ファッション誌等で活躍したジョージ ホイニンゲン=ヒューンの日本初の個展
ファッション誌で活躍する傍ら、ポートレートや旅の記録写真など、幅広い作品を手掛けたジョージ ホイニンゲン=ヒューン(1900-1968)の日本初の個展が、東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールで開催中だ。
ジョージ ホイニンゲン=ヒューン(1900-1968)は、アート、ファッション、映画の結びつきを写真で表現した先駆的なフォトグラファーとして知られている。ジョージ ホイニンゲン=ヒューン エステート アーカイブスの協力のもと、ホイニンゲン=ヒューンが手掛けた代表的なファッション写真に加え、シャネルとの交流を物語る作品や、著名人のポートレートや旅先での風景を収めた作品など、65点が展示されている。
ファンションフォトグラファーとして活躍を始めた1930年代、40年代の写真を紹介
ジョージ ホイニンゲン=ヒューンは幼少期をサンクトペテルブルクとロンドンで過ごした後、1920年にパリに定住。その後、キュビズムの画家アンドレ ロートから教えを受け、姉が手掛けるファッションメゾンのためにスケッチを描いてた。程なくしてその才能が『ヴォーグ』誌に認められ、写真撮影用の背景やセットの制作に携わるようになり、1926年頃には彼自身も写真を撮るようになり、たちまち『ヴォーグ パリ』誌のチーフフォトグラファーに抜擢された。
ホイニンゲン=ヒューンの写真に宿る絵画や建築、映画からのインスピレーション
ホイニンゲン=ヒューンは、スタジオの照明を巧みに操ることで、モデルのシルエットを立体的に写し出し、また豪華なファブリックの質感を際立たせる手法をとった。時代を問わず偉大な建築家や画家たちからインスピレーションを得た作品には、アールデコ、新古典主義、バロック様式のさまざまな要素を取り入れられ、ドラマチックな表現が印象的だ。また、クチュールの写真に動きと同時にモデルの自然なたたずまいといった要素をもたらした最初のフォトグラファーの一人で、「モデルは女性であり、石膏像ではない」とコメントしたように、どのモデルも一人の人間として向き合っていたという。
被写体との関係性を物語る著名人のポートレイトや旅の写真を紹介
ホイニンゲン=ヒューンはサルバドール ダリ、ジャン コクトー、クリスチャン ベラール、セルジュ リファールなど、ガブリエル シャネルを取り巻く多くの仲間たちとも親交を深めていた。『ヴォーグ』誌を離れ、『ハーパーズ バザー』誌で働くようになってからも、彼はシャネルのルックを撮り続けけるとともに、ファッションの領域を超え、ハリウッドスターのポートレートのほか、アフリカ、ギリシャ、地中海東岸のレバント地方、メキシコとさまざまな地域を長期にわたって旅し、世界各地の風景や、そこで出会った人々の飾り気のないポートレートをとり続けたという。
ジョージ ホイニンゲン=ヒューン (George Hoyningen-Huene)
1900年ロシア、サンクトペテルブルク生まれ。10代の頃、ロシア革命の際にイギリスへと逃れ、1920年パリに移住。1926年から『ヴォーグ』誌と『ヴァニティ・フェア』誌のチーフフォトグラファーとしてファッション写真、ポートレートを発表。1935年に渡米し、『ハーパーズ バザー』誌に移籍。1947年にはハリウッドに移り、アートセンタースクールにて教鞭をとる傍ら、映画業界でも活躍した。1968年逝去。
その作品はゲッティ美術館、ニューヨーク近代美術館、ポンピドゥー・センターなど、世界有数のコレクションに収蔵されている。2024年春に、写真集『George Hoyningen-Huene: Photography, Fashion, Film』(スザンナ ブラウン編)がテームズ・アンド・ハドソン社から出版予定。
開催概要
展覧会名:Master of Elegant Simplicity: ジョージ ホイニンゲン=ヒューン写真展
会期:2024年2月7日(水)ー 3月31日(日)
開館時間:11:00ー19:00 (最終入場18:30)
会場:シャネル・ネクサス・ホール(中央区銀座3-5-3シャネル銀座ビルディング4F)
主催:シャネル合同会社
お問い合わせ:シャネル・ネクサス・ホール事務局 Tel:03-6386-3071