NFCをかざすと、木材の来歴と森の風景が立ち上がる
スツールにスマートフォンをかざすと、木目の向こうに一本の森の風景が立ち上がる。デザインプロジェクト「Bole」が手がけるこの作品は、造形美だけでなく、使われた木材がどの森で育ち、誰の手を経て形になったのかという"見えない物語"を鑑賞者に届ける仕掛けを持つ。
この仕組みを支えているのが、自動認識技術を手がける株式会社サトーが提供するNFC(近距離無線通信)タグとその活用ノウハウである。スツールに貼られたシールにスマートフォンをかざすだけで、専用アプリのインストールなしに木材の来歴や制作の背景を表示できる。株式会社大和コンピューターの「NFC Link2」と連携することで、誰もが手軽にアクセスできる体験に仕上げている。
「Bole」は、ロンドンを拠点とする建築家PAN-PROJECTS、奈良県で約100年の歴史を持つ林業家・森庄銘木産業株式会社、木材流通のデジタル化を推進する株式会社森未来の三者が協働するプロジェクトである。1本の丸太が持つ形状や連続する木目を生かしてスツールを制作し、収益を生産者に還元する仕組みも取り入れている。木材を単なる素材として消費するのではなく、その生育環境や生産過程、携わった人々の営みまで含めて価値を伝えようとする試みだ。
今回の作品は、2026年10月29日(木)から11月1日(日)まで日本橋三井ホールで開催される次世代デザインイベント「alter. 2026, Tokyo」で展示されている。会場の中心には、樹齢約100年、長さ3.5メートルの杉丸太と、そこから削り出した同じく3.5メートルの展示作品が据えられ、1本の丸太から連続する木目を生かして制作された8種類のスツールも並ぶ。
日本の森林では、木材の利用用途や経済的価値の創出、収益を森林の維持継続へ還元することが課題とされてきた。サトーはこの取り組みを、モノと情報をひも付けてきた自社のノウハウをプロダクトデザインやアート領域に応用する新たな一歩と位置づけ、今後もRFIDやNFCの活用範囲をクリエイターやアーティストとの共創を通じて広げていく考えを示している。
木材の背景にある森や生産者の営みに触れることは、作品を選び、所有する体験そのものを豊かにする。会期中に会場を訪れれば、木目の奥に広がる森の記憶に、自分の手で触れてみることができる。
alter. 2026, Tokyo(展示プロジェクト:Bole)
会期:2026年10月29日(木)〜11月1日(日)
会場:日本橋三井ホール
技術提供:株式会社サトー(NFCタグおよび活用ノウハウ)
協働:PAN-PROJECTS、森庄銘木産業株式会社、株式会社森未来
株式会社サトー
https://www.sato-global.com/ja/