文:岩見旦
7月21日の参議院議員選挙を前に、あるキャンペーン動画がSNS上で話題となっている。その動画とは、昨年のアメリカ中間選挙を前に公開された「Dear young people, "Don't Vote"(若者よ、投票しないで)」だ。
白人の高齢者が入れ代わり立ち代わり登場し、カメラ越しに「若者よ、投票しないで」と呼びかけているこの動画。投票を促すならまだしも、なぜ投票を止めようとしているのだろうか?
投票に行かない若者を皮肉った動画
「若者よ、投票しないで」とアピールした高齢者たちは、続けざまに「富裕層へ減税されただろ? 最高だよ。超金持ちだからな」「気候変動? それはあなたたちの問題ね。私はもうすぐ死にますし」「学校の銃撃事件は悲しいわね。けど私は50年間学校に行っていないわ」と畳み掛けた。
さらに、「Instagramにミームを投稿したり、天気が良ければちょっとしたデモに参加するかもしれない」「この動画もFacebookでシェアしたりするんでしょう」と若者を嘲笑。高齢者たちがこのような皮肉を言う理由は、こちらの動画を見てもらいたい。
あらゆる問題が起きていることを認識しつつ、投票には行かない若者を尻目に、高齢者たちは「私は投票する」「私もするわ」「ありとあらゆる選挙でする」「私たちは間違いなく投票する」と力強く話す。そして「俺は行動する世代だからさ」「口だけの『不平屋』じゃないわ」と若者を煽った。
この動画は、非営利団体「Acronym」が、中間選挙における民主党支持キャンペーン「Knock The Vote」の一環として、より多くの若者に投票を促すため、昨年9月23日に公開したもの。動画には「今回の選挙で、私たちには、私たちの価値のために戦っていないリーダーたちを追い出す力があります。私たちの番です」というコメントが添えられている。
SNSで3万5000リツイート
今月7日、あるTwitterユーザーが「さて、これを見た若者はどうしよう?」というコメントとともに、この動画を紹介。現在3万5000件を超えるリツイートを記録し、「挑戦的なのが良いですね」「うまいCM作るなぁ」「昔、ある議員が『無党派層は選挙に行かないで家で寝てろ』という発言したのを思い出した」などの意見が寄せられた。
総務省の発表によると、2017年の衆議院議員選挙での世代別の投票率は、10代が40.49%、20代が33.85%と低調だったのに対し、60代は72.04%、70代以上は60.94%と大きく差が開いた。政治家に国民の声を反映させるためにも、特に若者には参議院議員選挙に行ってもらいたい。