宮崎大輔
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1988年長野県生まれ。信州大学大学院農学研究科で修士号を取得後、2013年からJICAの青年海外協力隊に参加。中米パナマ共和国で農業指導を2年間行う。2015年からフリーランスになり日本、東南アジア、南米、アフリカの案件に農業コンサルタントとして従事。またノマド生活をしながら、世界中でスナップ写真やポートレート写真を撮影中。ブログ
ハバナの新市街にある革命広場
キューバのハバナでは、旧市街にあるAirbnbで予約した部屋に泊まっていました。キューバにも高級ホテルはありますが、リーズナブルなホテルやホステルはありません。そのため外国人旅行者の多くが「カサ」とよばれる民家を使った民泊施設に泊まります。カサとはスペイン語で家という意味です。ひと昔前まではネット予約ができませんでしたが、最近ではネットやAirbnbを介してできるようになりました。
外国人観光客向けのスポットは、主に旧市街エリアに集まっていますが、新市街エリアにある観光スポットといえば革命広場です。革命広場にはキューバ革命の英雄である、チェ・ゲバラとカミーロ・シンフエゴスの肖像画が建物に大きく描かれています。また革命広場の中央には、スペインからの独立戦争時代の革命家ホセ・マルティを讃える記念博物館もあります。
メーデーのパレードを見学したい
私がキューバを訪問した一番の目的は、この革命広場で開催されるメーデーのパレードを撮影することでした。5月1日の労働者の日メーデーには、毎年この革命広場で大規模なデモ行進が行われているのです。そのため数日前からハバナに滞在して、パレードについての情報を集めていました。
現地の人に聞き取り調査をしてみると、いろんな情報が集まりました。例えば、キューバ中から人が集まるから混雑する、日の出前から革命広場に行かないと中に入れない、水を持っていかないと熱中症で倒れるぞ、などなど。集めた情報を元に、日の出とほぼ同時に宿を出発して革命広場へ向かうことにしました。
本当にめちゃくちゃ混んでる
革命広場へ向かって歩き始めると、たくさんのキューバ人と会いました。みんな同じ方向に向かって歩いています。その人の流れに乗って進んでいくと、広場の手前に着きました。しかし、すでにそこには人が溢れていてそれ以上前には進めそうもありません。「このままでは革命広場のパレードを撮影することができないのでは?」と不安に思いながら1時間ほど待っていると、スピーカーから演説が流れ始めました。
演説は30分ほどで終わり、身動きができなかった群衆が前に動き始めました。革命広場まで流れに身を任せて進んでみると、周りにいたキューバ人たちはプラカードや横断幕を掲げてデモ行進を始めました。そしてようやく気がつきました、私もデモ行進に参加していることに。
参加者はどのような心境なのか
デモ行進を外側から撮影しようと思っていたんですが、なんとデモ隊の中に入ってしまいました。しかし、これはこれで面白い写真が撮れそうだと気を取り直し、写真撮影を始めました。カメラを持ってデモ隊の中を歩き回っていると、写真を撮ってくれと頼まれたり、ポーズを決めてもらえることが多かったです。パレードの参加者たちは観覧席に座っている幹部へ向かって、プラカードを掲げたり歓声を上げていました。
後日、主催者の発表ではこのパレードの参加者は90万人と公表されていました。本当に90万人いたかは怪しいところですが、学校や会社ごとの参加も多く、たしかにかなりの規模の人数が集まっていました。そして、2時間ほど革命広場で写真を撮っていると、ついにパレードが終わりました。すると、参加者たちは手に持っていたプラカードを捨てて、すぐに家に帰っていきます。その様子を見て「パレード中の熱狂ぶりは真意なのか、それとも…?」と考えてしまいました。