文:山田山太
テクノロジーの進化は我々の生活をより便利なものへと変化させてくれる。その一方で、中国では2億台ものカメラが市民の生活を過剰に監視し、プライバシーを侵害するという問題も起きている。
そんな監視社会へ抵抗するべく、米国Amazonの配達ドライバーとして働いていたヴィックさんが3月19日、トムソン・ロイター財団を通して声明を発表した。
日に日にエスカレートする監視体制
ヴィックさんが米国Amazonでドライバーとして働き始めた2019年当時、米国Amazonはアプリを通じてドライバーの移動ルートを追跡していたという。しかしその後、また別のアプリを通して勤務開始時の写真を要求してきたとのこと。ヴィックさんは、ここまではなんとか我慢することができた。
ところが今年2月、米国Amazonは配達車の車内にAI搭載型のカメラを設置すると発表した。このカメラは常に車内の監視し、ドライバーの動きや車のスピードを監視。シートベルトの着用やドライバーのあくびまで検知するという。異変があるとすぐさま自動音声による警告が発せられるという。ヴィックさんは「これはプライバシーの侵害であり、信頼の失墜を意味します」「ある種の強制だと思います」と憤りをあらわにした。
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