LIFE STYLE | 2020/02/04

自閉症の息子を助けるため、大学で修士号を取得した母親。さらに多くの子どもたちのために孤軍奮闘中

文:chopsticks
親であれば誰でも、わが子に何不自由なく、すくすくと育ってほしいと願うものだろう。しかし、我が...

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文:chopsticks

親であれば誰でも、わが子に何不自由なく、すくすくと育ってほしいと願うものだろう。しかし、我が子が生きづらさに悩んでいたとしたら、あなたはどう行動するだろうか?

今、自閉症の息子を救うために大学で学び、さらに多くの子どもたちを救おうと勇往邁進する母親が注目を集めている。

他の子とは「違う」息子

米国ジョージア州アトランタに暮らすカネシャ・バーチさんは、息子のアントニオ・ゲイロード君が他の子とは「違う」ことに、すぐ気がついた。アントニオ君の言語能力と自己表現能力には明らかな遅れがあったのだ。

また、アントニオ君は他の子どもたちと触れ合おうとせず、音だけでなく食べ物の質感や色にもとても敏感だったという。

心配になったバーチさんは、3歳になったアントニオ君を小児科に連れて行ったところ、言語表現の遅れと自閉症スペクトラム障害と診断された。当時自閉症の知識がなかったバーチさんは、アントニオ君を救う方法が分からず怖くなったという。しかし、バーチさんはここで新たな決断をする。

パデュー大学でABA療法を学ぶ

バーチさんは、パデュー大学に通い、自閉症など発達障害の子どもに非常に有効とされる応用行動分析であるABA療法を学び始めた。その結果,心理学の修士号を取得し、さらにオンライン・プログラムを通じて幼児教育の学位まで得た。

バーチさんにとって学位を取得するまでの道のりは大変困難なものだった。幼稚園の教師として一日中働いた後、プログラムに参加。さらに学んだことをアントニオ君やクラスの子どもたちのサポートに活かした。

2018年10月に卒業したバーチさんは「ABA療法で修士号を取得しただけでも、私の人生と息子の人生に大きな変化をもたらしました」と『Good Morning America』の取材に対して語っている。

今6歳になったアントニオ君は、母親の助けとアントニオ君自身の懸命な努力のおかげで、他の子どもたちと楽しく会話をすることができているという。そしてさらに、アントニオ君は成績優秀者に与えられる賞にまで選ばれた。

息子以外の困っている子どもたちも助けたい

バーチさんの挑戦はまだまだ止まらない。現在、バーチさんはアントニオ君のデイケアでの経験を踏まえ、自閉症など障害を持つ子どもたちを支援する設備を備えた学校を増やそうと、グランドキャニオン大学の幼児教育課程で修士号を取得しようとしている。

「私がデイケアの経営者になれば、子どもたちから目を背けることはないでしょう。私は、子どもたちが直面している問題を理解し、親たちが何を経験しているかを理解しているのですから。私は彼らを助けるため、常に彼らの傍にいたいのです」と語るバーチさん。

まさに母の鑑。その行動力と愛の深さに感服せずにはいられない。