文:岩見旦
Huluオリジナルで、3月20日に配信がスタートした『The Act』。このドラマは2015年にアメリカで実際に起きた事件のノンフィクションだ。
世界を震撼させた衝撃的な事件が、SNS上で大きな反響を呼んでいる。
全米を感動させた親子に訪れた悲劇
2005年8月、ハリケーン・カトリーナがアメリカ南部を襲う中、髪のない車イスの娘ジプシー・ブランチャードと、その母親ディーディーは、奇跡的に救助された。
ジプシーは知的障害があり、知能は7歳レベル。筋ジストロフィーや白血病などの難病を患っており、ディーディーはシングルマザーとして、そんなジプシーを献身的に支えていると地元メディアによって報じられた。
このことが公になると、親子の元には莫大な支援物資や募金が舞い込んだ。さらには一軒家まで寄付。やっと親子に幸せが舞い込んだと思いきや、10年後に恐ろしい事件が起きた。
2015年6月、ディーディーが何者かに殺害され、ジプシーは行方不明になった。逮捕されたのは無職の男性、ニコラス・ゴドジョン。ジプシーはゴドジョンの自宅で保護された。
しかし、驚くべきことにゴドジョンだけでなく、ジプシーも共犯として殺人罪で起訴されたのだ。
精神的に支配されていたジプシー
実はジプシーは病気には一切かかっておらず、生まれたときからずっと健康体だった。しかし幼い頃から、ディーディーに病気にかかっていると洗脳されていたのだ。
壮絶な暴力によってジプシーを精神的に追い詰めていたディーディー。ジプシーは毎日大量に薬を飲まされ、手術まで受けさせられていた。
娘の髪の毛を剃り上げ、車イスに乗せていたディーディーは、「代理ミュンヒハウゼン症候群」にかかっていたと言われている。子どもの病気を偽り、熱心に看護するふりをして周囲の注目を集めようとする精神疾患だ。
ジプシーはこの支配された生活から抜け出すため、出会い系サイトで知り合ったゴドジョンにディーディーの殺人を依頼。自宅に招き入れられたゴドジョンは、ディーディーをナイフで17回刺し、殺害したのだ。
現在ジプシーは10年の禁固刑で現在服役中。インタビューで「刑務所では今まで知らなかった自由を味わっている」と語っている。
「これが事実だなんて」SNSに衝撃広がる
この事件のドラマ化がTwitter上で話題になり、現在3万6000件ものリツイートを記録。「これが事実だなんて」「言葉が出ない」「狂気すぎる」などのショックを受けた人からのコメントが多数寄せられた。
現在のところ、『The Act』は日本での配信は未定。日本で公開されたら話題になることは間違いない。