建築そのものより 「余白」 を重視し、都市の近くで自然との距離を見つめ直す滞在を提案
株式会社do-mo は、東京都あきる野市の自然人村内に里山リトリートヴィラ事業 「然 (zen)」 を2026年4月11日(土)に開業する。すでに公式ウェブサイトでは宿泊予約の受付を開始している。東京・新宿から約1時間という距離にありながら、深い森と水に包まれた里山の環境に身を置ける一棟貸しの宿だ。
「心と身体が然に還る場所」 を掲げる 「然 (zen)」 は、単に自然の中へ逃れるための宿ではなく、都市と里山のあわいに身を置きながら、思考や感覚をゆっくりとほどき、人が自然に関わり続ける入口をつくることを目指した滞在拠点だ。最大7名まで宿泊できる一棟貸し形式を採用し、サウナや水風呂、キッチン、デッキテラス、専用庭を備える一方で、空間づくりでは建物そのもの以上に 「余白」 が意識されている。
その思想を象徴するのが、宿泊施設として日本初だという木製浮基礎の採用だ。土地を大きく掘り返して固定するのではなく、自然の地形や土の呼吸を妨げないよう、そっと置くように建てる発想が貫かれている。東京最後の清流と呼ばれる秋川流域の水と森に囲まれた環境の中で、空気と水が巡り、土が呼吸する感覚まで含めて滞在の価値に組み込んでいる点が印象的だ。
また朝夕食では、自然人村周辺で採れる里山の食材を活用した料理を提供する。地域のヤマメや新鮮な卵、こだわりの豆腐など、その土地で育まれた旬の味を部屋でゆっくり味わえる。
館内には冬でも暖かく過ごせる薪ストーブを設置し、本格的なプライベートサウナ、水風呂、外気浴スペースも備える。森の空気に包まれながら身体を整え、森林を望む浴室では四季の移ろいを感じながら湯に浸かることができる。都市近郊にありながら、火と水の感覚に集中できる環境を整えているほか、川と山に隣接する広いテラスでは、ヨガや瞑想といったアクティビティが可能で、庭には焚き火スペースも設けられている。
建築と素材へもこだわり、多摩産の木材を用い、敷地内の石や土を混ぜ込んだ左官仕上げ、柿渋で染めた木部、地域の和紙を通して差し込む柔らかな光など、素材の選定にも土地との関係性が通されている。室内では、土の左官がゆるやかな曲線を描き、洞窟のような安心感と自然光のやわらかさが同居する。有機的な質感を備えた空間は、里山の風景と切り離されることなく、静かにつながっている。
株式会社do-moは、これまで東京里山再成集団として活動してきた。その延長線上にある 「然 (zen)」 は、宿泊施設であると同時に、現代の都市生活者が里山との接点を持ち直すための装置でもある。宿泊料金は、単なる部屋代ではなく、建築・土・食・火・水・森をひとつの思想のもとで編み上げた 「現代的里山体験」 への対価と位置づけられている。都心から近い東京のもうひとつの顔を知る場所として、また自分の感覚を静かに取り戻す場として、注目を集めそうだ。
然 (zen)
東京都あきる野市深沢198 自然人村内
https://zen-yado.com/
https://www.instagram.com/zen_yado/