深山幽谷の渓谷美を三つの橋で巡る、山中温泉「鶴仙渓」の散策路
温泉に浸かるだけでなく、渓谷を散策し、黄金色に染まる大木を見上げ、古刹を彩る紅葉に目を奪われる——そんな秋ならではの時間を過ごせるのが、石川県加賀市の加賀温泉郷である。一般社団法人加賀市観光交流機構は2026年11月3日、見頃を迎える11月中旬以降に訪れたい紅葉スポットと、周辺の催しを紹介した。
最初に紹介したいのが、山中温泉にある「鶴仙渓(かくせんけい)」だ。温泉街のすぐそばにありながら、深山幽谷を思わせる渓谷美が広がる場所である。川沿いには約1.3kmの遊歩道が整備されており、渓流と色づく木々を眺めながら散策を楽しめる。
遊歩道では、重厚な石造りの「黒谷橋」、あやとりの糸を思わせる曲線が印象的な「あやとりはし」、総檜造りの「こおろぎ橋」という、趣の異なる3つの橋を渡ることができる。橋ごとに違う表情を見せる渓谷を、歩くたびに発見できるのがこの散策路の魅力だ。
11月28日(土)・29日(日)には、山中温泉総湯前広場の山中座で「YAMANAKAオータムマルシェ」が開催される。28日は11時から21時まで、29日は10時から17時までの開催で、紅葉散策とあわせて立ち寄れる秋の催しとなっている。また、渓谷沿いに佇む「無限庵」は、加賀藩の家老・横山家が金沢市内に構えた書院を移築した建物で、数々の古美術品を展示している。茶房「うるはし」では、鶴仙渓の景色を眺めながらお茶の時間を楽しめる。
樹齢650年の大イチョウが黄金に染まる、大聖寺「深田久弥 山の文化館」
加賀温泉郷から足を延ばしたいのが、十万石の小さな城下町として知られる大聖寺である。『日本百名山』の著者として知られる登山家・深田久弥の記念館「深田久弥 山の文化館」の前には、樹齢650年と伝わる大イチョウがそびえ、毎年秋になるとあたり一面が黄金色に染まる。
館内では、大聖寺が生んだ山の文学者・深田久弥にゆかりの品々を展示している。建物は明治期に建てられた絹織物工場を修築したもので、歴史的な趣を残したまま活用されている点も見どころだ。館内に設けられた「聴山房」はカフェとして利用でき、紅葉鑑賞の合間に一息つける。
11月15日には、13時30分から講演会「久弥さんと山文のスキーヤー」も予定されている。大イチョウの紅葉とあわせて、山と文学にゆかりのある大聖寺の文化的な側面にも触れられる一日になりそうだ。
古刹を彩る深紅のもみじ、山代温泉「薬王院温泉寺」と魯山人ゆかりの草庵
もう一つの見どころが、山代温泉の中心部にある「薬王院温泉寺」である。温泉の守護寺として親しまれてきたこの古刹では、境内を彩る真っ赤なもみじが、落ち着いた雰囲気をいっそう引き立てる。
近くには、陶芸家・北大路魯山人が若き日に約半年間滞在した旅館の別荘「魯山人寓居跡いろは草庵」もある。仕事場や書斎を当時のまま公開しており、土蔵を改装した展示室では作品も見ることができる。
11月19日から2027年3月30日までは、企画展「魯山人の手跡-器に書く-」が開催される。紅葉の時期を過ぎても、魯山人の筆致を間近で楽しめる機会として足を運ぶ理由がある。
渓谷の散策、黄金に染まる大木、古刹を染める深紅のもみじ——加賀温泉郷には、同じ秋でも異なる表情の紅葉が点在している。静かな時間を求めて旅に出たい人は、見頃を迎えるこの時期に、温泉とともに三つの景色を巡ってみてはいかがだろう。
若き北大路魯山人が、約半年間滞在した旅館の別荘だった建物。仕事場や書斎など当時そのままに公開しているほか、土蔵を改装した展示室では作品も展示。
11月19日~令和9年3月30日 企画展「魯山人の手跡-器に書くー」
加賀温泉郷
エリア:石川県加賀市(山中温泉・大聖寺・山代温泉)
紅葉の見頃:例年11月中旬〜
問い合わせ:加賀市観光情報センター KAGA旅・まちネット TEL 0761-72-6678(8:45〜17:30・年中無休)
情報提供:一般社団法人加賀市観光交流機構(TEL 0761-72-0600・平日のみ8:30〜17:15)
公式サイト
https://www.tabimati.net