NFTによって「いいね」が価値を生む?
Instagramで美しい風景やおいしそうな料理の写真を競ってアップするのは、「いいね」をたくさん付けてもらいたいため。多くの人から認められたいという承認欲求の数値化に他なりません。これまでは、「いいね」の数という点数でしたが、NFTを導入することで、「いいね」が多い写真は、多くの人が見たいという写真であり、そこには人を集める、アクセスを集めるということになります。
事実、Instagramはアクセスが集まることで広告収益を生み出しているのですから、「いいね」が多い写真は、お金になるわけです。ただ、これまでは、デジタルデータの特性として簡単にコピーされてしまったのですが、NFTを導入することで、「オリジナル」がはっきりします。「オリジナル」を所有し、ウェブサイトに掲載することで多くのアクセスを集めることができるようになります。
もちろん、コピーした偽物をウェブサイトに掲載する人たちも出てくるでしょうが、そこにはNFTの証明がなく、偽物を集めただけという評価が下されます。リアルのアートでも、本物が並ぶからこそ、美術館に多くの人が足を運ぶのであって、レプリカではそこまでの集客はできません。
今後、InstagramにNFTの機能が追加されれば、「いいね」の数が多い写真は、高値で取引されるような日がくるでしょう。そのコレクションが表示されるサイトには、ますます多くのアクセスが集まることになりそうです。
インセンティブが今後のSNSのキーワード
もし、InstagramにNFTの機能が搭載されるようになれば、単なる数字を競っていた「いいね」が、お金になります。より「インスタ映え」する写真を撮影できれば、お金になるというインセンティブが与えられるようになってくるのです。
今まで、SNSや検索サービスのように、プラットフォームを提供している企業が、集まったアクセスを広告収益など利益に繋げていて、ユーザー側には還元されませんでした。もちろん、プラットフォームを無料で提供してはいますが、どのユーザにも平等に提供しています。より多くのアクセスを集める、「いいね」を集めて運営側に利益をもたらすユーザに対しての還元はあまりなかったのは事実です。
そこにNFTが入ってくることによって、多くの「いいね」を集めれば、それだけ多くの利益が得られるという状況が生まれます。今までにないインセンティブが働くようになり、ユーザーのやる気も変わってくるでしょう。Instagramは、ユーザーへのインセンティブを働かせ、SNSの新しい運営方法、活発な利用を促す方法としてNFTを活用しようとしているのかもしれないのです。
InstagramのNFTが成果を出せば、他のSNSも同じようなことを行うようになり、ひょっとしたら、個人の情報発信であってもNFT化するというのは当たり前になっていくのかもしれません。これからのSNSは、ユーザに対してどのようなインセンティブを働かせることができるのか、そこが大きな分かれ目になりそうです。