつながる。うめきたが描く新しい都市文化のかたち
会場には、意欲的な本やZINEを手がける独立出版者が日本各地から集まる「独立出版者エキスポvol.02 in大阪」のブースも並ぶ。インセクツ、タバブックス、百万年書房をはじめとする多数の出版社・個人が参加し、その場での販売や書店との商談の機会にもなる。アジアを中心とした海外の独立出版者も招かれ、国境を越えたネットワークづくりも視野に入れている。
食の面では、大阪を中心とした12店舗が日替わりで出店する「オノマトペ食堂」が用意される。「プツン」「シャキシャキ」「バリバリ」といった、口の中で鳴る音を楽しめる料理が並び、味だけでなく聴覚でも楽しむ体験を提案する。
会場のVS.は、2024年9月にグラングリーン大阪うめきた公園に誕生した文化施設で、約1,400㎡の地下スペースに天井高15mの展示スタジオを備える。これまでに真鍋大度や坂本龍一、原摩利彦らの企画展・公演を実施してきた実績を持つ。主催の一つである一般社団法人Big Bang Osakaは、音楽やアート、食、テクノロジーといった文化を公園や駅、商業施設などの都市空間と結び付け、大阪を国内外の文化が行き交う場所へ育てることを掲げて2026年6月に設立された団体である。今回のイベントは、設立から間もない同団体が手がける取り組みの一つとなる。
音楽を聴くだけでなく、瞑想や読書、食事を通じて「音」を多角的に味わえる3日間である。都市の新しい文化の生まれ方に関心がある人は、10月中に始まるチケット販売の情報を早めにチェックしておきたい。
UMEKITA SOUND BAZAAR
開催期間:2026年11月21日(土)〜11月23日(月・祝)
開催場所:VS.(グラングリーン大阪内) 大阪府大阪市北区大深町6-86
主催:VS.共同事業体(株式会社トータルメディア開発研究所・株式会社野村卓也事務所)、一般社団法人Big Bang Osaka
チケット販売開始:2026年10月中
公式サイト
https://sound-bazaar.jp/