EVENT | 2019/07/10

SNS投稿された「ぼかし・黒塗り画像」もいずれ剥がされる!? AI時代に注意したい画像投稿の注意点

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スマートフォンが搭載するカメラの高性能化が目覚ましい。
そのあおりを受け...

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スマートフォンが搭載するカメラの高性能化が目覚ましい。

そのあおりを受け、すでに“コンデジ”と呼ばれるコンパクトデジタルカメラの市場は大幅に縮小。最新の機種では、高価な一眼レフでなければ撮れなかった“ボケ”を活かしたポートレート撮影や、従来は三脚の使用が必須だった光量の少ない夜間の風景撮影まで手軽にできるようになってしまった。

高性能なカメラ機能を有するスマホのおかげで、日々の生活の中で撮影する機会が大幅に増えたという人も多いはずだ。

だが、スマホ搭載カメラの高性能化は、厄介な事態も引き起こしている。その筆頭が、個人情報の流出被害だろう。写って欲しくないものまで写ってしまうのだ。

伊藤僑

Free-lance Writer / Editor 

IT、ビジネス、ライフスタイル、ガジェット関連を中心に執筆。現代用語辞典imidasでは2000年版より情報セキュリティを担当する。SE/30からのMacユーザー。著書に「ビジネスマンの今さら聞けないネットセキュリティ〜パソコンで失敗しないための39の鉄則〜」(ダイヤモンド社)などがある。

カメラの高性能化がもたらす個人情報漏洩

例えば、友人たちと楽しむ様子を撮影する際に、定番のポーズとなっているピースサイン。カメラの高解像度化によって、従来は気にする必要もなかった“指紋”情報が、その画像から読み取れるようになってしまった。

自宅周辺で何気なく撮影した家族の写真に、小さく写り込んだ“住所表示”から住まいの場所を特定される。

昼休みに、会社近くのレストランで撮影したランチ時の画像に“IDカード”や“社章”が写っていて勤務先を知られてしまう。

自室内で撮影したインテリア小物を紹介する画像に、窓の外の様子がチラッと写っていて、自宅のマンションが分かってしまう。

恋人が撮影してくれた自分の顔の瞳の中に、撮影者の顔が写り込んでいて、誰と交際しているかがバレてしまう。

カメラの高解像度化によって、思いもよらぬ情報まで写し込んでしまう可能性が高まっている。写真を撮影する際には、対象となる人や物だけでなく、その画角の隅々まで、何が写るかを調べてから撮影したいものだ。

ハッシュタグや画像検索、位置情報にも注意

注意すべきは、自分や仲間が撮影する時だけではない。“他人が撮影するカメラ”にも注意を払おう。

スマホ搭載カメラの普及によって、誰もが観光地などで撮った写真を、気軽にSNSやブログに投稿するようになった。これは、“同じ場所に出かけた誰か”の投稿写真に、自分たちが写り込んでしまう可能性が増えたことも意味する。

そうした写真がSNSやブログに投稿されたとしても、知らない赤の他人によるものであり、自分の友人や知人に知られることなどあるはず無いので気にしないという人が大半だろう。

だが、投稿された画像に撮影場所や対象物、日時の“ハッシュタグ”、“位置情報”などが付与されていたり、閲覧者が“画像検索”機能を利用した場合には、安心していられなくなる。

観光地で誰かが撮影したスナップ写真に、たまたま不倫相手と一緒の様子が映り込んでいた場合を考えてみよう。自分や不倫相手が、SNSでその観光地に出かけたことを投稿していたとすると、それを見た友人や知人がその場所に興味を持って、ハッシュタグや位置情報で検索をかけたとしたら、他人の撮った画像の中から二人を見つけてしまうかもしれない。画像(顔)検索機能によって、見つかってしまう可能性だって無いわけではない。

行動を秘密にしたい場合には、他人のカメラにも注意を払いたい。

将来の画像処理技術の進化も考えて投稿すべき

スマホでは、画像処理アプリを手軽に使えることから、知られたくない情報にぼかしや黒塗りを入れてからSNSへ投稿しているという人も少なくないだろう。

でも、ここに落とし穴がある。

「今回はきれいに撮れた」、「ブスに写った」など、自動車免許証の顔写真を紹介したくて、住所などの情報を画像加工によって隠し、SNSへ投稿している人をよく見かける。でも、このような行為はお勧めできない。

なぜなら、画像処理技術は日進月歩で進歩しているからだ。

特に筆者が気になったのは、6月にAdobeが発表したツールだ。

同社の発表では、画像編集ソフト「Photoshop」によって加工された“顔”の画像に対し、AIを駆使することで、加工されているかどうかを検出・判別し、加工されている場合には元に戻すことが出来ることができるツールの開発を目指しているという。

今回は“顔”の加工に焦点が当てられた発表だが、同技術が進歩していけば、撮影対象を選ぶことなく、加工された画像を元に戻すことができるはずだ。

知られたくない情報を隠す際に用いられる、“ぼかし”や“黒塗り”などの画像処理についても、元の状態に戻すことができるようになったとしたら……。

機密情報部分を隠した書類、安全上の配慮から隠したい子どもの顔、集合写真に写った自分の顔を公開したくない人などが、技術の進歩によって、ある日、隠していた部分が元に戻され、白日の下にさらされてしまうかもしれないのだ。

このような事態を防ぐためには、公開したくない情報はぼかしなどの画像処理によって消すのではなく、復元できないように、その部分を“削除”したり“切り抜く”ことが望ましい。

また、自分のフェイク画像を作成される危険性にも配慮したい。

現時点の画像処理技術でも、特定の人物の複数の精細な画像を集められれば、AI技術を用いることで、本物そっくりのフェイク画像を作成することが可能といわれる。SNSに自分の写真を多数投稿している人ほど、フェイク画像のターゲットになる危険性が高まることを自覚しておこう。