表紙は映画ポスター、広報いまばり10月号に横浜流星と広瀬すずの言葉
自治体が発行する広報紙の表紙に、公開間近の映画のポスターがそのまま使われる——そんな出来事が愛媛県今治市で起きている。今治市は9月25日(金)、映画『汝、星のごとく』のポスタービジュアルを表紙全面に採用した「広報いまばり10月号」の配布を開始した。発行部数は63,000部。10月9日(金)の映画全国公開に合わせ、市の広報媒体そのものを使ったプロモーションという、行政広報としては異例の企画である。
映画『汝、星のごとく』は、本屋大賞2023を受賞した凪良ゆうさんの同名小説を原作とし、日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した藤井道人監督が、横浜流星さんと広瀬すずさんのダブル主演で映画化した作品だ。物語の舞台の一つとして今治市内でロケが行われ、市民エキストラも多数出演している。
広報いまばり10月号では、表紙だけでなく4ページにわたる特集を組んだ。横浜さんと広瀬さんへの特別インタビューのほか、原作者の凪良ゆうさんと、執筆当時の担当編集者で今治市出身の河北壮平さんからのメッセージも掲載されている。単なる映画公開の告知にとどまらず、作品と今治のつながりを丁寧に紐解く内容になっている点が、この特集の特徴である。
『汝、星のごとく』と今治の縁は、原作者・凪良ゆうさんの実体験から始まっている。凪良さんは執筆前に今治を訪れた経験が作品につながったと語っており、作中には瀬戸内のとある島の風景や空気感が繊細に描かれている。この作品で凪良さんは自身二度目となる本屋大賞を受賞し、令和7年には今治市から今治エール大使「IMABALINA Ambassador」を委嘱された。
その縁をつないだのが、凪良さんの担当編集者だった河北壮平さんの存在である。河北さんも今治市出身で、9月12日(土)には映画公開を前に今治市内で記念講演会が開催され、凪良さんとともに登壇した。講演では凪良さんが「河北さんと出会わなければ、今治に来ることも、映画化されることもなかったかもしれない」と語り、二人の出会いがこの物語の出発点であったことを明かしている。
さらに、表紙に使われたポスタービジュアルをはじめ、映画の公式ビジュアルを撮影した写真家・末長真さんも今治市出身だ。作品に関わった複数の人物がそれぞれの立場で今治とつながっているという事実が、単なるロケ地連携とは異なる、この企画の厚みを生んでいる。
ロケ地マップや高校生への鑑賞支援、映画を起点にしたまちづくり
今治市は、今治フィルムコミッション事務局を兼ねる今治地方観光協会と連携し、映画を軸にしたシティプロモーションを広げている。広報紙の特集に加えて、今治版の特設サイトを開設したほか、市役所ロビーでの映画関連展示やSNSでのプレゼントキャンペーンも実施中だ。10月にはロケ地マップの公開も予定しており、映画をきっかけに今治を訪れる人に向けた仕掛けが用意されている。
市内の高校生を対象にした鑑賞支援事業も見逃せない。10月から各高校を通じて鑑賞チケット引換券を配布し、イオンシネマ今治新都市で映画を無料で鑑賞できる。自分たちのまちがスクリーンにどう映るかを、地元の高校生自身の目で確かめてもらう機会をつくることで、地域への誇りを育む狙いがある。
広報いまばり10月号は、今治市公式LINEの友だち登録者であれば郵送での入手も可能(切手代・返信用封筒は自己負担、1人1冊限り)で、Web版は「マイ広報紙」でも公開されている。一つの映画をめぐって、行政・出版・地域住民がそれぞれの形で関わり続けているという点に、このコラボレーションの本質がある。作品を通じて今治という土地の記憶に触れてみたい人は、映画の公開に合わせて広報紙にも目を通してみてはいかがだろう。
広報いまばり10月号(映画『汝、星のごとく』特集号)
https://mykoho.jp/lg/382027/914349
公式サイト
https://www.city.imabari.ehime.jp/kouhou/info/003/