LIFE STYLE | 2026/11/08

数字が動くのは、体験が変わったとき。近畿6府県、魅力度ランキングの舞台裏

大阪が全国最大の伸びで6位浮上、奈良は15位に後退。「地域ブランド調査2026」近畿の分析

FINDERS編集部
photo:simonoroi/Shutterstock.com

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大阪が全国最大の伸び。万博が残した「レガシー」が数字に表れた

近畿の魅力度ランキングが、万博の遺産や新しい商業施設、世界遺産候補への選定といった具体的な出来事によって大きく動いた。株式会社ブランド総合研究所が2026年11月2日に発表した「地域ブランド調査2026」で判明したもので、近畿2府4県の順位の変動をたどると、地域ブランドが形づくられる仕組みが見えてくる。

近畿で最も高い評価を得たのは、18年連続で全国2位を維持する京都府である。歴史・文化・芸術・祭り・伝統技術など、歴史に関わるほとんどの項目で全国1位を誇り、世界的な抹茶ブームを背景に宇治茶の取引総額は過去最高の約129億円を記録した。さらに「住んでみたい」という居住意欲度の上昇率が全国1位となり、リモートワークの普及によって北部地域の暮らしの魅力が再評価されていることがうかがえる。

その一方で、今回最も大きな動きを見せたのは大阪府である。前年の8位から6位へ順位を上げ、魅力度の点数は前年より5.3点上昇して40.9点となった。これは47都道府県の中で最大の伸びである。

昨年10月まで開催されていた大阪・関西万博の効果に加え、大阪駅に直結するグラングリーン大阪やLUCUA SOUTH(ルクアサウス)といった大型商業施設の開業が重なったことが背景にあるとみられる。実際、商業施設やご当地グルメ、加工食品のイメージも前年より上昇しており、万博が一過性の祝祭で終わらず、都市の新しいインフラとして評価に定着しつつある様子がうかがえる。

奈良は15位に後退。だが「イベントの評価」は全国トップだった

順位を下げた府県にも、注目すべき動きがある。奈良県は前年より6ランク下降して15位となったが、これは前年に高市早苗ブームでイメージが急上昇した反動による単純な低下ではないという。実際、「魅力的な伝統芸能、祭り、イベントがある」という項目の評価の伸びは全国1位を記録している。

昨年10月に開催された「平城京 秋の散楽フェスタ」には11万人が来場し、奈良公園一帯を数万本のろうそくで彩る夏の風物詩「なら燈花会」には10日間で約75万人が訪れた。さらに2026年7月26日には、飛鳥・藤原の宮都が世界文化遺産に登録されている。順位という一つの指標だけでは、地域が積み重ねてきた文化的な蓄積は測りきれないことを示す例といえる。

兵庫県も前年から順位を2つ下げて12位となったが、「にぎやか」「活気がある」というイメージの伸びは全国1位だった。淡路島では全国47都道府県のサウナが一堂に集まる「サ旅万博2025」が10月に開催され、アニメパーク「ニジゲンノモリ」の体験型イベントや新しいカフェ、ペット同伴型リゾート施設の開業も重なり、観光意欲度は前年より3ランク上昇して13位となっている。

滋賀は世界遺産候補と「日本一のつり橋」、和歌山はパンダロスを乗り越えて

順位こそ低いものの、今後の伸びを予感させる府県もある。滋賀県の魅力度は37位で前年と変わらないが、点数は1.3点上昇した。びわ湖での環境への取り組みや歴史のイメージが定着している土地に、新たな弾みとなる出来事が相次いでいる。

まず、彦根城が2026年9月3日にユネスコ世界文化遺産の「国内推薦候補」に正式選定された。1992年に国の世界遺産暫定リストに記載されて以来、長年の取り組みを経て前進したもので、最短では2028年の世界遺産登録が見込まれている。天守閣や御殿、庭園、屋敷跡から構成され、周辺の城から建物を移築した「リサイクル建築」という珍しい方式も特徴だ。

加えて、びわ湖を望む新名所「びわ湖テラス」には、9月14日に歩行用つり橋として日本一となる220メートルの「スカイブリッジ」が開通し、新たな観光資源が誕生している。

和歌山県は27位で前年より2つ上昇した。白浜のテーマパーク「アドベンチャーワールド」ではパンダの返還によるパンダロスが心配されていたが、「地球でいちばん癒やされるテーマパーク」を掲げ、ペンギンの赤ちゃんやレッサーパンダを新たな主役に据えた結果、白浜町の観光客は前年より増加しているという。

こうして6府県の動きを見ていくと、魅力度という数字は、祭りや万博のような一過性の話題だけでなく、商業施設の開業や世界遺産候補への選定といった積み重ねによって動いていくことが分かる。地域のブランディングや観光戦略に関わる仕事をしている読者にとっては、自分の街や関わる地域が今どんな体験を提供できているかを見直すきっかけになる調査結果といえるだろう。


地域ブランド調査2026
調査主体:株式会社ブランド総合研究所
調査時期:2026年6月23日〜7月17日
調査対象:全国1,000市区町村(全792市+東京23区+185町村)と47都道府県
調査方法:インターネット調査
有効回収数:31,666人
発表日:2026年11月2日  

株式会社ブランド総合研究所
https://www.tiiki.jp/