文：武者良太
23万円の超高級アレクサ搭載スピーカー
「ヘイシリ」「オッケーグーグル」「アレクサ」と呼びかけることで、様々な作業を音声で指示できるAIアシスタント。毎朝のアラーム、天気予報のチェック、ライトのオンオフなどでお世話になっている方も多いだろう。
これらのAIアシスタントは主に、スマートフォン、タブレット、そしてスマートスピーカーに搭載されている。このうちスマートスピーカーはマス向けの商品であり、低価格帯のものが多い。
ところがイタリアのPantheone Audio（パンテオーネオーディオ）は、2190ドル（約23万円）というハイエンドプライスのスマートスピーカー「Pantheone」を作り出した。
卵型のスピーカーは今までにも存在した。剛性に優れ、定在波も生じにくい形状はスピーカーの筐体として適した形の1つとなるが、Pantheoneは中央部を中空にするという、アーティスティックでダイナミックな外観を持つ。レッド・ドット・デザイン賞を受賞したその佇まいには、中央をくぐり抜けた光と筐体の影のコントラストを、音楽とともに魅せたいという思想が伺える。
電源ケーブル1本でネットに接続し、数多のプレイリストのなかから最高の1曲を探し出してくれるAIアシスタントは、便利で役立つ存在だ。しかし既存のオーディオ然としたルックスには惚れないというユーザーが存在し、彼らの目にとまるようにと、ハイソサエティなシーンに見合う装いのPantheoneが生まれたのだろうか。
合理性とコストパフォーマンスという呪縛から放たれたとき、AIアシスタントが活躍するステージは一気に拡張し、花開いていくのかもしれない。