CULTURE | 2026/10/14

収蔵庫が美術館になる17日間、名和晃平とダミアン・ジャレが北加賀屋で響き合う

大阪・北加賀屋のアート収蔵庫「MASK」で名和晃平の大型作品を一般公開、10月30日開幕

FINDERS編集部

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巨大な現代アート作品が眠る「収蔵庫」が、年に一度だけ一般公開される

大阪市住之江区北加賀屋にある約1,000平方メートルの元鋼材加工工場・倉庫を活用した大型現代アート作品の収蔵庫「MASK(MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA)」。普段は非公開のこの収蔵庫が、2026年10月30日(金)から11月29日(日)まで、収蔵作品の一般公開・展覧会「Open Storage 2026」として扉を開く。会期は金土日祝のみの計17日間、入場は無料だ。

本年のメインアーティストは彫刻家・名和晃平である。収蔵作品の公開に加え、宇治野宗輝、金氏徹平、久保田弘成、持田敦子、やなぎみわ、ヤノベケンジら、北加賀屋にゆかりのある作家たちの大型作品が並ぶ。キュレーションは木ノ下智恵子が手がける。

美術館やギャラリーの展示室とは異なり、作品が本来置かれている「保管」という文脈のまま向き合えるのが、このイベントならではの体験だ。完成した作品そのものだけでなく、それがどのように守られ、受け継がれているのかという、普段は見えない部分に触れられる機会でもある。

名和晃平 Kohei Nawa
彫刻家/Sandwich Inc.代表/京都芸術大学教授
1975年生まれ。京都を拠点に活動。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。
感覚に接続するインターフェイスとして、彫刻の「表皮」に着目し、セル(細胞・粒)という概念を機軸として彫刻の定義を柔軟に解釈し、鑑賞者に素材の物性がひらかれてくるような知覚体験を生み出してきた。近年では、建築やパフォーマンスのプロジェクトも手がける。2018年にフランス・ルーヴル美術館にて彫刻作品《Throne》を特別展示。2023年、フランス・セーヌ川のセガン島に高さ25mの屋外彫刻作品《Ether (Equality)》を恒久設置。近年の個展として、「Sentient」(SCAI THE BATHHOUSE、東京、2025)、「Photon Camp」(Pace Gallery、ロサンゼルス、2026)がある。
Photo: Michael Somoroff

10年来の協働が結晶化する、ダミアン・ジャレ×名和晃平の新作パフォーマンス《Prism》

会期中最大の見どころが、振付家ダミアン・ジャレと名和晃平による新作パフォーマンス《Prism》である。11月27日(金)・28日(土)の2日間、クリエイティブセンター大阪(名村造船所大阪工場跡地)にて、全4公演が行われる。

ダミアン・ジャレと名和晃平は10年以上にわたりコラボレーションを重ねてきた間柄で、2016年に初演した二人初の協働作品《VESSEL》の集中制作を行ったのが、まさにこのクリエイティブセンター大阪だった。今回の公演は、二人にとってゆかりの深い場所での新作発表となる。

《Prism》は、名和の代表作「PixCell」から展開された彫刻作品「Prism」を起点に、身体の動きを通じて現実と仮想の境界を探る実験的な作品だ。座席を設けず、鑑賞者が立ち見でインスタレーションの一部のように作品を体感する形式を取り、音楽を原摩利彦、照明を吉本有輝子が手がける。チケットは前売一般5,000円、ユース(25歳以下)3,000円で、定員は各回100名。MASKでは過去のパフォーマンス映像も展示され、二人の創作の軌跡をパフォーマンスと映像の両面から追うことができる。

