LIFE STYLE | 2021/10/02

10年後に「成長する仕事」と「衰退する仕事」を図解してみた。米国労働統計局が予測

文:岩見旦

日進月歩で成長する技術革新により、雇用の状況は日々目まぐるしく変化している。私たちは未来を見据えて、仕...

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文:岩見旦

日進月歩で成長する技術革新により、雇用の状況は日々目まぐるしく変化している。私たちは未来を見据えて、仕事選びをする必要があるだろう。

そんな中、米国労働統計局は先月、2030年までに米国の雇用者数は1190万人増加し、7.7.%成長するなどといった内容の雇用予測を発表した。『Visual Capitalist』はこの雇用予測を基に、「成長する仕事」「衰退する仕事」のインフォグラフィックスを制作した。あくまで米国における雇用予測ではあるが、私たち日本人も大いに参考になるだろう。

このインフォグラフィックスの円は職種を表しており、上に描かれているほど雇用者数の上昇率が高く、下に描かれているほど下落率が高い。円が大きく描かれているほど雇用者数の変化が大きく、右に描かれているほど2020年時点でのその職種の平均年収が高い。ちなみに、データの信憑性を高めるため、コロナ禍から平均以上の景気回復を見せた職種(映画の映写技師、チケット、映画館のチケット係、レストランのコック)は除外している。

雇用者数の上昇率トップ10「成長する仕事」はこちら

1位 風力発電タービン技師 +68.2%(+4700人)
2位 診療看護師 +52.2%(+11万4900人)
3位 太陽光発電ソーラーパネル設置業 +52.1%(+6100人)
4位 統計学者 +35.4%(+1万4900人)
5位 理学療法士アシスタント +35.4%(+3万3200人)
6位 情報セキュリティアナリスト +33.3%(+4万7100人)
7位 在宅医療・身辺介護補佐 +32.6%(+112万900人)
8位 医療ヘルスケアマネージャー +32.5%(+13万9600人)
9位 データサイエンティスト等 +31.4%(+1万9800人)
10位 医師アシスタント +31.0%(+4万100人)

雇用者数の上昇率の上位に、「風力発電タービン技師」「太陽光ソーラーパネル設置業」がランクインし、再生可能エネルギーへの需要上昇が見て取れる。ただし、雇用者数の増加はおよそ1万人と決して規模は大きくない。

一方、日本の「団塊の世代」に当たるベビーブーマーの高齢化により、ヘルスケアとその関連分野の急成長が見込まれている。特に「在宅医療・身辺介護補佐」は100万人以上の新規雇用を予測。しかし、平均年収は2万7080ドル(約303万円)と決して高くないのが実情だ。

また、コンピュータ-・数学関連の仕事も高い成長が期待されており、リモートワークの増加によりITセキュリティやソフトウェア開発の需要に追い風が吹いているようだ。

雇用者数の下落率トップ10「衰退する仕事」はこちら

1位 文字入力 -36.0%(-1万6300人)
2位 駐車場監視員 -35.0%(-2800人)
3位 原子炉管理 -32.9%(-1800人)
4位 裁断師 -29.7%(-2400人)
5位 テレフォンオペレーター -25.4%(-1200人)
6位 時計修理業 -24.9%(-700人)
7位 訪問販売員・路上販売員 -24.1%(-1万3000人)
8位 電話交換手 -22.7%(-1万3600人)
9位 データ入力 -22.5%(-3万5600人)
10位 靴機械操作 -21.6%(-1100人)

雇用者数の下落率の上位のほとんどは事務・業務補助職だ。また、商品・サービスの生産、営業職も減っている。これらはすべて機械化・自動化が要因だ。音声を文字に変換するソフトウェアがあれば文字入力の仕事は不要になる。

上記の仕事のほとんどは低賃金だが、1つだけ例外がある。原子力発電所の「原子炉管理」で、平均年収は10万4040ドル(約1162万円)だ。米国では1990年代以降、新規の原発を建設しておらず、今後老朽化した大量の原子炉が廃炉になる見通しだ。ちなみに先日、自民党総裁に選ばれた岸田文雄氏は、原発再稼働を含む「クリーン・エネルギー戦略」の策定を提言するなど、原発の活用に積極的だ。日本の「原子炉管理」はしばらく仕事が維持されるかもしれない。

このように見てみると「成長する仕事」はどれも、専門技術や知識など求められるものばかりだ。需要のある雇用を掴むため、私たちは時代の風を読み取りながら、日々勉強に励む必要がありそうだ。