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文:阪野亜希子
誰しもがいつかは経験する「両親の死」。あなたの最愛の人々が、死が迫った時、あなたならどうするだろうか?
新型コロナウイルスに感染した父親との残された時間で話せることについて、海外のネット掲示板『Reddit』に掲載した質問が、注目を集めている。
険悪な間柄だった父親がコロナに
31歳の男性は3月22日、Radditに「私の父は77歳なのですが、すでに免疫システムが低下している上に、新型コロナウイルスに感染したため、亡くなる可能性が高いのです」と投稿。そして「私たちの間柄は昔は険悪なものでしたが、父と分かり合う機会もなく、このまま死んでしまうのではないかと不安です。今週、時間のある時に父と何を話せばいいでしょうか?」と疑問を投げかけた。
この質問は瞬時に読者の心に響き、投稿後数時間で1万5000件の賛成票が集まり、大きな反響を呼んだ。そして、自らの体験談や識者に聞いたアドバイスなど、1000件以上のコメントが投稿された。
続々寄せられる有益な提案
一方、「死が迫っている1週間で、関係性を改めたり、完全に修復することはできません」と現実的な切り口からのコメントも寄せられた。そして「悪い部分を抑えることもせず、お父さんに対する良い部分に焦点を当ててみて下さい。もしかしたら、今まで知らなかったお父さんの悪い部分を理解して、人間としてのお父さんを理解するのに役立つこともあるかもしれませんよ」と続けた。
しかし、聞きたいけど聞けなかったまま亡くなってしまい後悔している人もいる。ボーイフレンドの母親が亡くなる前に聞きたかった質問があるという人からは「これまでの中で旦那さんがしてくれたことで一番優しかったことについて教えてください」「お孫さんの一番おもしろい思い出は何ですか?」などリストが寄せられた。関係の修復は難しくても、手遅れになる前に大事な人の声に耳を傾け、記録に残しておくことは、自分や、それを共有する人々にとって、かけがえのない贈り物となることは間違いないだろう。
尋ねる相手に対する思いやりに溢れた質問方法として「少なくとも2回に分けて彼に尋ねることを検討してください」との提案も。「例えば、何か質問を受けて、その数時間後にもっとこんな面白いエピソードがあったと思いつくことってありますよね? 質問を受ける相手にも、こんな風に一度答えた内容に、あとから思い出したことを追加するチャンスを与えてほしいのです」と理由を述べた。
この投稿は現在、約25万件の読者投票、その内9割もの賛成票を獲得し、依然として大きな反響を見せている。それは、「新型コロナウイルス」という名の悲劇が、意外にも「時間の大切さ」を再確認させるものだと、この投稿を通して皆が気づき始めたからなのかもしれない。