BUSINESS | 2024/07/26

地球沸騰化時代が到来?!暑くなると売れるもの、 寒くなると売れるものは?

食品スーパーマーケットの購買データと気象データによる調査

FINDERS編集部

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お菓子・飲み物・お惣菜、食品スーパーマーケットにおける気温と売り上げの関係性を調査

株式会社True Dataは、食品スーパーマーケットにおける統計化した購買データと気象データを掛け合わせ、「菓子類」「飲料 (アルコール類を除く)」「惣菜」の売れ行きと気温の関係性について調査、結果を公開した。

この調査は、同社の流通気象コンサルタント気象予報士の常盤勝美が監修、気温の上昇、下降と売り上げの関係を、相関係数(関係性の強さを示す指標)を使って可視化したものだ。

2023年7月、国連のグテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と述べたように、日本の平均気温は観測史上最高の未曾有の暑さだった昨年同様、今年の夏も記録的な高温が続いている。このような状況下の中、これまで「何月に売れるもの」「秋に売れるもの」といった季節の常識はあてはまらなくなっており、流通業界などをはじめ、気温変化に対する消費者のニーズの把握は課題となっていた。

調査概要

•ランキングは株式会社True Dataの流通気象コンサルタント(気象予報士)常盤勝美が監修。購買と気象のデータを用いて相関係数を算出し、関係性の強さを可視化。

•購買データは食品スーパーマーケットにおける購買情報をもとに統計化した週別の購入個数を使用。

•気象データは各週(7日間)の最高気温の平均値を使用。 

•相関係数は 「0.5以上」 の場合、気温との関係性が強いと言われており、値は-1~1の範囲に必ずおさまり、0に近いほど2者の関係性が弱く、1(逆相関であれば-1)に近いほど関係性が強いことを示している。

やはり気温が高いときに売れるのは “アイス!” ―菓子類の調査結果

菓子類で最も気温の上昇と売り上げの関係性が強いカテゴリは、「ファミリーアイス」 (箱入りなどのアイス)。単品の 「パーソナルアイス」 も強い関係性を示した。「プレミアムアイス」 (乳脂肪分の高いアイス) は、クリスマスや年末年始など、冬に人が集まるタイミングで売り上げが上昇することなどが影響し、アイスクリーム類のなかでは気温上昇との関係が弱く出ている。冷たいゼリーやプリンなどの 「デザート類」 も気温上昇に伴って売り上げが伸びる傾向にあることがわかった。反対に、気温の低下と関係性が強いのは 「チョコレート」「米菓」「ビスケット・クッキー」などだった。

流通気象コンサルタント 常盤 勝美のコメント
「菓子類の中でも、気温が高い時は、からだを冷やす目的で、冷蔵庫や冷凍庫で冷やして食べるものが好まれます。アイスやデザート類はその典型です。ただアイスの中でも、乳脂肪分の高さによって、気温との関係性が異なります。一方気温が低い時は、からだを温める目的で、体内産熱につながる甘味の強いものや、熱いお茶と一緒に食べることが多い米菓などの和菓子が好まれます。」

気温上昇と最も関係性が強いのは “コーヒードリンク” ―飲料の調査結果

アルコール類を除く飲料カテゴリで、気温上昇と最も関係性が強いのは 「コーヒードリンク」 だった。「スポーツドリンク」 も非常に関係性は強いが、高温時期に一気に売り上げが伸びるため、気温上昇との関係性を示す相関係数としては 「コーヒードリンク」 より低く出ている。「日本茶・麦茶ドリンク」 (ペットボトル、パックなど)といった無糖のドリンクも強い関係性があり、「麦茶」 はティーバッグなどのカテゴリも暑さと強い関係性を示している。

炭酸系の飲料や、牛乳、豆乳も気温上昇との相関が認められる。牛乳は年間を通して購入される商品だが、夏場は消費スピードが速くなることが影響していると考えられる。反対に、「レギュラーコーヒー」 (豆や粉など) や 「インスタントコーヒー」「日本茶」(茶葉)などは、気温低下との関係性が強いことがわかった。

流通気象コンサルタント 常盤 勝美のコメント
「コーヒー、紅茶、日本茶・麦茶は、夏場の暑い時期はコールドで、冬場の寒い時期はホットで飲むという風に陽気によってホットとコールドを切り替える人が多いため、気温との関係性がより強くなる傾向があります。炭酸水も、無糖のものは、蒸し暑い陽気の日にのど越しの爽快さを求めるニーズが強まることから、気温との関係性が強くなっています。ただ、コールド飲料の中でも、水分補給のためというより健康のために飲まれることの多い乳酸菌飲料は、気温との関係性が弱い結果となりました。」

また、最も気温上昇との関係性が強かった 「コーヒードリンク」 の甘さによる気温との関係性の違いの分析によると、気温上昇と最も強い関係性を示したのは 「無糖」、ついで 「微糖・低糖」、3番目がおもにカフェオレなど甘い系が含まれる 「その他」だった。3種類とも相関係数は0.8以上と高いものの、甘さによって違いがあることがわかった。

流通気象コンサルタント 常盤 勝美のコメント
「気温や季節と味覚の関係から、気温が高い時期は酸味あるいは辛味のあるメニューが、気温が低い時期は甘味のあるメニューが好まれます。料理法に関しては、気温が高い時期は生食あるいは焼き物メニューが好まれやすく、気温が低い時期は煮物メニューが好まれやすい傾向にあり、今回の結果でもそれが表れています。」

気温上昇との関係性が強かったのは “酢の物” ―お惣菜の調査結果

最後にスーパーマーケットで売られているお惣菜について分析、最も気温上昇との関係性が強かったのは 「酢の物」 だった。酸味のあるさっぱりとした味わいや、夏バテ対策としてお酢をとりたいというニーズを反映している。次に関係性が強かったのはスタミナメニューの代表格 「鰻蒲焼」。冷たい麺類と一緒に食べることも多い 「天ぷら」 も、気温上昇に伴って売れる傾向にある。反対に気温の低下との関係性が最も強いのは 「おでん」、次いで「煮物」 という結果だった。

調査を行ったTrue Dataによると、今後もこうした調査を継続し、小売業やメーカー企業における購買データと気象データの活用を推進し、売り上げアップとロス削減の取り組みへとつなげていきたいとしている。

常盤 勝美

流通気象コンサルタント(気象予報士)

神奈川県小田原市生まれ。大学で気候学、気象学を専攻した後、20年以上にわたり民間気象情報会社にて、コンビエンスストア、スーパーマーケット、食品メーカーなどに対してウェザーマーチャンダイジングの指導などを行う。2018年より株式会社True Dataで、流通気象サービスを推進している。


株式会社True Data 
代表者:代表取締役社長 米倉 裕之
所在地:東京都港区芝大門1-10-11 芝大門センタービル 4階
設立:2000年10月10日
上場市場:東京証券取引所 グロース [証券コード 4416]
URL:https://www.truedata.co.jp/
問い合わせ:https://www.truedata.co.jp/contact

事業内容
全国の消費者購買データを扱うビッグデータプラットフォームを運営。POS/ID-POSなど消費者データ分析や購買行動分析ソリューションを小売業、消費財メーカー等に開発・提供。データマーケティング支援。