ダミアン・ジャレ Damien Jalet
フランス/ベルギー出身の振付家、視覚芸術家。ダンスを芸術表現として絶えず更新し続け、視覚芸術、音楽、映画、演劇、ファッションなど、幅広い分野を横断して活動している。
これまでに、シディ・ラルビ・シェルカウイ、マリーナ・アブラモヴィッチ、名和晃平、ポール・トーマス・アンダーソン、トム・ヨーク、坂本龍一、マドンナ、JR、ジャック・オーディアール、グザヴィエ・ドラン、ロマン・ガヴラスをはじめ、さまざまな分野のアーティストとコラボレーションを展開。また、Les Ballets C de la B、Eastman、パリ・オペラ座バレエ団、ヨーテボリ・オペラ・ダンスカンパニー、Nagelhus Schia Productionsなど、世界各地のカンパニーのために作品を創作している。
映画では、ルカ・グァダニーノ監督による『サスペリア』(2018年)や、ジャック・オーディアール監督による『エミリア・ペレス』(2024年)の振付を手がけ、注目を集めた。2026年には、FKA twigsの「Body High Tour」の一部で振付・演出を担当。また同年、ロマン・ガヴラス監督によるGENER8IONの楽曲「Storm」(Yung Lean参加)のミュージックビデオで振付を手がけた。さらに、マドンナのアルバム『Confessions II』のリリースに合わせて制作された10分間の短編映像作品では、複数のシーンの振付を担当した。これら直近の2つのコラボレーションにより、2026年MTVビデオ・ミュージック・アワードの最優秀振付賞に2件ノミネートされた。
2022年、芸術文化勲章オフィシエを受章。
Photo: Tarek Mawad

ヤノベケンジの自作語りやショップ拡大まで、北加賀屋全体がアートの磁場になる秋

関連プログラムも充実している。10月31日(土)には、ヤノベケンジ本人が制作の裏側を語るトークイベント「ヤノベケンジ-怒涛の自作語り vol.2」をMASKで開催し、終了後にはサイン会も行われる。大阪中之島美術館での個展で発表したインスタレーションも、MASKの空間に合わせて再構成して展示される。

徒歩2分の複合施設「SMASELL Sustainable Commune」内では、北加賀屋ゆかりのアーティストグッズを扱う「KITAKAGAYA MUSEUM SHOP」が規模を拡大して展開され、ヤノベケンジの《SHIP'S CAT(Flying)》も特別展示される。11月21日(土)には、参加者同士で語り合いながら作品を鑑賞する対話型プログラム「アートのヒミツ基地?!みんなで探検ツアー」も開かれ、子どもから大人まで楽しめる内容になっている。

同じ時期の北加賀屋エリアでは、都市型サウナフェス「BARTHE OSAKA 2026」やアーティスト・シェアスタジオを公開する「Open Studio 2026 Autumn」、ラバー・ダックが登場する「すみのえアート・ビート2026」も開催される。大型作品の保管庫を起点に、パフォーマンスやトーク、ショップ、地域イベントまでが連動するこの秋、普段は見えないアートの舞台裏に触れたい人は、会期中の北加賀屋に足を運んでみてはいかがだろう。


MASK「Open Storage 2026」
会期:2026年10月30日(金)〜11月29日(日)・金土日祝のみ(計17日間)
時間:12:00〜18:00(11月8日(日)のみ10:00〜16:00)
会場:MASK(MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA) 大阪市住之江区北加賀屋5-4-48
入場料:無料
メインアーティスト:名和晃平
参加作家:宇治野宗輝、金氏徹平、久保田弘成、持田敦子、やなぎみわ、ヤノベケンジ(50音順)
キュレーター:木ノ下智恵子
特別公演《Prism》日程:2026年11月27日(金)19:00〜、11月28日(土)15:00〜・17:00〜・19:00〜(全4公演)
特別公演会場:クリエイティブセンター大阪(名村造船所大阪工場跡地) 大阪市住之江区北加賀屋4-1-55
特別公演チケット:前売一般5,000円・ユース(25歳以下)3,000円(当日券は一般5,500円・ユース3,500円)
主催:一般財団法人おおさか創造千島財団
共催:千島土地株式会社

公式サイト
https://mask.chishima-foundation.com/