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「忘れた記憶を復活させる薬」を東大などが発見!アルツハイマー病治療に光明
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  • 2019.01.10
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「忘れた記憶を復活させる薬」を東大などが発見!アルツハイマー病治療に光明

文:岩見旦

薬の力で忘れた記憶が回復!マウスと人で正答率アップ

歳を重ねるたびに低下していく記憶力。最近物忘れが多くなったという人も少なくないはず。そんな人に朗報だ。

忘れてしまった記憶をスムーズに思い出させる薬を発見したと、東京大学や北海道大学などの研究グループが発表した。脳内のヒスタミン神経系を刺激する既存の薬に、その効果を確認したという。研究チームはマウスと人に対して実験を行った。

マウスには、ヒスタミン神経の活性薬を投与することで、忘れてしまった玩具の記憶が回復するか実験が行われた。マウスに同じ物体を2つ与えると、マウスは物体に触れたり、匂いを嗅いだりして、その玩具の特徴を覚える。その直後、玩具のひとつを新しい玩具と入れ替えると、マウスは習性として新しいものを好む。しかし3日以上経過すると、マウスは玩具の記憶を失い、2つの玩具を同じように好むようになる。そこで、マウスにヒスタミン神経の活性化薬を与えると、忘れた記憶を思い出し、新しい玩具の方を好むようになった。この効果は1カ月後も続いた。

A:マウス実験の概要。B:時間経過とともにマウスの記憶は低下する。C:ヒスタミン神経の活性薬をマウスに投与すると、忘れた記憶を取り戻すことがわかった。

人を対象にした実験では、ヒスタミン分泌の効果のある市販薬とプラセボ(偽薬)を使用。38人の参加者に約100枚の写真を見せ、1週間後のテストで「以前見せた写真」「見せなかった写真」「類似の写真」を提示し、覚えているかをテストした。その結果、市販薬を投与した人は、プラセボを投与して人に比べ、正答率が向上した。

また、プラセボ投与時に成績が悪かった参加者に、市販薬を投与すると、正答率が大きく上昇。最も正答率が低かった参加者は正答率が約2倍に跳ね上がった。一方、プラセボ投与時に成績が良かった参加者は、市販薬を投与すると、正答率が低下したという。

A:人に対する実験の概要。B:市販薬を投与するとプラセボと比べ、正答率が上昇した。C:プラセボ投与時の成績を6つのグループに分類し、市販薬を投与すると成績が変化した。

研究チームは、ヒスタミン分泌により脳内の神経回路にノイズが加わり、記憶が回復したと分析。一方、鮮明な記憶はノイズが加わることで逆効果となり、正答率が悪化したと考察した。

現在、アルツハイマー病のメカニズムは完全に解明しておらず、病気自体を治す薬は存在していない。今回の研究結果は今後、アルツハイマー病などの認知機能障害の治療に役立つことが期待されている。

ネット上では、夢のような薬の発見に、「これはすごい」「感動しました」「まるでドラえもんに出てくる暗記パン」と称賛の声が上がる一方、「忘れたトラウマもフラッシュバック」「PTSDが再燃しそうで怖い」など精神神経疾患の発生を不安視する意見も散見された。また、「小中高生に受験の直前に飲ませる親がこの冬続出するだろう」と子供たちへの影響を危惧する意見も上がった。

「未知の臓器」と呼ばれる脳に関わる内容なだけに、心配の声は決して少なくない。しかし、画期的な研究結果は世界中で3,000万人が苦しんでいるアルツハイマー病の患者にとって、大きな希望になるのではないだろうか。


忘れた記憶を復活させる薬を発見
-既存の薬物で記憶痕跡の再活性化に成功-

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