文:chopsticks
もはや冬の風物詩とも呼べるインフルエンザだが、決して甘く見てはいけない。米国アイオワ州の4歳の少女が、インフルエンザのために視力を失ってしまったという。
このニュースは予防接種の重要性を裏付けるものとして、多くの人の注目を集めている。
クリスマスにインフルエンザに感染
昨年12月24日、なかなか目を覚まさない娘のジェイド・デルーシアちゃんの様子を見に行った父親は、彼女の異変に気付いた。ジェイドはベッドに横たわったまま何の反応もなく、身体から熱を放っていたのだ。
両親はすぐに娘を抱えて地元の病院へ駆け込んだが、その時、ジェイドちゃんの体はひどく震え、白目をむいていたという。その様子を見た医者たちは今すぐ大病院に搬送しなければならないと判断し、ジェイドちゃんはヘリコプターでアイオワ大学の小児病院に搬送された。そして、クリスマスの日、両親はインフルエンザがジェイドちゃんの脳を蝕んでいるということを告げられた。
さらに、悪い知らせは続いた。12月31日、医師は両親にジェイドちゃんは「急性壊死性脳症(ANE)」であると告げたのだ。急性壊死性脳症は非常に稀で、特に子どもの発症に関する研究は少ない。そして、そのわずかな論文によると、発症した4人の子どものうち、3人は死亡したという。
予防摂取の重要性を母親が訴える
しかし、1月1日、奇跡が起こった。ジェイドちゃんが目を覚ましたのである。その数日後の間に、ジェイドちゃんの体調はみるみる回復していった。
しかし、ジェイドちゃんの両親と医師はある異変に気付く。お気に入りのぬいぐるみを目の前に置いても彼女はそれを見ず、ボールを投げても目で追うことをしなかったのだ。「脳の視覚を認識する部分に影響が出ていて、視力が回復するかどうかわからない」と医師は診断した。また、学習障害など認知や発達に問題が出る可能性もあるという。
実はジェイドちゃんは、今シーズンインフルエンザの予防接種を受けていなかった。昨年3月に受けたため、1年間は効果があるとジェイドちゃんの母親が判断していたのだ。そして「シーズンごとにインフルエンザの予防接種を受けるべきだということを、多くの親たちに知ってもらいたいです」と訴えた。
インフルエンザの合併症の恐ろしさ
米国疾病予防管理センターによると、ワクチンがインフルエンザの予防に40~60%しか効果がないのは事実だ。しかし、2014年の研究では、インフルエンザワクチンによって小児が小児集中治療室に入るリスクが74%減少したことが示されている。
また、米国疾病予防管理センターによると、2017年の研究でも、ワクチンによって子どもがインフルエンザで死亡するリスクが大幅に減少したことが示されたという。
このことに関して、米国ニューヨーク大学ランゴン保健研究所の小児感染症専門医、アダム・ラトナー博士は「インフルエンザにかかることを予防するというよりは、インフルエンザの恐ろしい合併症を予防するためにワクチンを接種するのだ」と『CNN』に語っている。
ちなみに、ジェイドちゃんの両親は現在、医療費の請求に直面している。ジェイドちゃんの両親がクラウドファンディング『GoFundMe』を立ち上げたので、ジェイドちゃんの幸せな未来のためにも、ぜひ支援の手を差し伸べてほしい。