LIFE STYLE | 2026/11/07

眺めるだけでは終わらない。阿蘇の野を摘み、味わう宿「HONO」開業

全17室が阿蘇五岳を望みプライベート温泉を備えるホテルが南阿蘇に開業

FINDERS編集部

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阿蘇の野に分け入り、草木を摘むフォレジングから滞在が始まる

阿蘇という土地を眺めるだけでなく、自ら足を踏み入れて知ってほしい──そんな思いから生まれた宿が、熊本県南阿蘇村に姿を見せた。宿泊施設の企画・プロデュースを手がける株式会社温故知新は、2026年11月2日(月)、「阿蘇リトリート HONO by 温故知新」を開業した。

世界有数の規模を持つ阿蘇カルデラには、火山活動によって育まれた広大な草原と、豊かな水、温泉が存在する。その風景は自然だけで生まれたものではなく、野焼きや放牧、採草など、人が長く手を入れ続けてきた営みの上に成り立っている。HONOが目指すのも、その関係性の中にゲスト自身が一歩踏み込み、土地を深く知る時間をつくることである。

滞在の核に据えられているのが、自ら草木を見つけ、触れ、味わう「フォレジング」だ。レストランに隣接する「食べられる庭」では、日本の在来種を中心とした草木を栽培しており、庭づくりは日本草木研究所が監修、苗の調達や施工・維持管理には大分県のグリーンエルムが携わっている。ゲストは庭を歩きながら、その季節に育つ植物に触れ、香りを確かめることができる。眺めるだけの体験ではなく、自らの感覚を使うことから、HONOでの滞在は始まる。

阿蘇から海へ水の流れをたどる食事、五岳を望む客室と温泉

阿蘇に降った雨は地下に浸透し、やがて湧水となって里を潤し、熊本の海へと注がれる。館内のレストラン「阿然人-ASATO」では、この水の流れに着想を得て、阿蘇の山々から里、海までをたどる「プリミティブ・ガストロノミー」を提供する。料理長の今西大和は、スタッフが毎朝水源まで足を運んで汲む湧水を料理に用い、薪などの火を使った調理を取り入れながら、土地の風景の変化をコースに描く。

客室は全17室、65㎡から168㎡までの6タイプを備え、すべての客室から阿蘇五岳の山並みを望める。全室にプライベート温泉が備わり、一部の客室にはサウナと水風呂も設置されている。温泉は南阿蘇の「午王谷温泉」を引いた単純温泉(低張性・弱アルカリ性・低温泉)で、滞在中は好きな時間に何度でも湯に浸かることができる。

客室のルームサインには、熊本・山鹿で400年以上受け継がれてきた「来民渋うちわ」や、阿蘇の火砕流から生まれた「南関石」を採用し、17室それぞれに異なるデザインを施した。ミニバーには、阿部牧場の飲むヨーグルトやみなみ阿蘇ビールなど、阿蘇・熊本の飲食品を揃えている。

アートとスパに宿る手仕事、滞在が目指す「人間性の回復」

滞在の仕上げとなるのが、インルームSPA「CONTINUUM」である。客室をそのままプライベートなスパ空間に変え、阿蘇の溶岩石や小国杉、阿蘇の草木を包んだハーブボール、阿蘇の水など、土地に由来する素材を使った施術を受けられる。専用施設へ移動する必要がなく、阿蘇五岳を望む客室で滞在の余韻を途切れさせずに過ごせる点が特徴だ。

空間づくりにも、阿蘇・熊本の自然素材と手仕事が取り入れられている。ロビーには阿蘇の草原に広がる茅や小国杉、小国の土を使用し、茅葺職人と共同開発したオリジナルの什器を設置した。客室のファブリックには、阿蘇黄土を原料とする染色技法「ベンガラ」を採用し、現在ではほとんど作られなくなっていたこの技術を、HONOの開業を機に復活させている。熊本・九州のアーティストや職人と制作したアートワークも、17室それぞれに異なるテーマで飾られている。

HONOが目指すのは、サービスを受け取るだけの滞在ではなく、ゲスト自身が五感を働かせ、土地や自然と関わる時間である。総支配人の野見山開は、人と自然が関わりながら築かれてきた阿蘇の風景に触れ、ゲストにも自身の感覚を使ってこの土地に触れてほしいと語っている。日常から離れ、自分の感覚にあらためて目を向けたいと考える人にとって、南阿蘇の山あいで五感をひらく時間を過ごせる滞在先として、選択肢に加えてみたい。


阿蘇リトリート HONO by 温故知新
所在地:熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陰5298-1
開業日:2026年11月2日(月)
客室数:全17室(6タイプ、65㎡〜168㎡)
設備:全室プライベート温泉付き、一部客室にサウナ・水風呂
総支配人:野見山 開
アクセス:熊本空港から車で約30分

公式サイト
https://aso.by-onko-chishin.com/