6月11日(水)、日本最大級のインターネットテクノロジーの展示会「Interop Tokyo 2025」が幕張メッセで開幕した。会期は13日(金)までの3日間。約500社が出展し、今年は約14万人の来場が見込まれている。
会期初日の朝、恒例のオープニングイベントが行われた。ステージ上には、Interop Tokyo 実行委員長の村井純氏 (慶應義塾大学 教授 / WIDEプロジェクト ファウンダー)、デジタルサイネージ ジャパン(DSJ) 実行委員長の中村伊知哉氏 (iU 情報経営イノベーション専門職大学 学長 / デジタルサイネージコンソーシアム 理事長)、そしてInterop Tokyo プロデューサーであり運営主体である株式会社ナノオプト・メディアの代表取締役社長 大嶋康彰氏が登壇した。
最初に登壇した大嶋氏は、「昨年は梅雨時期に行われるInteropとしては珍しく、一度も雨が降りませんでしたが、今年は初日からあいにくの雨となってしまいました」と切り出し、一昨年に体調を崩した株式会社ナノオプト・メディア 代表取締役会長 藤原洋氏からのメッセージビデオへとつなげた。大嶋氏によれば、藤原氏は1994年に始まったInterop Tokyoを実行委員として支え、2009年からは経営者として運営に携わってきた。そうした長年の関わりが、Interop Tokyoの安定的な開催を支えてきたことを強調した。


技術を“社会に映す鏡”として捉える時代へ
続いて登壇した村井教授は、「Interopの起源は、「相互接続性」にあり、新しい技術や先端技術をInteropに持って来てテストする場です。今回もShowNetを見ていただければその根幹がご理解いただけると思います。」 と述べつつ、Interopにて 「何か新しい課題が出てきたら、常にそのことを議論できる場を作っていく。」 と続け、その課題として今回取り上げられた 「教育とAI」、「宇宙」、「データセンター」 といったキーワードについて触れた。

村井教授が紹介したキーワードは、「教育AIサミット」「Internet × Space Summit」「Data Center Summit」 といった、Interop Tokyoの主催者特別企画として実現されている。
今回が初開催となる 「教育AIサミット」 では、教育分野におけるAI活用の可能性について、専門家や教育機関が集まり、最新の事例や研究成果を共有する。教育現場でのAI導入に関する課題や展望が議論され、今後の教育のあり方に一石を投じる内容となる。
「宇宙」 に関しては、「Internet × Space Summit」 にて、宇宙空間における通信の現状と課題が明らかにするとともに、インターネット技術がもたらす新たな可能性に注目する。IPNSIGやWIDEプロジェクトの協力のもと、第一線で活躍する研究者、大学、企業によるセッションを通じて、宇宙に広がるインターネット市場の展望が共有される。
さらに、「データセンター」 に関しても、日本データセンター協会(JDCC)との連携により 「Data Center Summit」 が今回初開催となる。生成AIの急速な普及によりデータセンターの重要性が増す中、エネルギー効率、サステナビリティ、スケーラビリティ、セキュリティ、ネットワーク性能、運用自動化、法規制対応、人材不足といった多岐にわたる課題とその解決策が共有される。また、展示会場ホール7には約30社が出展し、最新のデータセンター技術や製品が紹介される。
続いて挨拶したデジタルサイネージ ジャパン(DSJ) 実行委員長の中村氏は、「昨年この場で、“デジタルサイネージとAIの融合が来る”と申し上げました。しかし、1年経ってみたら “来るどころではない”、というのが正直なところです。もはや、デジタルサイネージに限らず、AIは機械にもソフトにも、さらには環境にも自然に溶け込み、すでに“当たり前”の存在になりつつあります。今回は、そうしたAIが活躍するサイネージのハードと、それを支えるソフトウェアの両面において、改めて進化の時期に入ったことを実感していただけるはずです。」と語った。
中村氏はさらに、「今回のキャッチテーマは “街のアップデートが、ここから始まる” 都市とは、情報と体験が交差するインターフェースであり、私たちはその最先端を体現していきます。」 と続けた。
デジタルサイネージ ジャパン(DSJ) の出展企業は72社。新興企業に加え、海外からの参加も増えてきているという。

いよいよ本日より開催となった Interop Tokyo 2025。今回もInteropの目玉企画とも言える、出展企業から提供された約2,000の製品・サービスと、約700名ものトップエンジニア達が幕張メッセに集結して構築されるライブデモネットワーク 「ShowNet」 も開催される。
今年の 「ShowNet」 では、生成AIによるトラフィックの増大を想定した設計や、地域間のDC接続、次世代通信プロトコルの導入実験など、2025年ならではの課題と向き合う構成となっている。Interop Tokyo 2025は、技術そのものの進化だけでなく、それが社会にどう結びついていくのかという 「問い」 や 「対話」 の場としても重要な意味を持ち始めている。生成AIや宇宙通信、教育AIといった最先端のテーマに、多様なプレイヤーが横断的に関わるこの展示会は、まさに“未来のインフラ”の現在地を映し出す鏡である。3日間の会期を通じて、来場者それぞれが自分自身の視点で 「これからの社会と技術の関係」 を見つめ直す貴重な機会となるはずだ。

Interop Tokyo 2025
会期:2025年6月11日(水)~13日(金)
会場:幕張メッセ(国際展示場 展示ホール4~8 / 国際会議場)
主催:Interop Tokyo 実行委員会
運営:(一財)インターネット協会 / (株)ナノオプト・メディア
参加費:無料(展示会・講演) WEBからの登録制・会期3日間有効
公式ホームページ
https://www.interop.jp/