創業76年を迎える老舗旅館の全館が、写真と出会う舞台に変わる
エントランスをくぐった瞬間から、館内を歩き、温泉に浸り、客室で過ごす時間のすべてが、写真と向き合うひとときに変わる――。佐賀県嬉野市の和多屋別荘が、2026年11月3日(火・祝)から2027年1月11日(月・祝)まで、写真家・酒生哲雄による写真展「URESHINO SHOT」を館内全体で開催する。展示室を一室設けるのではなく、旅館そのものを舞台にする試みである。
ゲストを最初に迎えるのは、エントランス正面に掲げられた5枚の「のれん」だ。そこをくぐった先から、ロビーや廊下、景色、湯殿、客室といった旅館のあらゆる場所が、酒生氏の作品と出会う展示空間へと変わっていく。
開催初日となる11月3日は、1950年創業の和多屋別荘にとってちょうど76周年の節目にあたる日でもある。長く地域に根づいてきた旅館の「今」を、写真という新しい視点を通じて体感してもらう狙いが込められている。
日本、ヨーロッパ、そして嬉野。土地の記憶を切り取ってきた写真家の視点
酒生哲雄氏は、日本各地の風景を捉えた「JAPAN SHOT」、パリやロンドンなどヨーロッパの風景を撮影した「EURO SHOT」という二つのシリーズを手がけてきた写真家である。「URESHINO SHOT」は、その延長線上で初めて佐賀・嬉野という一つの土地に焦点を当てた作品群だ。
展示は、ロビーから廊下、館内のさまざまな場所へと続いていく。順路に沿ってギャラリーを巡るのとは異なり、歩くたびに作品に出会い、場所が変わるごとに作品の見え方も変化する。約2万坪という敷地の広さを生かした、旅館ならではの鑑賞のリズムだといえるだろう。
宿泊する人も、日帰りで訪れる人も、それぞれのペースで作品に触れられる。観覧は無料で、気に入った作品はその場で購入することもできる。写真と空間、そして嬉野という土地の記憶が重なり合う体験は、見慣れた景色の中に新しい発見をもたらしてくれる。
作品の世界観に泊まるコンセプトルームと、12月5日から始まるPOP UP展開
本展では、写真の世界観を客室へと広げたコンセプトルームも設けられる。作品がしつらえられた部屋は、日本の伝統的な空間と響き合う特別なしつらえで、宿泊予約を通じて実際に泊まることができる。館内を歩いて作品に出会うだけでなく、一晩を通して写真と向き合う時間を過ごせる点が特徴だ。
さらに2026年12月5日からは、館内のPOP UPエリアでも「URESHINO SHOT」の展開が始まる。コンセプトルームの世界観から生まれたクッションカバーなどの雑貨も販売され、作品を鑑賞するだけでなく、その世界観を日常に持ち帰る楽しみも用意されている。
旅館での滞在そのものが写真と出会う時間になる「URESHINO SHOT」。嬉野の温泉旅館で過ごすひとときに新しい視点を添えてくれる機会として、次の旅先の候補に加えてみたい。
写真展「URESHINO SHOT」
開催期間:2026年11月3日(火・祝)〜2027年1月11日(月・祝)
POP UPエリア展開開始:2026年12月5日〜
会場:和多屋別荘(佐賀県嬉野市嬉野町下宿乙738)
観覧料:無料(作品販売あり)
コンセプトルーム:宿泊可能
主催:株式会社和多屋別荘
公式サイト
https://wataya.co.jp